新宿ニコンサロンにて、東松照明『光源の島』を観る。
この大写真家の死後、宮古島において見つかったカラープリントから選ばれた69点は、1973年から91年の間に撮影されたものであるという。沖縄本島も、宮古島や石垣島も、渡嘉敷島や久高島など本島近くの離島もある。またスクエアも35ミリもある。
もっとも強く受ける印象は、ぎとぎとといってもいいほどの原色群だ。それは日中であってもフラッシュを焚いて撮られているからでもある。そして被写体としては、主に、祭祀をとりおこなう人たち、昔の生活文化を保持している老人、海人などが多い。あまりにもわかりやすい、南島に向けられた視線と演出である。
確かに写真は素晴らしい。しかし、東松照明という思想を脇に置いて、何だか素晴らしいものでしょう、と提示する行為に見えてならない。会場に置いてあったカメラ雑誌に企画監修を行った評論家の文章が書かれていて、驚くほど何も書かれていなかった。
●参照
平敷兼七、東松照明+比嘉康雄、大友真志
東松照明『光る風―沖縄』
「琉球絵画展」、「岡本太郎・東松照明 まなざしの向こう側」、「赤嶺正則 風景画小品展」
豊里友行『沖縄1999-2010』、比嘉康雄、東松照明
東松照明の「南島ハテルマ」
東松照明『新宿騒乱』
青木亮『二重被爆』、東松照明『長崎曼荼羅』
沖縄・プリズム1872-2008
仲里効『フォトネシア』
仲里効『眼は巡歴する』