今日は本の紹介と兼ねて先月部局調整費の公文書を閲覧してきた一部(広報課分)を紹介する。
最近は週に3、4冊の本を読んでいるが、先々月出版されるや読んだのが「世界遺産にされて富士山は泣いている」というショッキングなタイトルの本である。
登山家である野口健氏が著しており、肝心の内容も直言的で面白い。
票集めの人気取りや観光客目当ての経済効果など私欲渦巻く喧噪の中にあって、私欲なく現状を憂うる著者の気持ちがよく出ている一冊だ。
その中に出てくるのが「電通」という広告代理店と富士山世界文化遺産の関係である。
富士山頂の鳥居と電通の関係などの話題に触れつつ、著者は
「富士山を文化遺産として世界遺産に使用という直送は、電通から出てきたものではないかという噂を聞く。大企業に対する嫉妬、または偏見も含まれているかもしれないが、いずれにせよ日本中にある世界遺産でこれほど広告代理店が絡んだケースはいままでなかった、と自治体関係者は口を揃える。」と登録に絡んだ異様な加熱ぶりを指摘するのである。
さて、静岡県とその電通の関係はどうであろう。
県がホームページ上で公開している監査調書(事務事業実績)を見ても表には出てこない。
では、無関係かというとそれは誤りである。
表に出てこないのは、県が電通と契約する際の科目が、一般的な委託費(これは監査調書で委託先から金額、内容まで記載し公開しなければならない)ではなく、役務費(契約先など公開の義務なし)という単なる手数料類似の取り扱いとしているからなのである。
理由は広告費、つまり新聞に広告を掲載する役務(手数料)の金額が大半を占めるからというのであるが、広告代理店に明らかに「業務」を委託するのに、さすがに国にあってもそのような取り扱いはしていない。
例えば、ネット上で検索してみても、「地球温暖化防止大規模「国民運動」推進事業」においては、広告代理店の株式会社博報堂に業務を委託する契約を締結しているが、この積算内訳は、人件費240,869,000円、旅費6,470,820円、諸謝金218,000円、印刷製本費270,000円、借料損料43,015,080円、外注費187,647,560円、雑役務費(素材制作・広報媒体使用費等)2,031,428,572円、一般管理費61,509,540円及び消費税128,571,428円と、約79%を役務費が占めていても業務委託であれば委託料なのである。
さて、そもまでして隠したい広告代理店との関係の例として、平成25年度の「富士山世界遺産登録記念広報業務」について見てみよう。
金額は墨塗りされているが、これだけのものに約2千万円も投じられているのである。
この金額は、県の平成26年度当初予算の「広報・報道推進費」19,999千円に匹敵する額である。
なお、電通が選ばれたのは金額競争によってではなく、その企画内容がもっとも優れていたから単独で見積もりをして採用したというもので、ここにも不透明感がありありだ。
詳細な業務内容は末尾に添付のpdf版契約書類等の中の業務要領を見ていただきたいが、タレントをアンバサダーとして表出させたり、ウェブサイトで投票した人の中から抽選で10万円の旅行券などの商品をプレゼントしたり、新聞広告を出したり、駅に広告を掲出したりというもので、費用対効果のほどは大いに疑問なのである。
そこで、冒頭に紹介した「世界遺産にされて富士山は泣いている」の電通絡みの記述の後半部に話を戻そう。
野口氏は「過去にさまざまなイベントに参加してきたが、いかに”イベント”のための”イベント”が多かったことか。それは”会議のための会議”に似ているのかもしれない。そして、結果的にそうしたイベントは、「条件」をクリアするような具体的なアクションにはつながらなかった。」「富士山だから金が動く。金が動けばさまざまな利権も動く。政治も動く。人間のエゴが渦巻く場所。要するに富士山とはそういう場所であるということだ。」と核心を突く。
実に共感するところだ。何のために、誰のためにそれを行うのか、建前としてはあっても、真意としては欠落している。それが今の政治であり行政の姿勢だ。だから、変われないで凋落して行くばかりなのである。
<平成25年度「富士山世界遺産登録記念広報業務」資料>
契約書類等.pdf
会計書類等.pdf
最近は週に3、4冊の本を読んでいるが、先々月出版されるや読んだのが「世界遺産にされて富士山は泣いている」というショッキングなタイトルの本である。
登山家である野口健氏が著しており、肝心の内容も直言的で面白い。
票集めの人気取りや観光客目当ての経済効果など私欲渦巻く喧噪の中にあって、私欲なく現状を憂うる著者の気持ちがよく出ている一冊だ。
その中に出てくるのが「電通」という広告代理店と富士山世界文化遺産の関係である。
富士山頂の鳥居と電通の関係などの話題に触れつつ、著者は
「富士山を文化遺産として世界遺産に使用という直送は、電通から出てきたものではないかという噂を聞く。大企業に対する嫉妬、または偏見も含まれているかもしれないが、いずれにせよ日本中にある世界遺産でこれほど広告代理店が絡んだケースはいままでなかった、と自治体関係者は口を揃える。」と登録に絡んだ異様な加熱ぶりを指摘するのである。
さて、静岡県とその電通の関係はどうであろう。
県がホームページ上で公開している監査調書(事務事業実績)を見ても表には出てこない。
では、無関係かというとそれは誤りである。
表に出てこないのは、県が電通と契約する際の科目が、一般的な委託費(これは監査調書で委託先から金額、内容まで記載し公開しなければならない)ではなく、役務費(契約先など公開の義務なし)という単なる手数料類似の取り扱いとしているからなのである。
理由は広告費、つまり新聞に広告を掲載する役務(手数料)の金額が大半を占めるからというのであるが、広告代理店に明らかに「業務」を委託するのに、さすがに国にあってもそのような取り扱いはしていない。
例えば、ネット上で検索してみても、「地球温暖化防止大規模「国民運動」推進事業」においては、広告代理店の株式会社博報堂に業務を委託する契約を締結しているが、この積算内訳は、人件費240,869,000円、旅費6,470,820円、諸謝金218,000円、印刷製本費270,000円、借料損料43,015,080円、外注費187,647,560円、雑役務費(素材制作・広報媒体使用費等)2,031,428,572円、一般管理費61,509,540円及び消費税128,571,428円と、約79%を役務費が占めていても業務委託であれば委託料なのである。
さて、そもまでして隠したい広告代理店との関係の例として、平成25年度の「富士山世界遺産登録記念広報業務」について見てみよう。
金額は墨塗りされているが、これだけのものに約2千万円も投じられているのである。
この金額は、県の平成26年度当初予算の「広報・報道推進費」19,999千円に匹敵する額である。
なお、電通が選ばれたのは金額競争によってではなく、その企画内容がもっとも優れていたから単独で見積もりをして採用したというもので、ここにも不透明感がありありだ。
詳細な業務内容は末尾に添付のpdf版契約書類等の中の業務要領を見ていただきたいが、タレントをアンバサダーとして表出させたり、ウェブサイトで投票した人の中から抽選で10万円の旅行券などの商品をプレゼントしたり、新聞広告を出したり、駅に広告を掲出したりというもので、費用対効果のほどは大いに疑問なのである。
そこで、冒頭に紹介した「世界遺産にされて富士山は泣いている」の電通絡みの記述の後半部に話を戻そう。
野口氏は「過去にさまざまなイベントに参加してきたが、いかに”イベント”のための”イベント”が多かったことか。それは”会議のための会議”に似ているのかもしれない。そして、結果的にそうしたイベントは、「条件」をクリアするような具体的なアクションにはつながらなかった。」「富士山だから金が動く。金が動けばさまざまな利権も動く。政治も動く。人間のエゴが渦巻く場所。要するに富士山とはそういう場所であるということだ。」と核心を突く。
実に共感するところだ。何のために、誰のためにそれを行うのか、建前としてはあっても、真意としては欠落している。それが今の政治であり行政の姿勢だ。だから、変われないで凋落して行くばかりなのである。
<平成25年度「富士山世界遺産登録記念広報業務」資料>
契約書類等.pdf
会計書類等.pdf
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