Sightsong

自縄自縛日記

『世界』の「辺野古新基地はつくれない」特集

2018-03-01 23:09:31 | 沖縄

『世界』(岩波書店)の2018年3月号が、「辺野古新基地はつくれない」と題した特集を組んでいる。

北上田毅「辺野古新基地建設はいずれ頓挫する」は読むべき論考である。なにもイデオロギーや想いによってそう主張しているのではない。活断層の疑い、琉球石灰岩の軟弱な地盤により、現実的に建設することが難しいと書いているのである。実際に、埋立前の護岸工の進捗状況じゃ、総延長の6%の下部工が造成された段階に過ぎないという。しかもこれからさらに工事が難しくなるわけであり、実質的にはほとんど進んでいないに等しい。

ただ、それでも環境影響は無視できない。石材の輸送時におけるジュゴンの棲息域への影響もあるし、石材の投下時にろくに洗浄しておらず(真っ当に洗浄すると工事がなおさら進まない)、そのため、投下に伴い海が白濁することが観察されている。

地盤などの現実的な問題の他に、やはり住民の反対運動の効果はとても大きいことがわかる。山城博治「私たちの勝利は揺るがない」は、そのあたりの事情を踏まえての呼びかけでもあるだろう。

また、野中大樹「新基地建設と人々 名護市長選に蠢く”基地マフィア"」も興味深いルポである。「基地マフィア」というと大げさに聞えるが、実際のところ、沖縄の政治力学がいかに東京のそれと異なっているかに踏み込んでもいる。来月の続編も早く読みたい。

●参照
辺野古


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