Sightsong

自縄自縛日記

ナオミ・クライン『How to Change Everything』

2022-06-06 07:27:36 | アヴァンギャルド・ジャズ
ナオミ・クラインが去年『How to Change Everything』(2021年)を出していたことに気付いて読んでみたら、ずいぶんと柔らかい語り口で既知の内容ばかり。よく見たら若者向けのガイド本で、どちらかというと気候変動そのものよりも市民運動の大事さを説いている。
彼女が2014年に『This Changes Everything』を出したときには驚いた。化石燃料をすぐにでも全廃しなければならないという論調で、ちょっと極端だった。これをもとにした映画はさらに感情的なスパイスを振りかけたものになっていた。ところがその後の世界はそのように動いている。自分だけではなくかなりの人が後追いだったはずだ。
アラヴィンド・アディガの小説『Last Man in Tower』(2011年)を読んだら同じインドの思想家アルンダティ・ロイに憧れる急進的な女性のことがコミカルに描いてあって、ナオミ・クラインもまた本書でアルンダティを引用している。ふたりとも古くからの「活動するインテリ女性」のように視られるのだけれど、そんなシニカルなだけの視線はばかばかしい。