四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その49)

2022年08月23日 05時06分02秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その49)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。  ☆☆☆
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。 ☆☆☆
 ☆☆☆ 短歌の早期締め切りにご協力賜り感謝申し上げます。         ☆☆☆

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の詠まれた
 短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に短歌を
 投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。


     「酔芙蓉 八重」


「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】8月16日BSNHK「京都五山送り火2022」を3年ぶりに生中継やっていました。
    中継が始まった7時半過ぎから雨・風が凄くて出来るのかとも不安でしたが、
    信じられないことに開始時刻の8時過ぎには雨も止み全て五山の送り火が灯り
    ました。私の父母も西本願寺に分骨されていますので両親には最高の送り火に
    なりました。
☆我が胸の 京都五山の 送り火は 父母の御霊を 安らか祈る
☆大文字 五山全部の 送り火は 千年続く 夏の風物詩
☆盂蘭盆会(うらぼんえ) 五山送り火 お精霊(しょらい)を 
                    あの世へ送る 京都の行事

                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん

【解説】
 3年ぶりに実施された「京都五山送り火2022」は、五山の全てに送り火が灯り圧巻で
 したね。故人の御霊を送るにふさわしい荘厳な「送り火」は、三年にわたるコロナ禍や、
 ウクライナの惨状の中で命を落とされた数多の御霊をもおくる祈りの焔となっていました。
 晩夏の彩りに欠かせない風物詩とも考えますが、作者のご両親も京都に分骨され、
 五山の送り火で、迷うことなく天国へ還られたことと思います。
 そんな想いの滲む三首は、ご両親への追慕と、祈りが込められた詠歌となっています。
 一首目を少し添削させて頂きましたが、いかがでしょうか。
【添削】
★我が胸に 京都五山の 送り火を 灯して父母の 御霊をおくる


☆たのしみは 猛暑振り切りフェアメール 焦がれし少女の前に立つとき
☆たのしみは 赤い実一つ追いかけて 藪の端に見つけしとき
☆たのしみは 「ふるさと」唄い涙する あの山川と回顧するとき

                         shima-千恵子さん
【短歌説明】fumiel-shimaさんご自身の説明です。
 一首目は連日の暑さの中で絵手紙を描きながらかつてフェアメール展を観た日の
 暑かったことを思い出し詠んだものです。
 二首目は本人が大好きな少し不思議な木「シロダモ」を時々観察に出かけたときの
 様子を詠んだものです。

【解説】
 三首の独樂吟はいずれも状況が明確に表現され、良く分かる詠歌と思います。
 一首目、フェアメール展で、憧れ思いこがれた「真珠の耳飾りの少女」に出会った
 感動が素直に詠まれていて、好感が持てます。
 なお、三首目の下の句「あの山川と回顧するとき」を「あの山川を回顧するとき」と
 されたらいかがでしょうか。検討して頂ければ幸いです。



     「酔芙蓉 一重」

【詞書】二学期の恋 AKB48「言い訳Maybe」を聴いて
☆日焼けした君の笑顔を確かにね気にしないとは言えない気分
                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 AKB48「言い訳Maybe」 の作詞家の秋元康氏は、私より歳が上です。AKB48、
 乃木坂46、櫻坂46、日向坂46を立ち上げ、アイドルグループ路線を進んでおります。
 そんな彼に対抗?意識で、女子高生の気持ちを五七五七七の定律で作ってみました。
 ドラマ仕立のYouTubeを貼付しておりますので笑って御覧いただければ。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/42db00c1d06d6ce9931749ffa8203aad
【投稿外コメント】自閑(jikan314)さんご自身のコメントです。
 新古今和歌集には、変わった作者が撰歌されております。今回は、神仏が詠んだと
 される歌の一部を紹介致します。
  夜や寒き 衣や薄き かたそぎの 行きあひの間より霜やおくらむ(住吉御歌)
  むつまじと 君はしらなみ 瑞垣の 久しき世より 祝ひ初めてき(住吉御歌)
 住吉大社の神は歌の神としても信仰を集めていました。
  なさけなく 折る人つらし わが宿の あるじ忘れぬ梅の立枝を(天満宮御歌)
 平家物語では、枝を折った者は祟りで頓死したとか。
  われ頼む 人いたずらに なしはてば また雲わけて昇るばかりぞ(賀茂御歌)
 賀茂別雷命の力強い歌ですね。
  西の海 立つ白波の 上にして なに過ぐすらむ かりのこの世を(八幡宮)
 和気清麻呂が、道鏡の帝位簒奪を防いだ御託宣の歌。歴史の授業でも習ったですね。
  何かおもふ 何かはなげく 世の中はただ朝顏の花のうへの露(清水観音御歌)
  しるべある 時にだに行け 極楽の道にまどへる 世の中の人(虫?)
 最後は、京都亀岡市穴太寺の柱の虫喰の跡とか。西国三十三観音霊場だそうです。
 皆様も参詣の際、短歌を奉納しては?御利益ありますよ😃

【解説】
 作詞家の秋元康氏は、おっしゃるようにAKB48をはじめ坂道シリーズを次々立ち上げ、
 それぞれ成功させてきていますね。
 「言い訳Maybe」も夏休みで会えずにいた「ただの友」を気になったという、女子高生の
 誰もが共感できる歌詞が展開されています。
 そんな歌詞の想いを掬い取り、定律で詠まれた作者の詠歌は歌詞の核心部分をついていると
 考えます。歌詞には「ただの友達と思っていたのに今すぐにでも君に会いたい」との
 フレーズがあり、出詠歌と響きあっていると考えます。
 なお、新古今和歌集の「神仏が詠んだとされる歌」を紹介頂きありがとうございました。
 また、神仏参詣の際、短歌を奉納するとの営みにも挑戦してみたいですね。


【詞書】我が家の庭にあるシマトネリコの木が朝起きると、ゆさゆさと風で揺れるのが
    窓から見えて、あの暑い時とは違う風の流れに涼しさを感じています😆
☆立秋の 日射し和らぐ 朝の庭
      シマトネリコを 揺らす西風

                         くろママさん

【解説】
 お庭にあるシマトネリコの木を揺らす風の音に、かすかな秋の訪れを感じて詠まれた
 詠歌。季節の移ろいを的確にとらえて表現され、素敵な歌に仕上がっています。
 上の句の「日射し和らぐ 朝の庭」が、調べも良く季節の移ろいを適切に表現しています。
 最近の作者の歌の進化に頼もしさを感じます。益々のご健詠を期待しています。

☆空蝉は世に出た証し 密やかに 樹につながれてせみ時雨聴く
                         ポエット・M

【解説】
 今年のせみ時雨はだいぶ遅れて始まりましたが、立秋を過ぎなおにぎやかに続いております。
 大木の幹に幾つかの空蝉がひっそりと留まっていましたが、今、命の絶唱とも言える
 蝉時雨を賑やかに奏で続けている主かも知れません。
 長い歳月を土の中で過ごした彼らが、わずか七日間の生命を全うする、その出発点とも
 言える空蝉に、厳粛な思いにさせられ、詠んでみました。



    「鉄砲百合」

「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (50)
 13.悪夢のアウシュヴィッツ(1)

   ああ! 我れは深き淵より
           (『詩篇』)

  魂よ
   この際はっきり
      言っておく
     嫌ならいつでも
       出ていってくれ

      魂よ
       私と共に
         滅ぶより
        君だけ神の
          御許(みもと)に帰れ

       魂に
        望みを聞けば
            夜は闇
          御前(みまえ)も
            同じ心か

      ふきとれば
        ふき取るほどに
           にじみ出る
         哀しき夢の
            恋のシミかな

    ドラキュラの
       ごとく真白き
         首筋を
        吸えど哀しき
         胸の十字架



     「西洋朝顔」

   
【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からの和泉式部の歌の紹介】
 自閑 (jikan314)さんからの詠歌の紹介ですが、学びとして掲載します。

 和泉式部について、御関心が有ると言う事で、今週は和泉式部を数首紹介します。
 恋多き歌人として有名ですが、当時一番有名な歌は、
 ★冥きより 冥き道にぞ 入りぬべき 遥かに照らせ 山の端の月(拾遺集)
   姫路の書写山の性空上人に送った歌です。娘小式部内侍と死に別れて、
   心が暗く塞ぎ込んでいた時期かと。
 ★置くと見し露もありけりはかなくて 消えにし人を何に例へむ(新古今 哀傷)
   小式部内侍が死んで、上東門院が小式部内侍の衣をお経を表紙にすると
   言うので、差し上げる時。
 ★ねざめする身を吹きとほす風の音を 昔は袖のよそに聞きけむ(新古今 哀傷)
   恋人の為尊親王、敦道親王が相次いで亡くなり、ふと真夜中に寝覚め、恋人が
   いない現実を思う歌です。
 ★たらちねのいさめし物をつれづれと 眺むるをだに問ふ人もなし(新古今 雑歌下)
   たらちねは、親を導く枕詞ですが、この時代名詞化しております。うたた寝や
   物思いは良くないと親から注意されていたのに、今は物思いしても誰も心配も
   してくれない。
   和泉式部には、赤染衛門、紫式部、清少納言など多くの女流歌人と交流が有り、
   夫の橘道貞と疎遠となり、敦道親王と交際しているとの噂に、赤染衛門が、
    うつろはでしばし信太の森を見よかへりもぞする葛のうら風
      かへし 和泉式部
    秋風はすごく吹けども葛の葉のうらみがほには見えじとぞ思ふ
                           (新古今 雑歌下)
   安倍晴明の母、葛の葉伝説の大阪の和泉市の信太森葛葉稲荷神社には、歌碑が
   有ります。その他、多数撰集に撰ばれているのは、彼女の才能が非凡ならざる
   所以かと思います。
【suisenさんの関連コメント】
 自閑さん、和泉式部の歌をご紹介くださいましてありがとうございます。
 私は常々和泉式部の歌にも生き様にも憧れておりまして、今回、好きな歌をご紹介して
 いただき、改めて味わわせていただくことができました。が、歌が巧く、恋多き歌人で
 あった和泉式部も、娘の小式部内侍を失うという悲哀を味わったのですね。
 小式部内侍も母親の和泉式部に負けない才能豊かな歌人であったらしいですが、
 早死したのは惜しかったですね。小泉式部が時の中納言、藤原定頼に「お母さんに
 代作してもらう手紙はまだ着かないだろうね」と誂われた時、
   大江山いく野の道の遠ければまだふみもみず天の橋立
 と、やり返した歌は有名ですね。私も、こんな歌が即座に詠めるような歌人になりたいです。
 小式部内侍も、母親に負けない恋多き女性だったらしいから、血は争えないということ
 だったのでしょうね。
【チョウキチさんの関連コメント】
 赤染衛門
  うつろはでしばし信太の森を見よかへりもぞする葛のうら風
 和泉式部よりやや大人の女性の感じがしますね。
【チョウキチさんへの返答】ポエット・M
 おっしゃるように、赤染衛門は気の良い、面倒見の良い女性だったようですね。
 その意味では、まさに「大人の女性」であったと思っています。
 恋多き歌人であった和泉式部に、
  「心がわりしないでしばらく和泉の信太(しのだ)の森を見ていなさい
   葛の葉が風にひるがえるように、あの人が帰ってくるかもしれないのだから」と、
 詠い諭していますので・・・。
 この場合「和泉の信太の森」は和泉守に任じられていた夫の橘道貞を指していますね。
 歌と共に、その背景も読み解くと歌の面白さが増しますね。


     「宗旦むくげ」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
 (8) 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
    誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。
 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
    ニックネームのみでIDのない方、あるいは匿名の投稿は内容により掲載
    できない場合もありますのでご了承願います。
                     了

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短歌投稿 (knsw0805)
2022-08-23 06:57:26
Shouさん、おはようございます。
浅間山明鏡止水です。
短歌投稿します。

「詞書」8月19日は久しぶりの快晴で嫁さんと軽井沢・村民食堂、浅間山ウオッチング、散歩と楽しみました。そしてその都度短歌3首詠んで見ました。19日は言わば短歌紀行のようでした(笑)

「夏の午後 三度変わる味 美味しくて 二人で食べる 牛ひつまぶし」

「晴れ渡る 浅間の山は 稜線が くっきり見えて 秋忍び寄る」

「千曲川 さくらさく小径 散歩する 風が運ぶよ 秋の気配を」
返信する
Unknown (1948219suisen)
2022-08-23 13:56:24
自閑さん、いつも和歌のご紹介ありがとうございます。現代短歌を詠んでいる私達にも大変参考になり、勉強になります。

今回の神の詠ったという和歌も興味深く読ませていただきました。

私は、以前、何かの本で、和歌の定型には独特な力が宿っていると読んだことがございます。

だからこそ、ありふれた事象を詠いましても人に訴えるのでございましょうね。

これは、神様が、我々の口から、あるいは筆記具から、自らの言葉を下ろしているのかもしれないと思うときもございます。

額田王などは実際巫女であったから神様の言葉を下ろして和歌にしていたのでしょうが、我々も、意識せず、そういうことをしているときもあるのかもしれません。

だから、歌人というものは昔も今も独特な存在であると思います。

私自身はまだ駆け出しの歌詠みでございますが、追々そういう歌人の端くれに連なれたらと望んでおります。

自閑さんには、これからも昔の人達の詠いました和歌のご教示をしていただくことを期待しておりますので、どうかよろしくお願い申しあげます。
水仙 拝
返信する
Unknown (1948219suisen)
2022-08-24 03:36:38
☆空蝉は世に出た証し 密やかに 樹につながれてせみ時雨聴く

空蝉と聞くと、「うつしおみ」のことを詠われたのかと思いましたが、このお歌では言葉通り蝉の抜け殻なのですね。

が、うつしおみの意味だと読ませていただいたら人の一生を喩えた歌のようにも思えます。

私達の一生も、長いようで、実はこの世で一週間だけ生きる蝉と大差ないのかもしれません。その間も自由そうに見えても、実際は木につながれたまま生きる蝉のように制限された生なのかもとも思わせられます。

空蝉の言葉でもう一つ思い出されますのは、源氏物語の空蝉です。

源氏物語と言えば、ご縁があって日本歌人の歌会に参加させていただいた折に島津忠夫先生の源氏物語の講釈を受けさせていただいたことがありました。島津忠夫先生も亡くなられた今、懐かしい思い出となりました。
返信する
Kenさんへ (ポエット・M)
2022-08-25 14:23:07
Kenさん こんにちは。
早々に「水曜サロン」へ出詠頂きありがとうございます。

快晴の空のもと、奥様と軽井沢・村民食堂、浅間山ウオッチング、さらに散歩を楽しまれたとのこと。
その様子が、それぞれ楽しく明るく詠まれ好感の持てる詠歌と考えます。
特に一首目は「三度変わる味 牛ひつまぶし」は、楽しさ、美味しさが程よく伝わってきます。
三首目の「さくらさく小径」と、「秋の気配」との表現に少し乖離を感じましたので、
若干添削してみましたが、いかがでしょうか。
★千曲川 桜もみじの散歩みち 風にまぎれる 秋の気配よ
返信する
水仙さんへ (ポエット・M)
2022-08-25 14:25:56
水仙さん こんにちは。
コメント頂きありがとうございます。
「神の詠ったという和歌」についてのコメントは自閑さんにお譲りしますが、
「和歌の定型には独特な力が宿っている」との説には、賛意を送りたいと思います。

なお、「☆空蝉は世に出た証し 密やかに 樹につながれてせみ時雨聴く」の
私の歌への温かな、そして丁寧な歌評を頂きありがとうございます。
おっしゃる通り、空蝉は「うつしおみ=生きている現実の人間」ではなく、
「蝉の抜け殻」を詠んで見ました。

長い地中生活を経て脱皮した空蝉は、古来より空しい様、儚いさまの象徴として
表現されてきましたが、私は自由世界へ飛翔する出発点としてとらえてみました。
その空蝉が樹に繋がれたまませみ時雨を聴いている。その想いは自由を謳歌しているのか、
あるいは儚い生涯を嘆いているのか、その判断は読者に委ねたいと思います。

源氏物語の第3帖の『空蝉』は、物語に登場する女性の名称ですが、作者、紫式部
自身がモデルになっているとの説もあり、控えめで慎み深く、立ち居振る舞いが
際立っていたとのことですね。

これからも、出詠も含めて宜しくお願い致します。
返信する
Unknown (jikan314)
2022-08-25 16:59:19
【短歌投稿】
【詞書】戦士の墓標 防人の詩 ナターシャ・グジーを聴いて
愛するものために死んだ者達
 今は墓標がならんでいるだけ
【短歌説明】
ナターシャ・グジーさんは、ウクライナ出身で、ウクライナの民族楽器のバンドゥーラ奏者。6歳の時、チェルノブイリ近郊に住み被爆。2000年から日本に住み音楽活動を行い、日本とウクライナの相互理解の促進に努めていました。今年のロシアのウクライナ進攻以降、全国で、チャリティーコンサートを行っています。
さて、「防人の詩」は、日露戦争を描いた映画「二百三高地」の主題歌でさだまさしが歌った歌です。蛇足ですが、この歌は、万葉集巻第十六「鯨魚取 海哉死為流  山哉死為流 死許曽 海者潮干而 山者枯為礼」(鯨魚取り、海や死にする、山や死にする、死ぬれこそ、海は潮干て、山は枯れすれ よみ人知らず)に依るとの事。
ロシアウクライナ戦争から半年。多くの新たな墓標が作られているとの報道。先の見えない戦況ですが、一刻も早い平和が訪れますよう祈念しております。
https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/3ec2c73faa1714505f1937b143c52e95
【投稿外コメント】
新古今和歌集のうち、たぶん誰も知らないマイナーな源具親の歌を紹介します。
具親は、源師光の次男で、先日紹介した宮内卿の兄です。ただ、妻は超有名な「姫の前」です。と言っても誰?😁ですね😃
姫の前は、比企朝宗の娘、前夫は北条義時!!鎌倉殿の13人で、堀田真由さんが演じていた絶世の美女の比奈です( ´゚д゚`)エー
難波潟 かすまぬ浪も かすみけり うつるもくもる おぼろ月夜に(春歌上)
時しもあれ たのむの雁の わかれさへ 花散るころの み吉野の里(春歌下)
しきたへの 枕のうへに 過ぎぬなり 露を尋ぬる 秋のはつかぜ(秋歌上)
今よりは 木の葉がくれも なけれども 時雨に残る むら雲の月(冬歌)
具親について、寂蓮は、「歌の精進もせず、蹴鞠ばかりしおって」と、鴨長明の無名抄で愚痴をこぼしていたと記されております。一応新三十六歌仙の一人に数えられていますが、天才少女の宮内卿の前には霞んでしまいます。
22日の放送でも、離縁させられた比奈については、四年後の承元元年(1207年)に死去とだけ、ナレーション死でした。具親との再婚はドラマとの関係は無いので、カット?
返信する
Unknown (risukurumi48)
2022-08-26 07:49:45
ポエット•Mさん、
リコです。おはようございます
水曜サロンを毎日、拝見しますが、貴方の詠草がしっくり来ませんので、解説をお願いします

密やかに樹につながれてせみ時雨聴く

3.4句は蝉が木に繋がれている状態を詠まれたなら、「て」は不適切ではないですか。
「樹につながれた」せみ時雨を貴方が聴く状況ですね。

ところが「樹につながれた」との表現は誰かにつながれた意味に取れます。4句は突然、受動的なセミが出てきますね。

リコの解釈ちがいがあればご指導ください。
返信する
自閑(jikan314)さんへ (ポエット・M)
2022-08-26 16:35:34
自閑(jikan314)さん こんにちは。
早々に「水曜サロン」へ出詠頂きありがとうございます。

「美しく透明な水晶のような歌声」と形容される、ウクライナの歌姫ナターシャ・グジーさんの
歌う「防人の歌」をユーチューブ視聴させて頂きました。

「海は死にますか 山は死にますか」、さらに「わずかな命のきらめきを信じていいですか」
のフレーズが、バンドゥーラの響きと共に、ウクライナの惨状と重なって胸に迫ってきます。

詠歌の下の句の「今は墓標がならんでいるだけ」に込められた自閑さんの想いを胸に
刻んで参りたいと思います。墓標の下に眠るそれぞれの方の無念と、それを諾わざるを
得なかった多くの方の「もう一つの戦場」を思いつつ…。

なお、源具親の詠歌を紹介いただきありがとうございました。彼は後鳥羽上皇の院政のもとで
活躍した公家で、新三十六歌仙の1人だったと言われていますね。
紹介頂いたいずれの歌も優れた写実詠ですが、「露を尋ぬる 秋のはつかぜ」等は学びたい表現ですね。

なお、今回の「投稿外コメント」も学びになりますので、次週以降に再度掲載させて頂ければ幸いです。
これからも宜しくお願い致します。
返信する
リコさんへ (ポエット・M)
2022-08-26 21:12:52
リコさん こんばんは。
コメント頂きありがとうございます。

☆空蝉は世に出た証し 密やかに 樹につながれてせみ時雨聴く
の詠歌に、
リコさんのおっしゃるような、疑問が出るだろうなとの想いは当初からありましたが…、
これは空蝉を主体に「空蝉が樹に繋がれたまま、自らを飛びだった蝉の鳴き声を聞く」
情景を詠ってみました。その意味で詞書で「空蝉の想いを詠う」とすべきだったですね。

ここには、生きとし生けるものの象徴として「蝉」を主人公に、その絶唱とも言える
蝉時雨を詠うというささやかな挑戦と言うか、遊びを行ってみました。

もうひとつは、水仙さんも指摘されていましたが、掛詞で空蝉は「うつしおみ」で、
生きている現実の人間である私たちも、世の中に羽ばたいても所詮樹に繋がれたまま
せみ時雨を聴く存在なんだとの想いも読み取れるとも考えてみました。
解りにくい詠歌となりましたが、一つの挑戦として見て頂けたら嬉しいです。

なお、リコさんにかつて提案頂いた「題詠」を、9月の一周年記念として提起する
検討をしてみたいと思っていますが、アイデア等提案頂ければ嬉しいです。
これからも宜しくお願い致します。
返信する

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