思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

ヘーゲル完全読解!?うん、なるほど。

2008-01-13 | 書評
昨日夕方、「完全読解・ヘーゲル『精神現象学』」(講談社選書メチエ)という怪しげな名の本(笑・失礼!)が著者謹呈で竹田青嗣さんから送られてきました(数日前に「出版社のミスで遅くなってしまった」旨、竹田さんからメールがありました)。

ヘーゲルという人間は、文章が下手で、かつ、自分でつくった術語をたいした定義もなしに使う悪癖のある人なのですが、そのしつこく込み入った文章、しかも後期の神学丸出しのへんてこな「哲学書」に幻惑されずに、よくもまあ、これだけ良心的に読解したな~というのが1時間くらいで速読したはじめのわたしの感想です。「完全読解」!と言いたいのもよく分かりました。

竹田さんとは人間のタイプが異なる西研(にし・けん)さんとの共同作業が素晴らしい成果を上げた!と思います。お二人は共に、現実次元ではなく「哲学世界」で力を発揮するタイプですが、おそらくこれほどのヘーゲル本(「精神現象学」が中心)は空前絶後のような気もします。

こういう本が世に出ると、大学でヘーゲル哲学を講じる先生は大変でしょう。学生にこれを読まれてしまうと立場なし!ですもの~(笑)。禁書、いや焚書かな!?

ヘーゲル哲学の真髄を知りたい方、および、ヘーゲル哲学から現代哲学(ポストモダンという名の知の退廃)を越える思想を汲み取りたい方は、この本を熟読されるといいと思います。1000年もつづき難攻不落と思えたキリスト教の「スコラ哲学」を打ち破った【近代思想】が、脆弱で甘ちゃんの現代思想よりもはるかに優れたものであることが了解されるはずです。

ただし、わたしは、小さい子どもたちから成人者までの「意味論的・対話的な学習・教育」の仕事やいろいろと変化に富む生活の中で、直接経験から書物に拠らずに自分で考えを生み出すタイプの人間(頭脳)ですので、哲学書の解読は、竹田さんや西さんにお任せです。お二人とも実に優れた稀に見る解析者― 読解者であることは、わたしが太鼓判を押します。

武田康弘
コメント
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