なあむ

やどかり和尚の考えたこと

サンサンラジオ396 見えないものと共に生きる

2022年12月18日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
三ちゃんのサンデーサンサンラジオ。第396回。12月18日、日曜日。

15日の夜に降り出した雪は、翌朝50センチに達していました。
今期最初の除雪機出動となりました。
ただ、降り始めの雪は湿っていて重く、除雪機も難儀します。
朝の運動にはちょうどいのですが、人間も慣れるまでは少々難儀します。
早く慣れて、雪とつき合っていかなければなりません。

最上の地酒「山と水と、」の仕込みが始まり、昨日は河北町の和田酒造で会員+ゲストによる仕込み体験でした。
1,980㎏の最上産酒米出羽燦燦を50%精米し、最上のおいしい水を加えて、720ml換算で約4000本を作る計画です。
水は4回に分けて1,850ℓ運びました。
今年は生原酒にも挑戦する予定で、どんな味になるかとても楽しみです。
生原酒は先行予約限定で販売することにしています。数に限りがありますが、まだ少しの余裕があります。
ご希望の方は事務局まで、メール(shorin@cup.ocn.ne.jp)でお問い合わせください。

この地球上には大きく分けて「動く命」と「動かない命」があります。
大雑把に分ければ「動物」と「植物」です。
しかし、それは全く別の生き物なのか、と言われればどうでしょうか。
「動く」と「動かない」の違いはありますが、よく見ると、それは互いに依存し合っていると分かります。
たとえば、イチジクとイチジクコバチの関係があります。
イチジクは「無花果」と書くように花のない植物に見えます。
ところが、イチジクの花は、その実の中にあるのです。
その実に卵を産み、幼虫が実の中の栄養を摂り、羽化して花粉をポケットに入れて外に飛び出し、別の実の中に入って受粉するのがイチジクコバチなのです。
イチジクとイチジクコバチのどちらが先かは分かりません。おそらくは同時に進化してきたものでしょう。
念のため、日本のイチジクはコバチがいなくても実がなるように改良されたもので、実の中にハチがいることはありません。
他にも、植物の花の受粉を助けるのはほとんどが昆虫たちです。
実をつける植物も、鳥も含めて動物にご褒美をあげて種を遠くまで運んでもらう仕組みを持っています。
動物を動かしているのはむしろ植物だと言ってもいいほどです。
その二つの種類が別の生きものだとは、思えないのです。
この世から植物がなくなったら、動物は間もなく絶滅するでしょう。
動物が絶滅したら、植物は生き延びそうですが、もしかしたらそうではないかもしれません。
少なくとも、海の中で誕生した地球上の生命が、植物が先に上陸し、それに誘われそれを追いかけるように動物も上陸していったのであり、植物には動物よりはるかに「意志」があると思えます。
植物を「動かない命」と言いましたが、植物全体の進化を考えれば、植物は活発に積極的に「動いてきた」と言えます。
もう一つ、土を作ったのは植物と微生物です。
秋の落ち葉を掃くと、早くもその下にはダンゴムシやミミズが隠れています。枯葉を食べて分解してくれようとしているのです。
さらに目に見えないような微生物が分解を重ねてどんどん積み重なっていきます。
そして土は、植物を育て、微生物や昆虫を育てる土壌となるのです。

今猛威を振るっているウィルスという存在は、今から100年少し前に発見されたようですが、それ以前は当然目に見えない、存在そのものがあるかどうか分からないものだったでしょう。
同じように、目に見えないながら動物の役に立ってきたものがあります。
それは菌です。
菌は、悪さをすることもありながら、一方重要な役割も果たしてきました。
乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌などはその一部でしょう。
また、麹菌、酵母菌などはパンや味噌を作るのに欠かせないものです。
そしてもう一つ、酒にも。
酒は、蒸した米にカビの一種である麹菌を振りかけ、さらに酵母菌を加えてデンプンを糖分に変え糖分をアルコールに変える働きを促します。
古い酒蔵には長い間に自然の酵母菌が住み着いていて、それを利用して醸す酒を「生酛造り」と言います。
その場合、発酵の時間を短縮する意味で米を擂りつぶす作業が行われます。これを「山卸(やまおろし)」と言います。
その作業をしないで時間をかけて造るのを「山廃造り」と言います。
いずれにせよ菌がなければ酒はできません。
菌の存在などに気づかない大昔から、人は菌の力を借りて酒を造り、酌み交わし、人生を楽しんできたのです。
目に見えない存在とも共に生きていかなければなりません。

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。

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