ジャン=リュック・ゴダール『パッション』(1982年)を観る。もう学生の頃に三百人劇場だったかどこかで観て以来。
ポーランド人監督による、ゴヤ「プリンシペ・ピオの丘での虐殺」や「裸のマハ」、レンブラント「夜警」などヨーロッパの名画をモチーフとした映画撮影。ヨーロッパの光と影をとらえることはなかなかできない。また、参加者たちの動きを統制することは、端から放棄している。事態は混沌そのものと化す。
映画において繰り返されるように、仕事は愛であり、愛は仕事に違いないことが、理由を超えて迫ってくる。そして、何しろ、ラウール・クタールによるアベイラブルライトでの撮影も、敢えて周辺音をずらした音づくりも、間合いも、ひたすらに繊細である。
改めて観ても、わけがわからないが、心を掴まれるほどに魅了されてしまう。すべての瞬間に価値がある。
何より、ハンナ・シグラの微妙に官能的な表情といったら、・・・!!