アルバート・アイラー曲集を2枚。
■ マーク・リボー『Spiritual Unity』(Pi Recordings、2004年)
Roy Cambell (tp, pocket tp)
Henry Grimes (b)
Marc Ribot (g)
Chad Taylor (ds)
やはりヘンリー・グライムスのベースはあまりにも重く、トリケラトプスのように地響きを立てて猛進する。何の秘密があるのか、来日時に目の当たりにしたときにも、ステージの上でおもむろに弾き始めたときには、重いハンマーで杭を打つような姿を幻視した。アイラーと共演したのはかれだけだ。
一方、主役のリボーは、北斗琉拳のカイオウのように、太いギター音で空間をぐにゃりぐにゃりと歪めていく。シカゴ発、チャド・テイラーの瞬発力のあるドラムスにも耳を奪われる。
「Truth Is Marching In」において、ふと泣きそうになってしまう。
■ ジョルジォ・ガスリーニ『Ayler's Wings』(Soul Note、1990年)
ソロピアノによるアイラー。情とともに飛散する液体があるでもなし、濁りがあるでもなし、ブルースでもない。
それでも、ジャズ的なノリとは正反対のリズムと、すべてを公平に扱った音の配列と、それによる不協和音のなかから浮上してくるアイラーのメロディ。「Ghosts」が、ここまで美しい曲だったのかと思わせられる。
●参照
『Tribute to Albert Ayler / Live at the Dynamo』(2008年)(ロイ・キャンベル参加)
ウィリアム・パーカー『Fractured Dimensions』(2003年)(ロイ・キャンベル参加)
ウィリアム・フッカー『LIGHT. The Early Years 1975-1989』(ロイ・キャンベル参加)
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2007年)(ヘンリー・グライムス参加)
US FREE 『Fish Stories』(2006年)(ヘンリー・グライムス参加)
スティーヴ・レイシー『School Days』(1960/63年)(ヘンリー・グライムス参加)
ブッチ・モリス『Possible Universe / Conduction 192』(2010年)(チャド・テイラー参加)
Sticks and Stonesの2枚(2002, 03年)(チャド・テイラー参加)
ジョルジォ・ガスリーニ『Gaslini Plays Monk』(1981年)