なあむ

やどかり和尚の考えたこと

猿舞一座

2012年06月26日 21時38分12秒 | ふと、考えた

珍しく、葬儀が5日間に4件というハイペースであり、体も疲れていたのでしょう、これも珍しく風邪をひいてしまいました。

先日ホテルでエアコンをつけっぱなしで寝たのがよくなかったのですね。

今日ずいぶん寝たらだいぶ回復してきました。

先日の猿舞座の写真を少し。

20120621_215729この人が、猿舞座の親方、村崎修二さん。

この道ン十年、伝統本仕込み猿回しを復活し、日本中を旅しています。

テレビなどで有名な太郎次郎の村崎太郎さんは甥になります。

フォークシンガーとしては、高石友也、影法師などと深い親交があります。また、小沢昭一、永六輔などとも交流があり、一緒に公演を行っています。

民俗学者宮本常一の弟子でもあります。

そんなことで、話題は多岐に亘り、一晩語り明かしても飽きません。

東北巡業の際、お猿さんを休ませる場所が必要ということで、松林寺を宿にしてくれています。

もう一枚。

20120621_205604_2ギターを弾いているのが、村崎さんの息子、若頭耕平さん。

今、お猿の公演はほとんど耕平さんがやっています。

本仕込みの猿は、叩いて仕込む猿と違って、猿自身がやる芸はあまりありません。

きれいな毛並みの猿の自然の姿を見てもらう、そして、その土地の汚れを持ち「去って」もらう、という古くからの伝統芸なのです。

その何もしない猿をいかにもスゴイ芸をしたように見せるのが、耕平さんの語り芸なのです。

デビューの時は、浅草演芸場で小沢昭一さんが前座を務めてくれたそうです。

もう一人、何故かギターに合わせて合掌して木魚を叩いているのは、今回の旅に同行しているフォークシンガーのイージーたく、さん。

初対面の時から波長が合いました。

猿回しの公演で何をしているのか知りません。

子どもも大きくなったので、ということで時々こうして旅暮らしをしているようです。かつ呑み、かつ歌います。

非常にイージーな方です。

旅の人々は、豊かな時間を過ごしているなあとうらやましく思いました。

古来お寺は、こういう人々を受け入れて、そこから諸国の情報と文化を取り入れてきた、情報と文化の基地だったのです。


お猿さんと一緒

2012年06月19日 15時18分41秒 | ふと、考えた

6月も後半戦に入っております。

北海道から戻って、16日は久しぶりに気仙沼でした。

SVA役員・スタッフ現地学習会で岩手と気仙沼を回ったのですが、私は気仙沼のそれも夜だけの参加でした。

昨日18日は、曹洞宗8教区、21教区の護持会総会で、ダブルで講演をさせていただきました。

そして昨日から、山口県の猿回し一座「猿舞座」の一行、人間3人と猿2人(匹?)が松林寺に滞在中です。

昨日はとりあえず歓迎の気持ちを込めて、4時過ぎから乾杯となりました。

縁側で暮れなずむ庭を眺めながらいい時間を過ごしました。

飲むほどに酔うほどに熱気を帯び、歌が飛び出し、呵々大笑し、旨い酒となりました。

不思議と今朝は爽やかな目覚めでした。いただいた酒が良かったのだと思います。20120618_201219

気仙沼に行った時に、足裏マッサージの人から「健康を保つ限界ギリギリの状態ですね、特に脳と大腸が悪いです」と言われて心配になり、今日脳外科に行ってMRIを撮ってもらいました。

結果は、「まあ、正常の範囲内でしょう」ということで、まずは安心しました。

次は大腸ですね。

さて、今晩は軽く飲みましょう。


大震災130 原発再稼働

2012年06月18日 09時41分33秒 | 東日本大震災

今日の新聞で、福島原発事故直後にアメリカが飛行機を使って測定した放射線量のデータが公表されず、大勢の人が避難した先で被曝してしまった、という記事が載りました。

次々と明らかになる、国の失態。

まことに脆弱な危機管理態勢の中で我々は暮らしているのだと恐ろしくなります。

以下は、一昨日「ほんとうの空」に書いたものです。

本日6月16日、政府は福井県知事と協議しておおい原発の再稼働を正式決定するようです。

福島第一原発の事故から1年3ヶ月、福島県民がどれ程の苦しみを味わってきたか、そしてこれからその苦しみがどれほど続くのか、それをどれ程受け止めているのでしょうか。

南相馬市で、「県外の我々は皆さんのために何ができるでしょうか」と尋ねた時、その方は「原発反対の声を上げて下さい、それが何よりも私たちの願いです」とおっしゃいました。

原発を再稼働するということは、福島の苦しみを見て見ぬふりをすることに変わりありません。

これほどの犠牲を払って、原発はまことに危険な機械であることを思い知らされたはずです。安全な原発など存在しないということを大きな痛手を負って気づかされたはずです。

飯舘村菅野村長が「この事故を『福島の人たちのあの苦しみがあったからこそ日本が世界から尊敬される国になった』という転換点にしてほしい、そうでなければ、今の我々のつらさはあまりにもむなしい」と語っていました。

日本人が、これまでの便利さ追求一辺倒の価値観から、自然と調和しながら生きるライフスタイルに変換していくきっかけにすることで、福島の人々が、自分たちの苦しみが「無駄ではなかった」とせめても思っていただける、ということでしょう。

昨日の朝日新聞オピニオン「耕論」で、原発再稼働に対する発言を取り上げていました。

音楽家坂本龍一さん、真言宗の僧侶中嶌哲演さん、福島県から福井県に避難している川崎葉子さんの3人です。

中嶌さんの言葉から

「安全神話は福島の事故によって崩壊したのではありません。原発が各地の寒村に押しつけられたとき、すでに崩壊していたのです。大都市の近くには造れない危険な施設と分かっていたのですから。原発を受け入れた自治体は麻薬のようなお金で、子孫に対する倫理観までマヒさせられた。その意味で、巨大な原発推進システムに土足で踏み込まれた被害者なんですよ」

政府は原発再稼働の理由を「国民の生活を守る」ためと言っているようです。

福島の人々の生活は守ってくれているのでしょうか。

絶望から自殺まで追い込まれる人々の苦しみを見て見ぬふりすることが、生活を守ることなのでしょうか。

それとも、もう、福島の人々は国民から除外されているのでしょうか。

「国民」とは誰のことなのか、「生活」とは生きる以外のことなのか。

事故によって、生きることさえも困難な状況に追い込んでしまう原発を、せっかく停まっているものを、無理に動かすことが「生活を守ること」だと言える神経が信じられません。

「安全が確認できた」とか。

この度ほど「安全」という言葉の「危険」さを味わったことがないでしょう。

なのに今更「安全」と言われて「安心」すると思う人々の神経が信じられません。

私は日本国民が大好きです。しかし、この国の政治家は狂っているとしか思えません。

国民がかわいそうです。

まじめに働いて、荒れ地を開墾し、わずかな土地から努力一つで食糧を生産し、お上に文句も言わず、正直に税金も払い、地域の人々と力を合わせて生き抜いてきた。政治家は生活をよくしてくれる先生だと信じて選挙にも投票してきた。

そんなまじめな国民を「生活を守る」だの「安全」だのという言葉でだますことは、本当に罪です。許し難い。

次の選挙には、甘い言葉にだまされず正しい判断をしましょう。

それぞれ黙っていないで声を上げましょう。

再稼働まではまだ少し時間がかかるようです。あきらめず最後まで反対していきましょう。

熱くなって長文になってしまいました。


利尻島

2012年06月15日 14時28分17秒 | ふと、考えた

12日、稚内で北海道第3宗務所青年会総会での講演があり、そのついで、足をのばして利尻島まで行ってきました。

もちろん初めての渡島です。

高校時代山岳部でしたから、山の雑誌で利尻富士を見てその姿にあこがれていました。

船で島が近づくにつれその雄姿が間近に迫ってきて、感動一入でした。

20120613_084840 到着して、島内一周の観光バスに乗り、島巡りをしました。

姫沼、オタトマリ沼など、東西南北から見る利尻富士は、その度ごとに七変化します。

20120613_095440 当然、栄養補給をしなければなりません。

20120613_103812 午後には鴛泊のペシ岬に登って絶景を満喫。

Dscn2449 Dscn2446 宿に1泊して、サイクリングロードを自転車で周り、仕上げにウニ丼を食べて帰ってきました。

20120614_115325

周囲6㎞ほどの小さな島ですが、島民5000人、「利尻町」と「利尻富士町」の2つの町があり、観光と利尻昆布を代表する海産物に恵まれたとってもいい島でした。

暖流の関係で、冬はマイナス10度以下にはならず、夏も27度以上にはならない、北海道本島よりも過ごしやすい気候のようです。

おみやげ屋のおばちゃんと話した時、この島にお寺はあるのかと聞くと、

「あるよー、デンデラもあるし、シンシュウもホッケもあるよ」と、魚屋みたいな答えでした。

「デンデラ?」

「曹洞宗って言うの?ウチもそうだよ、えっ、お坊さん?」

「そう、曹洞宗だよ、何でデンデラって言うの?」

「さぁ、でもそう言うよね」「言う言う」

「ふーん、・・・もしかして、『禅寺』のことじゃないの」

「ゼンデラって何?」

「ほら、坐禅する」

「ああ、そうかもしンない」

まるで禅問答みたいな。

最果ての夢の浮島、利尻島。

上陸前、こんな島に人が住めるのだろうかといぶかりましたが、本当にいいところでした。

熊もヘビもいない、小鳥の楽園でもありました。なぜが猫もいませんでした。


大震災129 「風化」徳本寺テレホン法話より

2012年06月07日 11時25分44秒 | 東日本大震災

チーム21世紀文明の同志であり、「まけないタオル」の作詞者であり、私の尊敬する師である早坂文明さんのHPには、10日に一度更新されるテレホン法話「3分間心のティータイム」の原稿が掲載されています。

これまでも、震災後たくさんの心を打つ法話が掲載されてきましたが、今回の「風化」もとてもいいお話でしたので、転載させていただきます。

【第880話】 「風化」 2012(平成24)年6月1日-10日

20120601.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第880話です。

 明るいニュースです。5月21日、月が太陽に重なり、リングのように見える金環日食が観測されました。国内での観測は25年ぶりでした。翌22日は世界一のタワー、東京スカイツリーが開業しました。高さは634メートルです。25日には、放鳥した国の特別天然記念物トキのひなが、一羽巣立ったと発表されました。自然界で巣立ったのは、国内では38年ぶりだそうです。

 こんなことを素直に喜べるようになった今日の日を有り難く感じます。一年前なら、とてもそうは思えなかったでしょう。千年に一度と言われる大震災の前では、同じ自然の営みとは言え、25年ぶりの金環日食も、38年ぶりのトキの巣立ちも、影が薄くなります。世界一高いタワーと言われても、10メートルとも20メートルとも言われる世界一高いかもしれない津波を見てしまえば、高さは恐怖にも思えます。何より、次から次へと報道されるニュースの波に流されて、まだまだ復興途上にある被災地のことが、忘れ去られるような気がしてなりません。

 そんな中で、山元町の横山さんの所有していたハーレーダビッドソン社製のオートバイが、津波で流されたものの、カナダのグレアム島に漂着して、住民に発見されたというニュースも届きました。海岸沿いにあった横山さんの自宅で、トラックの荷台を改造したコンテナに保管していたものでした。それが、自宅とともに津波で流されました。コンテナは流されても、沈むことなく、太平洋を横断したという奇跡のような話です。アメリカにあるハーレーダビッドソン社では、是非修理して所有者に返したいと言っていましたが、横山さんは最初からそれは願っていませんでした。自分以外にも多くの方が被災して、失ったものもたくさんある中で、自分の持ち物だけが返って来ることにためらいがあったようです。

 横山さんは「震災が風化することのないように、そのまま展示して多くの人に見てほしい」と言って、ハーレーダビッドソン社のミュージアムに寄贈しました。実は、横山さんは徳本寺の檀家さんです。住まいしていた中浜という地区は、ほとんどの家屋が流され、跡形も無くなってしまいました。町内でも最も多くの犠牲者が出ました。横山さんも、お父さんとお兄さんと弟さんの3人を喪っています。愛車が海を渡って発見されたと言っても、手放しで喜べるような状況ではありません。

 一年間も震災のニュースを見続けていると、もっと違うニュースはないのかと、思う人がいるでしょう。それは風化の始まりです。今後どんな珍しいニュースがあろうと、それはそれ。震災の現実は、たった一年で消えるようなものでもなく、復興できるような生易しいものでもありません。横山さんの震災を風化させないでという思いを、その愛車は普段なら風を切って走るところ、風化という風を避けて、波に乗って大陸まで伝えてくれたのかもしれません。

 それでは又、6月11日よりお耳にかかりましょう。


オウンゴール

2012年06月03日 22時03分16秒 | ふと、考えた

6月に入り、今月は講演や出かける予定が詰まっています。

1日は、仙台で東北管区青少年教化員研修会の講演があり、午後からは最上町で山形県自治体病院総会の講演と、ダブルでした。

昨日2日は、河北町環境を考える会の福島現地学習でした。(詳しくは右のリンク「ほんとうの空」からご覧下さい)

5・6日は、四国管区布教研修会の講演で松山です。

7日には葬儀があり、9日は松林寺の大般若会です。

その午後には長野に移動して10日松本で晋山式。

11日は福島飯坂で東北管区教化センターの会議があります。

12日から14日は北海道稚内です。

前半はそこまでで、後半もあります。

6月は用事が入りやすい傾向にありますが、それにしても詰め込みすぎたかと心配になっています。

どこかで休みながらやりましょう。

それにしても、今晩のようにサッカーの試合が気持ちよく勝ってくれると気分が良くなります。

その試合中に臨時ニュースが入り、「菊池直子が自首」とのこと。

スマホでニュースを読んだ娘が、「菊池直子にはサッカーを見てから自首する余裕がなかったのか」とか、「菊池直子がゴール!」などという書き込みがあると教えてくれた。

ゴールといっても、この場合「オウンゴール」ですね。

私もオウンゴールには気をつけます。