なあむ

やどかり和尚の考えたこと

大震災113 まけないダンス

2012年01月31日 12時04分30秒 | 東日本大震災

やなせななさんのブログで、1月14・15日四国で開催された曹洞宗教化センターの「禅をきく会」の様子が書かれていました。

やなせさんのコンサートと早坂文明さんの講演の様子です。

その中に、まけない!タオルがダンスになったというくだりがありましたので、許可を得て転載させていただきます。

以下その一部です。

これまでに「まけないタオル」の歌は、合唱曲にしていただいたり、ピアノで弾いていただいたり、吹奏楽のバンドで演奏していただいたり、幼稚園のお遊戯で使っていただいたり…と、いろいろな形で広がって来ましたが、ダンスというのは初めてです。いやあうれしいな(≧▽≦)

拍手に包まれた会場では、タオルがたくさん揺れていました。
気がつくと、みんなとびきりの笑顔・笑顔。
あたたかい空気が、広いホールいっぱいに満ちてゆくのを感じた一日でした。
おかげさまでタオル募金は、多くの人のご協力を得ることができたそうです。


終演後、
被災地と遠く離れていても、
心はつながっているような気がした、
と話してくださった人があり
わたしは、ふと考えました。

「まけない!タオル」は、昨年の初夏に、被災地支援活動として始まりました。
わたしも活動に参加し、たくさんの賛同者を募り、募金を集め、タオルと歌をお届けして各地を回りましたが
その後、いろいろな場面でタオルと歌が広がっていくのを知りました。
被災した経験を持たない人の心にも、タオルと歌は元気を届けてくれるようです。

誰かが誰かを想う気持ちは、
どんなに離れていてもつながるものであると
知らされて元気づけられるのは、
被災した方々だけではないのです。

みんな誰も代わることのできない苦しみや悲しみを背負って
それぞれの毎日を生きています。
その中で孤独を感じる場面は、いくつもいくつもあるでしょう。
そんなとき
元気づけてくれるタオル。

タオルで世界は変えられません。
それどころか、中途半端な丈のタオルなんて、何の役にも立たないかもしれない。
でも
支え合う心をつなぐシンボルとしてタオルを手にすることで
どんなに絶望していても
もう少しだけ
生かされている今を生きてみよう

思えるきっかけを得ることができるかもしれないのです。
また、自分は一人ではないのだと実感する瞬間を、誰かと共有できるかもしれないのです。

どう考えても
ひとは、ひとりぼっちで生きるより他ないのに
なぜ
誰かの痛みに泣き
誰かの笑顔に喜びを見出すのか
何と不思議な尊さよ。

これが
仏性
と呼ばれるものなのかもしれません。


タオルが担う役割を
改めて感じた二日間の「禅をきく会」でした。

お世話になった曹洞宗四国管区教化センターの皆さん
香川県・愛媛県内のお寺さま、和尚さま方
そして会場に足を運んでくださった方々
スタッフの皆さん
素晴らしい教えをお聞かせくださった早坂文明老師
ほんとうに
ほんとうに
ありがとうございました。

涙を超える想いと祈り
そして笑顔
わたしはずっと
忘れません。


合掌


※今回のことは早坂文明さんのテレホン法話でも紹介されています。

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大震災112 心の復興

2012年01月30日 15時43分01秒 | 東日本大震災

28日はもう一つ、気仙沼から大漁唄い込みのメンバー26名が最上町にやってきて、赤倉温泉で新年会が開かれました。

この日私は、その前の法事の席と合わせて日に3回の酒席でした。(胃の具合が)

最上町側の受け入れメンバーと合わせて50名弱になり、毎度の如く、飲めや歌えや踊れやの大宴会となりました。

大漁唄い込みで交流した赤倉幼稚園の園児が、もう一つの伝統芸能「虎舞」の道具一式が流されたのを聞いて、何と紙の張り子で虎の頭を作ってくれました。

もちろん、この頭で虎舞を披露してくれたのは言うまでもありません。

唄い込みのメンバーがしみじみと語ってくれました。

「震災後初めて大漁唄い込みをやったのは最上町でした。その声をかけてもらったとき、我々は本当にがんばろうと思いました。伝統文化は心の復興なんですね。本当にうれしかったんですよ。だから今日もこうやって大勢のメンバーがやってきたんです」と。

それで私は思いました。

流されてしまった「虎舞」の太鼓を支援したいと。

まけない!タオルで支援していただいた支援金の中から「心の復興」として使っていきたいと思っています。支援者の皆様にはご了解いただきたく。

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大震災111 歌の力

2012年01月30日 14時46分14秒 | 東日本大震災

28日土曜日、NPO法人やまなみ、新春交流パーティがありました。

昨年の震災以来、支縁活動を続けてきた記憶を振り返り、また新たな一歩を踏み出そうという集いでした。

特に、8月に最上町と12月に東京で開催された「音の風 復興支援コンサート」は大きなプロジェクトとなりました。

そのきっかけとなったのは、「まけないタオル」の歌を聴いた最上町のコーラスグループ関係者が、この歌に感動し、「みんなで歌いたい、合唱曲にできないだろうか」と動いたところにありました。

歌を歌うことによって、心のつながりは更に強くなり大きく広がっていきました。まるで雪だるまのようにドンドンと大きくなっていったのです。

28日に、できたばかりの「記録集」をいただきました。

参加者の感想文集という内容ですが、その中から、福島県から最上町に避難し、8月のコンサートに参加、その後神奈川県に引っ越して12月の東京公演に参加した、小学3年生叶谷優海香ちゃんの感想文を紹介します。

「山形を後にしてから1ヶ月になり、久しぶりにみんなに会えるのを楽しみにしていました。練習の途中で引っ越ししてしまったので、まちがえないで歌えるか心配でしたが、なんとか手話もおぼえて本番を終える事ができてよかったと思います。

東京にいる友だちも見に来てくれていたし、お父さんも目の前の席にすわっていたので、とてもきんちょうしましたが、笑顔で一生けんめい歌いました。楽しい時間をすごせたと思います。

歌ってすごい力だね。みんなの心が一つになって気持ちが通じあえて、私は歌うことで自分が明るく、やさしい気持ちになれました。

この思い出を大切に、これからもがんばりたいです。みなさんありがとうございました。」

もう一つ、最上町小学3年生、伊藤美紅ちゃんは感想文の中で、

「わたしが一番に心にのこった歌は、まけないタオルです。まけないタオルはとてもいい歌だと思います。わたしはいつもまけていたような気がします。でもこの歌を聞いてゆう気や、元気がわいてくる気がしました。だからわたしは、この歌にとても感しゃしています。」

と書いてくれました。

うれしいですね。

歌というのは人を動かす大きな力を持っているのだと、しみじみ感じます。

ある布教師さんが言ったことがありました。

「歌ってずるいよね、法話でいくらしゃべってもそう簡単に人を泣かせることはできないのに、歌は3分で泣かせてしまうんだから」。

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今かー

2012年01月26日 22時14分41秒 | ふと、考えた

先日記事をUPしてから二度上京する用事がありましたので、更新が空いておりました。

それでも、多くの方からこちらまでご訪問いただいたようでかたじけなく思います。

先日上京した際、夜中に胃酸が逆流して苦しくて一晩眠れない夜がありました。

これはいよいよダメかなと、色々なことが頭に浮かんで来ました。

自分の人生としては、好きなことをしてきたし、別に今死んでも悔いはないと思いました。

だけど、今かー。

来年は宿用院の晋山授戒会を控えているしー、息子にはまだ何にも教えていないしー、誰一人子どもを結婚させていないしー、母親はいるし-。

うーん、困ったな。

次の日も午後まで苦しかったのですが、苦手な梅干しとおかゆなど食べて、次第に収まってきました。

何のことはない、ただの飲み過ぎなんだと思います。

主治医に電話で聞いたら、「そういう状態でカメラ呑んでも仕方ないし、治るわけでもない」とつれないお返事。放っときましょう。

こちらの都合にかかわらず、来るときは来るのだと思いますが、「今かー」という事情はありますね。

しかし、私自身にとっては本当に悔いはないですね。

今からどうしてもこれをしたい、というようなことはないです。漠然と生きたいという感じもありません。

とりあえずは、三番目も成人式を済ませましたし、一応親の責任は果たしたということで、安心です。

そういうことだから、自分の体を気遣うということはないですね。

体のことなど、まずほとんど考えていません。だから飲み過ぎるのですよね。

みなさん長生きしてください。


大震災110 福島訪問

2012年01月19日 20時50分13秒 | 東日本大震災

既報の通り、今年はFUKUSHIMAに深く関わっていくつもりです。

一昨日、昨日と福島を訪ねました。

いわき市、石川町、福島市、伊達市をまわり、お寺を訪ね和尚さんたちと話をし、その中にいないと分からない貴重なお話をたくさん伺いました。

伺った情報は、できるだけ外に伝えていきたいと思っています。

そのためにブログを立ち上げました。

右のリンク「ほんとうの空」をご覧ください。

福島を孤立させないために多くの皆様にお読みいただきたいと思います。

曹洞宗青年会が行う「行茶」活動にもまぜていただきました。

この日の訪問は国見市にある飯舘村からの避難者が多く入る仮設住宅でした。

お茶の時間と合わせて足湯の提供もあります。

何と、檜の香りのする足湯です。湯上りの足拭きにはまけない!タオルが使われています。

ついでに私も入れていただきました。天気が良く、外での入浴も快適でした。

「これじゃ、混浴の合コンだね」

風呂に浸かりながら、地震の時の話など聞きました。Dscn2285Dscn2289

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大震災109 人の使い捨て

2012年01月09日 22時13分31秒 | 東日本大震災

今日、自殺関係で寺を訪ねてきた方から聞いた話です。

その方は大阪西成地区に住所のある人ですが、去年4月頃、日雇いの手配師から「震災復興の仕事」という名目で連れて行かれた仲間たちが向かったのは福島第1原発で、一日4時間の仕事で日当5万円、10日間という話だった。ところが仕事が終わって、支払われたのは15万円だけ。

1日5万円、の段階で、手配師にはかなりの手数料が入っていると思われますが、更にそこからピンハネされての1日1万5千円ということでしょう。

しかも、防護服もなく、ただの防塵マスクとゴム手、長靴だけ。作業が終わってからの線量検査もなかったということらしいです。

これが現実なのでしょう。

国も東電もマスコミも、そのことを十分に知っていながら、誰も何も言わない。

いつからこの国は人を使い捨てする国になったのでしょうか。どこに福祉国家があるのでしょうか。

国民が事実を知らされないということであれば、本当に将軍様の国と何ら変わらない。

ある一定の線から下は、見ないように、見えないようにしているとしか思えません。

暴力団の一斉排除はいいけれど、その資金源が貧困層からの徹底搾取に向かい、結局闇から闇へ人が葬られる、しかもそれを見て見ぬ振りをする国家とは。

義憤がマグマのようにたまってきています。


大震災108 新たなブログ開設

2012年01月08日 14時06分10秒 | 東日本大震災

FUKUSHIMAの現状を伝えていくのはその周辺の人の役割ではないか、ということで、新たなブログを開設しました。

タイトル「ほんとうの空」です。

このタイトルは早坂文明さんがつけてくれました。

福島の曹洞宗寺院を中心に、放射能被害の現状、お寺の状況、FUKUSHIMAの今を伝えていこうと思います。

なあむと併せてこちらもご覧いただければ幸いです。

http://fukushima.blogzine.jp/blog/


すべての幸せを願う

2012年01月06日 09時26分05秒 | 今日のありがとう

一切の生きとし

生けるものよ

幸せであれ

安泰であれ

安楽であれ

(釈尊の言葉「スッタニパータ」より)

勝ち負けではない、損得でもない、東西、南北の違いもなく、上下、大小、貧富、貴賎の別なく、この世に生あるすべての命よ、幸せであれ。

それがお釈迦様の心です。

歴史に残る大災害も、時間と距離に比例してどんどん忘れ去られていきます。

それは世の常で仕方のないことだと思います。

しかし、せめて、白河以北の人々は、現に今、そこに苦しみの人々がいることを忘れてはならないでしょう。

苦しむ人々を見捨てて、自分だけが幸せになれるはずがありません。

たとえば、我が子の苦しみを見て、親は幸せを感じられるでしょうか。

「一切衆生は皆我が子なり」と見たお釈迦様。

その教えをいただく仏教徒です。

津波の映像を見て叫びませんでしたか「早く逃げて!」。

再会して抱き合う姿を見て心から思いませんでしたか「良かったね!」と。

あの時私たちは、確かに、すべての人々の幸せを祈りました。

そういう心が私たちにはあります。

今年もその心を大切にしていきましょう。

(平成24年1月「なあむ」214号)