アーチー・シェップ『The Way Ahead』(Impulse!、1968年)。
何しろ冒頭のゆったりとしたベースのピチカートの中、おもむろに、シェップが吹きはじめるテナーサックスの音一発でやられてしまった盤である。久しぶりに大音量で聴いて、また動悸が激しくなっている。何だこれは。
Archie Shepp (ts)
Jimmy Owens (tp)
Grachan Moncur III (tb)
Walter Davis, Jr. (p)
Ron Carter (b)
Beaver Harris (ds #1,2)
Roy Haynes (ds #3,4)
4曲の演奏すべてが素晴らしいという、紛れもない名盤(※ボーナストラック2曲は、『Kwanza』と同じなので省略)。シェップの作品にはさまざまなスタイルのものがあるが、このようにブルースを前面に押し出したものは何度聴いても感激する。
金管2本を加えた分厚いフロントの音も良いし、その中で、囁いたり叫んだりするシェップの塩辛いテナーの音が迫力とともに浮かび上がる。ダブルリップで涎を垂らしながら吹くシェップの姿が想像できてしまう。たまに、管全体を不必要なほど反響させて、ノイズを入れまくるブロウもまた刺さる。
弦がユルユルのベースの代名詞たるロン・カーターは好みでないのだが、ここでは許す(笑)。ドラムスは、前半はやかましくて熱いビーヴァー・ハリス、後半はキレで勝負のロイ・ヘインズ。やはりブルージーなウォルター・デイヴィスJr.のピアノもハマっている。いやあ、すべてが揃っている感じ。
冒頭の「Damn If I Know (The Stroller)」とは逆に、スタンダード曲「Sophisticated Lady」では、シェップの無伴奏ソロから始まり、やがてベースが入っていく。これも何度も聴いてしまう演奏である。
●参照
○『Jazz in Denmark』 1960年代のバド・パウエル、NYC5、ダラー・ブランド
○アーチー・シェップの映像『I am Jazz ... It's My Life』
○イマジン・ザ・サウンド