Sightsong

自縄自縛日記

行定勲『クローズド・ノート』

2012-10-15 00:19:38 | アート・映画

行定勲『クローズド・ノート』(2007年)を観る。

アパートに引っ越してきた香恵(沢尻エリカ)。鏡台の中に、前の住人のものらしきノートが残されていた。そこには、小学校教師としての意気込みや悩みが綴られていた。一方、香恵のバイト先の万年筆店には、一風変わったイラストレイターのリョウ(伊勢谷友介)が、自分の記憶にある書き心地の万年筆を探しにきていた。リョウに惹かれる香恵。しかし、リョウには忘れられない人がいた。その女性・小学校教師の伊吹(竹内結子)こそが、ノートの書き手なのだった。香恵はノートを持って小学校に足を運ぶが、既に、伊吹は交通事故で亡くなっていた。

香恵と伊吹の物語がパラレルに語られてゆき、それらが、リョウと、ノートと、万年筆を結節点として重なる。不自然でしらじらしい描写があるものの、爽やかなミステリー仕立てだ。

沢尻エリカは、前年の生野慈朗『手紙』(2006年)(>> リンク)といい、とても良い演技。綺麗で可愛いだけでなく、表情に実に味がある。しかし、この映画の舞台挨拶で、有名な「別に!」発言が飛び出し、メディアのバッシングの対象になってしまう。惜しいなあ(『ヘルタースケルター』をまだ観ていないけど)。

香恵のバイト先の「イマヰ万年筆」では、先輩の永作博美が、香恵の使う万年筆について蘊蓄を傾ける場面がある。それはイタリア・デルタ社の「ドルチェビータ・ミニ」であり、オレンジ色のレジンを、永作は「南イタリアの日射し」だと表現する。これは宣伝文句なのでもあって、実のところ、わたしもこの色にやられて入手したクチである(ひとまわり大きい「ドルチェビータ・スリム」だが)。

もうひとつ目立つ万年筆が、伊吹が使うエンジ色のものだ。どこの製品かなと調べたら、中屋万年筆の特製品なのだった(>> リンク)。キャップにトリムがない意匠がスマートで、いつか使ってみたい。


ドルチェビータ・スリム

●参照
生野慈朗『手紙』と東野圭吾『手紙』(沢尻エリカ)
万年筆のペンクリニック


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2 コメント

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Unknown (ひまわり博士)
2012-10-15 01:06:55
行定勲監督作品では、「女たちは二度遊ぶ」も面白いですね。
そういえば、「クローズド・ノート」にはおしゃれな万年筆店が出てきてました。実際にあったら商売にはなっていないのではないかと思うような。
僕は「ドルチェビータ」よりも「モンブラン マイスターシュテュック 149 」にずっとあこがれているのですが、高価で手が出ません。たぶん、買わないと思います。
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Unknown (Sightsong)
2012-10-15 07:58:28
ひまわり博士さん
「イマヰ万年筆店」ですね。裏では社長が試作品の万年筆作りにいそしんでいる。おまけに女性店員ふたり。客はヘンなマニアや常連。確かにこれでは商売にならなさそうです。
「モンブラン マイスターシュテュック 149 」は立派ですね。万が一魔が差して入手されたらぜひ見せてください。
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