NHK「BS世界のドキュメンタリー」枠で放送された、『カーボン・ラッシュ~CO2排出権ビジネスの実態~』(カナダByron A .Martin Productions / Wide Open Exposure Productions制作、2012年)を観る。(>> リンク)
番組は、冒頭に、スコットランドにおけるCO2多量排出企業を横目に見つつ、また、ロンドンにあるヨーロッパ気候取引所(ECX)(一度訪問したことがある)の看板をことさらに示しつつ、環境NGOの人間が、CO2排出源からの直接削減以外は信用ならないと言うところからはじまる。環境経済の手法を端から否定しているわけであり、それは、論理ではなく、知識に裏付けられない感覚に基づいていることがわかる。
おそらく、この手の人にとっては、産業活動やオカネが環境と関連付けられることが我慢ならないのだろう。環境対策のコストを内部化し、経済の流れに乗せるということなど、受け入れられないに違いない。
そして、実際にCO2を削減する事業の実例として挙げられるのは、ブラジルにおけるユーカリ植林、インドにおけるRDF製造、ホンジュラスにおけるアブラヤシによる還元剤製造である。確かに、ユーカリ、パームともに生態系に悪影響を与えかねない植林の樹種であることは以前から知られている。また、RDFも条件が整わない限り無駄な事業になりうることも知られている。しかし、これらが不適切な事業であるということであって、それ以上ではない。こういった事業への参加を、欧州の企業も日本企業も回避することが多いことを、知らないのだろうか?
こんなドキュメンタリーはダメダメ。