Sightsong

自縄自縛日記

ジーン・ジャクソン・トリオ@Body & Soul

2018-06-30 08:44:44 | アヴァンギャルド・ジャズ

南青山のBody & Soulに、ジーン・ジャクソンのトリオを聴きに行った(2018/6/29)。

Gene Jackson (ds)
Mayuko Katakura 片倉真由子 (p)
Pat Glynn (b)

ガブリエル・ゲレーロ(ジャクソンは「グェレロ」くらいに発音)、カルロ・デローザと組んだニューヨークでのトリオが「Trio Nu Yorx」、この東京でのトリオが「Trio To-Kyo(と、今日)」。ジャクソンは200枚以上のアルバムに参加しているのに、リーダー作は先日のTrio Nu Yorxによる『Power of Love』がはじめてのものである。この日聴いて、Trio To-KyoもTrio Nu-Yorxと同等以上に素晴らしいとわかった。

1曲目はコール・ポーターの「I Love You」。ハービー・ハンコック『Live in New York 1993』でも、Trio Nu Yorx『Power of Love』でも冒頭に演奏していた。やはり90年代にハンコックのレギュラー・ドラマーであったことが重要な経験であったことがわかろうというものであり、本人もそのことを話していた。アレンジもハンコック。しかし、片倉真由子のピアノはハンコックやゲレーロとはまた異なっており、バッキング時にメロディや即興を入れていくプレイがいきなり強く印象に残った。

2曲目は「Great River」(ジャクソン)。なんでも高価な録音機器の名前であり、新録のために売ったそうである。奇妙な構成の曲だが、それを自ら超えて浮揚させるドラムス。続いて「A Peaceful Tremor」(デローザ)。ここではジャクソンはブラシを持ち、そしてまた執拗な同じフレーズから新たなアイデアを繰り出してくる片倉さんのピアノがとても良い。

4曲目は「Lighting」(ゲレーロ)。本当はゲレーロは「Lightning」のつもりだったのに間違えてしまい、もう間に合わなかったという。そんなわけで、ジャクソンは「Lighting a.k.a. Lightning」とふざけて紹介した。ジャクソンの複雑なリズム、その繰り返しの中から大きなドラミングの盛り上がりがある。

次にセロニアス・モンクの「Played Twice」。CDでも非常に特徴的だった、時間方向へのジャクソンのタテ波。これがジャクソンならではのものだ。ピアノのソロも見事。

セカンドセットは「Land of the Free」(ゲレーロ)、続いて「Neptune」(デローザ)では軽快なブラシ。3曲目はセロニアス・モンクの「Ugly Beauty」、そして「Before Then」(ジャクソン)ではふたたび力技のタテ波が繰り出される。停止と再始動の構造による快感がある。

5曲目は「Lapso」(ゲレーロ)。曲の進行の隙間を縫うように自在に泳ぐ片倉さんのピアノ。また、ピアノが同じパターンを繰り返す中で上へ上へと浮揚するドラムス。これは高揚せざるを得ない。

アンコール曲は、デイヴィッド・ブライアントの「Higher Intelligence」。ブライアントのことは若くて才能のあるピアニストだとの紹介があった。その通りである。先日来日したときには入院していて駆けつけられず残念だった(浦安までレイモンド・マクモーリンと一緒に来て飲んでいたらしい)。曲は「Giant Steps」を想起させるような複雑なコード進行を持ったもので、ピアノとベースとが道を切り開き、その道を、ジャクソンが太いパルスを発しながら邁進した。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4 

●ジーン・ジャクソン
ジーン・ジャクソン(Trio NuYorx)『Power of Love』(JazzTokyo)(2017年)
オンドジェイ・ストベラチェク『Sketches』(2016年)
レイモンド・マクモーリン@Body & Soul(JazzTokyo)(2016年)
及部恭子+クリス・スピード@Body & Soul(2015年)
松本茜『Memories of You』(2015年)
デイヴ・ホランド『Dream of the Elders』(1995年)

●片倉真由子
北川潔『Turning Point』(2017年)


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