Sightsong

自縄自縛日記

『私達が失ったもの What we have lost』『奈良のある日の朝 Die Pflicht Ruft』

2023-06-27 07:55:11 | アート・映画

両国のシアターカイ(2023/6/26)。

デュッセルドルフ在住の皆藤千香子さんの演出・振付によるダンス作品。

『私達が失ったもの What we have lost』では、溢れる過剰な情報に押しつぶされ、無力感を覚えるふたり(クリスティーン・シュスター、ヤシャ・フィーシュテート)。かれらは無駄とも思える生産活動を行い、互いに交換可能な存在となったりもする。それらが命を賭してもよいかのように。だがそれは人間社会そのものだ。ステファン・シュナイダーによる音楽は無機的でも有機的でもあり、とても良い。

『奈良のある日の朝 Die Pflicht Ruft』は明らかに首相暗殺事件にモチーフを得た作品だ。やはりここでも無力感に押しつぶされ、それでもなにかを得て生命活動を続ける者がいる(アントニオ・ステラ)。喜多直毅のヴァイオリンははじめはかそけき音を出し、生命がいつ断ち切られてもおかしくはない。やがてそれは倍音となり、生命の声の奇妙な共鳴となっていった。

●皆藤千香子
『私の城』(2022年)
『癒し、欺き、民主主義』(2022年)
ボイス+パレルモ@埼玉県立近代美術館(2021年)
『今・ここ・私。ドイツ×日本 2019/即興パフォーマンス in いずるば』(JazzTokyo)(2019年)
徹さんとすごす会 -齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)
『Black is the color, None is the number』(2019年)
齋藤徹+喜多直毅+皆藤千香子@アトリエ第Q藝術(2018年)
即興パフォーマンス in いずるば 『今 ここ わたし 2017 ドイツ×日本』(2017年)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。