なあむ

やどかり和尚の考えたこと

サンサンラジオ210 大人になろうよ

2019年05月12日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
♪゜・*:.。. .。.:*・♪
三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ
今週もはじまりましたサンデーサンサンラジオ、第210回。
お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

5月12日、日曜日。

10連休も終わり、令和のお祝いムードも落ち着いて、大相撲も始まるのでいつも通りの日常に戻るというところでしょうか。
イベントではない毎日をキチンと真面目に生きていかなければなりません。

昔の大人は今よりずっと年寄りに見えました。
一つには若者から見た相対的な年齢という理由もあるでしょう。
でもそれだけではなく、絶対的に今より老けて見えました。
子どものころに見た記憶の60歳はもういかにも老人でした。
農作業などの重労働によるくたびれや衰えもあったのでしょうね。
そして、服装が違っています。老人には老人らしいというか、老人はボロを着るものだというような決まりがあるかのようでした。
女性も普段化粧するようなことはありませんでした。田舎のことですが。
でも、それだけでもはないように思うのです。

子どもとは違うという、大人の覚悟のようなものが強くあったのではないかと思うところです。
例えば、学校を卒業して働くようになれば、周囲も大人として認めただろうし、それらしい振る舞いをしなければならなかったでしょう。
結婚すれば、それこそ一人前として大人然としていなければならなかったでしょうし、子どもが生まれればなおさらのことです。
そのように、一つ一つのイニシエーションとしての節目を迎えるごとに、それなりの自覚を求められたのだろうと思われます。
それが、いつからか、この国では、大人か子どもか分からないような態度や生活が許されるようになりました。
結婚しても、子どもがいても、自分が子どものように甘えることを容認するような社会です。
子どもが生まれたから親と呼ばれるのですが、親は親らしく振る舞うから親になっていくのであり、産みっぱなしでは親になれないでしょう。
いつまでも若いのといつまでも子どもなのでは意味が違います。

山形生まれの農民詩人、真壁仁に『峠』という詩があります。
長いですが全文を紹介しましょう。

 峠
峠は決定をしいるところだ
峠には決別のための明るい憂愁がながれている
峠路をのぼりつめたものは
のしかかってくる天碧に身をさらし
やがてそれを背にする
風景はそこで綴じあっているが
ひとつを失うことなしに
別個の風景にはいってはゆけない
大きな喪失にたえてのみ
あたらしい世界がひらける
峠に立つとき
すぎ来し道はなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
みちはこたえない
みちはかぎりなくさそうばかりだ
峠の上の空はあこがれのようにあまい
たとえ行手がきまっていても
ひとはそこで
ひとつの世界にわかれねばならぬ
そのおもいをうずめるため
たびびとはゆっくり小便をしたり
摘みくさをしたり
たばこをくゆらしたりして
見えるかぎりの風景を眼におさめる

大人になるということは、子どもの世界とは別れるということ。
結婚するということは、独身とは決別するということ。
その喪失をなくして大人の新しい世界には入っていけない。喪失するから懐かしいのだ。
子どもには、大人として生きる静けさや落ち着き、小事に惑わされない泰然自若とした心持に喜びを感じることはできないでしょう。
年を重ねることはマイナスではなくプラスであると受け止めなければなりません。
夏には夏の、秋には秋の色に染まるだけです。いつまでも若葉では青葉の気持ちも紅葉の喜びも感じられないでしょう。
大人は大人になろうよ。大人らしく振る舞おうよ。

結婚した娘に、峠の詩の一部を色紙にしたためて渡しました。

それではここで1曲お送りしましょう。中島みゆきで『荒野より』。


1.望みは何かと訊かれたら  君がこの星に居てくれることだ
力は何かと訊かれたら  君を想えば立ち直れることだ
   僕は走っているだろう  君と走っているだろう
   あいだにどんな距離があっても
   僕は笑っているだろう  君と笑っているだろう
   あいだにどんな時が流れても
荒野より君に告ぐ  僕の為ために立ち停まるな
荒野より君を呼ぶ  後悔など何もない


2.朝陽の昇らぬ日は来ても  君の声を疑う日はないだろう
誓いは嵐にちぎれても  君の声を忘れる日はないだろう
   僕は歌っているだろう  君と歌っているだろう
   あいだにどんな距離があっても
   僕は生きているだろう  君と生きているだろう
   あいだにどんな時が流れても
荒野より君に告ぐ  僕の為ために立ち停まるな
荒野より君を呼ぶ  後悔など何もない


3.僕は走っているだろう  君と走っているだろう
 あいだにどんな距離があっても
   僕は笑っているだろう  君と笑っているだろう
   あいだにどんな時が流れても
荒野より君に告ぐ  僕の為ために立ち停まるな
荒野より君を呼ぶ  後悔など何もない
荒野より君に告ぐ  僕の為ために立ち停まるな
荒野より君を呼ぶ  後悔など何もない


今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

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