Sightsong

自縄自縛日記

スリランカ音楽のコンピレーション

2017-03-10 08:10:14 | 南アジア

『Sri Lanka / The Golden Era of Sinhalese and Tamil Folk-Pop Music』(AKUPHONE、2016年)を聴く。古いスリランカのレコードから収集した2枚組のコンピレーション盤である。

1曲目、ポール・フェルナンド(16-17世紀に統治したポルトガル系の名前)のバイラが流れた瞬間に、紛う方なきスリランカ音楽の雰囲気が室内に充満する。まぶたをとろんと落として微笑み、上から見ながら甘い声で唄うイメージ。

しかし、実はそんな一面的なものばかりではないのだ。バイラは多数派シンハラ族の大衆歌だが、ヴァイオリンやシタールや各種太鼓を入れてより高踏的に展開するサララ・ギーもある(エリートはバイラを「聴かない」ことになっていた)。サララ・ギーはともすればシンハラ・ナショナリズムを煽るような歌詞の内容のことが少なくなかったというが、本盤にはタミル族のポップスも収録されている。

とは言え、はっきりそれらの区別がつくかと言えば、そうでもない。図式的に見るのはよくないことである。そんなことよりサウンドの多様さに驚かされる。

バイラをインストで展開したスタンリー・ピーリスというサックス奏者もいた。やはり声と同様にサックスも微笑み上滑りして甘い。面白いな。

嬉しいことに、名前だけしか知らなかったW.D. アマラデーワのサララ・ギーが3曲収録されている。スリランカ音楽にインドのラーガを持ち込んだと評価される人物であり、さすがの貫禄と雰囲気。また、やはりパイオニアのひとり、ヴィクター・ラトヤーナカの中性的な歌声と、ハルモニウムやヴァイオリンによる気持ちいいサウンドも聴くことができた。

オリジナル盤のジャケット写真やしっかりした解説もあり、充実している。おススメ。

●参照
スリランカの歌手、Milton Mallawarachchi ・・・ ミルトン・マルラウアーラッチ?


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