新宿ピットインにて、いよいよジャズシーンに本格復帰した大西順子を観る(2016/4/2)。
Junko Onishi 大西順子 (p)
Yosuke Inoue 井上陽介 (b)
Akira Yamada 山田玲 (ds)
何しろこうして彼女のライヴを観るのは20年ぶりくらいではなかろうか。そのときは、共演した岡淳さんを「オカマ・コト」、故・日野元彦さんを「トコちゃん」とふざけて紹介していた記憶があるが、今回も共演のふたりをネタにするスタイルは変わらなかった。ああ、懐かしいな。
いきなり「Night's Shadow」。ジェリ・アレン『The Nurturer』でも冒頭に演奏される曲である。そのアルバムでも、大西さんの『Piano Quintet Suite』でも、トランペットの故マーカス・ベルグレイヴが参加しており、作曲はベルグレイヴと同じデトロイト出身のエリ・ファウンテンだという。デトロイト色なのか、ベルグレイヴ色なのか、ジェリ・アレン色なのかわからないが、もはや大西順子色である。
この曲を含め、低音を入れたブロック・コードを繰り出し、イケイケとなれば煌びやかな音で盛り上げる。ただ、大西順子のトレードマークとなったそのようなアプローチだけではなく、ラグタイムのようなスタイルもあったりして、まさに彼女が師事した故ジャキ・バイアードの心が生きているのだなと感じた。
いま菊池成孔プロデュースによる大西順子の新譜制作が進められているようで、そこに収められたいかにも複雑な曲も演奏した(「Tea Time 1」では、ピアノとベースとが5拍子、ドラムスが4拍子)。それが面白いのかどうか、正直言ってわからないのだが、硬軟取り混ぜた演奏は飽きることがなかった。また、24歳だという山田玲のドラムスはアタックが強くビシバシ決めていた。