Maintenance SHIOHOUSE

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「店主の独断と偏見でつづる個人的な日誌」

フルメンテナンス CB400F(後編)

2024-02-11 00:27:25 | CB400F/350F

前回の動画で間違いがありました

この車両の黒塗装はパウダーコートではなくウレタン塗装でした

塗膜が浮いたシワ状態を見て早とちりしてしまった。

 

スパークアドバンサーもグリスっ気はわずか

熱も掛かるし回転しているのでグリスが出てしまうので時折チェックをしたい

このTECのタイプはカム側にグリス溜まりがあり、耐熱性の高いグリスを充填したい

※NDはシャフト側にグリス溜まり溝がある

合わせてアームの軸も潤滑する

 

オイルシール外周から出ている様子、コーキングしましょう

 

テンショナーセッティングボルトがオイルまみれです

ここもOリング硬化かと思いきや

ん?

居ない!?じゃぁ漏れるわ

 

ダイナモカバー側、オイルパスプラグが凄いことに

液状ガスケットてんこ盛り

たまに見かけます、Oリングケチって液所ガスケットでお茶を濁しているパターン

クランクシールに漏れは無いがポイント側が漏れているので遅かれ早かれなのでコーキング

これは漏れを事前に予測しての対応

液状ガスケットをあらかた除去し、パスプラグを抜こうとしたら外れない

外れないから液状ガスケットか.......横着というか.....

このメインギャラリーの反対側、オイルパスキャップBを外し(どうせここもOリング交換)

長い棒で叩いてあげれば良い※汚れた棒は使ってはいけないゴミが残ればメタルに直行です。

オイルパスプラグは見事に外れて差し込み部をきれいに磨いて新品Oリングを付け装着

手間を惜しんではいけない

 

オイルパスキャップAはフィルターケースを外さないと外れない

無論Oリングは硬化していました。

 

オイルポンプもOリング全交換

こうみると内部はきれいな様子、しっかりオイル管理されているのでしょう

ニュートラルスイッチOリング、セルモーターOリングも交換

ミッションのオイルシールもコーキング

カウンターシャフトのスプラインは焼き付き防止グリスを塗布

 

フロント周り

フロントフォークオイル交換

オーナーさんは走行中に底づき感があるという

また、車両を手に入れてからO/Hやオイル交換歴は無いとのことで交換して今回から距離数で管理ができる。

オイルを抜いてみると汚れてはいないが使われているオイルの番手は分からない

妙に光っている既存のボルト(画像右)はボトムケースごとバフ掛けされている

オーナーさん自身もボトムケースを磨く際に一緒に磨いていたという

研磨剤入りのケミカルで磨くと読んで字のごとく「研磨」するためきれいに光ります

ただ、気を付けて欲しいのが磨く相手を選ばなければいけないということ

アルミであれば良いが(手入れを怠れば腐食が始まるのは一緒)

鉄素材でユニクロ、三価クロメートなどの薄いメッキが掛かっているものは安易に削り落とされ地金がむき出しになるということ

湿気で簡単に赤錆が発生する

磨いて鏡面仕上げするのではなくて、クロームメッキ仕上げとするべきだろう

またクロームメッキ面も長きに磨けば表面のクロームメッキ(銀色)が削られ下地のニッケルメッキ層(薄黄色)が見え始める

何でもYouTubeでスポークを研磨剤入りのケミカルで磨いている動画があるそうだが、確かにきれいになるがその後のことを考えると恐ろしい

YouTubeやSNSなどでの発信も正しく無いものもあり安易に信じてはいけない

必ず詳しい人に聞いて裏を取ってから作業を進めて欲しい

純正の新品ドレンボルト、安いですから交換します

一晩置いてフォークオイルが抜けきったところで新しいオイルを注入

本来スプリングを抜いて注入するところだが秘密兵器がある

先端の細い漏斗、これをスプリングに差してフォークオイルを注入

ちなみにサービスマニュアルでは185~191CCと書かれているが

他の整備資料では162.5CCとなっており記載ミスと思われる。

 

ステムベアリングの引っ掛かりがありオーナーさんに直接見てもらい指示を頂くためフロント周りはいったん中止

 

細かいところをやっておこう

エアクリーナー底のエレメントBが不在、ブローバイガスがエアクリーナーケース下のブリーザーチャンバーを経てエアクリーナーケース内に戻る際に

オイルミストをキャッチするためのスポンジ

これが無いとエアクリーナーの下側のオイルミストでの汚れに差が出る

ブリーザーチャンバーのパッキン、経年劣化しており交換する

ブリーザーホースもクラックだらけ&短かったので交換

 

スイングアームはブッシュを外して内部を洗浄し古いグリスを除去し新しいブッシュに交換

ブッシュ圧入後に内部にモリブデングリスをたっぷり塗布して、同じくたっぷり塗布したセンターカラーを入れ

これでもかとグリスニップルから注入し両サイドから出てくるまで充填

グリスはケチらない!

 

リアブレーキ周り、このような可動部もグリスを塗布して組み立て

ブレーキペダルシャフトにも、フレーム側の筒にもグリスをたっぷり塗布

ブレーキスイッチスプリングはU字側をシャフトのステーへ

フレームにリターンスプリングをセットしておいてシャフトを差し込みます

この時にポンチマークが合っていることを確認する

シャフトを後ろ側から左手で押しながら、右手でブレーキペダルを動かしシャフト端面がペダルと面、

またはシャフトのテーパー部が出るくらいでボルトを締める

 

リアブレーキシューもグリスっ気が極少、

熱で流れない専用ブレーキグリスを塗布

ブレーキパネルも全バラして洗浄、ブレーキカムシャフト部分にもブレーキグリスを塗布して組み上げます。

 

リアハブ、ベアリングは問題無し、ドライブスプロケットが入る軸部分がドライ状態

新品スプロケットを組みますが軸部分には焼き付き防止グリスを塗布して組みます。

タイヤ交換時にバランスを取っていた様子が無かったとオーナーさん

フロントにはウエイトが無かった、リアには付いていたがいうこと??

付いてたウエイトを外してバランスを取ってみると無い状態で「000」、ひどいなぁ

リア周りを組み終わり

ステムベアリングの状態をお客様が確認、作業進行指示を頂きステム周りも分解

ボールレースを外す工具

上が純正SSTだが首の部分が不安で使っていない

何かの重量車のスイングアームピボットボルトが調子良くてずっと使っている

フレームにはバスタオルで養生、飛んだボールレースが当たって傷が付くことを防ぐため

また、コンビニ袋が役に立ちます。

叩いて飛んだボールレースをキャッチしてくれる

下側も同様にどこかにすっ飛んで行って二次被害を防ぎます。

ステムからコーンレースを外すのに専用SSTもあるのだが個人の作業で使う人も居ないだろう

たいがい画像のように叩いて外すパターンが多いと思う

この場合注意したいのが叩いた瞬間ドライバーが外れ足にヒットすること

ドライバー先端部でステムの塗膜に傷を入れないよう角度を考える

同じところをずっと叩くのではなく左右交互に叩きコーンレースが斜めにならないようにする。

 

外したコーンレース、錆の痕だか荒れています。

ボールレース側も同様で錆びた痕跡がありボールが転がる面が荒れています。

 

ヘッドパイプ内部はきれいにしておきます。

異物が張り付いていて、やがて落ちると下側のベアリングに落ちて動きが悪くなる

 

新品のレース類を組みましょう

ここはこのようなステアリングステムドライバーが必要

叩いた音が変わるまで打ち込みます。

フレーム側のボールレースにはこれドライバーハンドル+ベアリングドライバーアタッチメント

これも音が変わるまで叩き込む

下から叩くのでやり辛いがレースが斜めにならぬように叩き込む

打ち込みが十分でない場合(斜めの場合)後からステムにガタが発生する原因となるので確実な作業を行うこと

 

トップボールレースとボトムコーンレースにグリスを塗布してスチールボールを乗せる

上側が18個

下側が19個

サービスマニュアルには上下逆に個数が書かれている

ボトムボールレース、トップコーンレース側にもグリスを塗布して組みます。

トップスレッドは締め加減が難しい、トップブリッジを組んでステムナットを締めた際にねじ山の隙間分更に締まるからだ

 

わずかにガタがあるかな?くらいで

ステムナットは規定トルクは8kg-m~

トップスレッドを締めたときに丁度良い状態でも、ステムナットを締めると動きが悪くなる場合があるので

面倒でも動きを確認しながらやると良いでしょう

 

せっかくなのでメインスイッチの端子部分も磨いておきましょう

Before

After

ほとんどのコネクター部分の端子が腐食していることからワイヤーハーネス(メインハーネス)、ACジェネレーターハーネスも交換

シリコンレクトファイヤーのコネクターの端子も酷いことになっており整流機能はしっかりしているので端子のみ交換

きれいになりました。

 

フロントフォークインナーチューブの曲がりの確認

インナーチューブ同士を交互に重ねて隙間が出来なければ曲がり無し

隙間が出来れば曲がり有り

この車両のはほんのわずかに隙間があるが問題ない程度、上の方に錆の痕が有るので

将来的にオイル漏れなどでO/Hする際に考えれば良いでしょう

 

ホイールベアリングの動きが悪い、回りが重いのだ

みるとベアリングの外輪が少し中に入っている

本来ここはホイール面と平らでちょうど良い

ベアリングリムーバーで浮かせて

ホイール面と合わせて軽く動くようになりました

しかし引っ掛かりが酷く要交換

 

リテーナーを外す際に手回しで無理そうな場合はショックドライバーを使って少しでも緩めるのだが

これはビクともしない

万一緩み止めでも塗布してあるのではとヒートガンで温める

全周充分に温まったところでショックドライバーで叩くとやっと緩みました。

ここからは手回しで慎重に緩めます。ハブとリテーナー共にアルミのため最悪かじってしまうこともあり

内燃機屋行きなんてリスクもある。

何とか外れました

先ほどのベアリングから抜きます

両面シールのベアリングが付いていました。

抜いたディスタンスカラーはグリスだらけ

内部も恐ろしいことに

きれいに掃除することを考えると憂鬱

リテーナー側は純正かな片面シール

単にコストダウンでしょう

せっかくなのでリテーナーのねじ山にタップを掛けてねじ山のクリーニング

内部をパーツクリーナーで洗浄

使うのは両面シールのベアリング

リテーナーがすんなり組めるか確認

ベアリングドライバーを使います

ドライバーハンドル先端にガイドが取り付けられ、ずれるこずれることなく打ち込むことができる

まずはリテーナー側から

こちら側は奥に当たるので音が変わるまで打ち込みます。

ベアリグ外輪まで掛かるアタッチメントを用意

逆さにして置きます

ディスタンスカラーを挿入

ベアリングを打ち込みますが、もうちょっとという所で止めてシャフトを通してディスタンスカラーがずれていないか確認

その後、ホイール面とベアリング外輪が平らになるよう慎重に打ち込みます。

指で動きを確認して問題無OK

次にリテーナーを組みます

かじりを防止するため焼き付き防止グリスをねじ山に塗布

こちらもホイール面とほぼ平らになります、

最後にショックドライバーで締めあげ

オイルシールを組んで完成

フルードが付着していたディスクを洗浄

ホイールバランスを取ります、20g取り付け

 

フロントブレーキ

キャリパー清掃

溝掃除にはこのツール

デンタルミラーで確認しながら結晶をそぎ落とします。

ブリーダーのねじ山も奥に錆や結晶があることが多いのでタップ掛けで掃除

結果こんなに出ました

 

スリーウエイジョイントのオイルボルトワッシャーが当たる部分まで塗られています。

フルード漏れを起こす要因にもなるので当該部のみ塗膜除去

Before

After

ねじ山の結晶を除去します

マスターシリンダーのオイルカップ内側まで塗料が掛かっています

悪さすると困るので除去します。

これらの部品で組み立てます

 

今回、メーター振れということでスピード/タコ共にO/Hに出した

電球類のチェックも忘れずに、1個レンズの色が変わっていますね

通電すると切れてはいないがだめでしょう、交換しましょ

 

サイドスタンドブラケット部にクラックを発見

外注に出して溶接補修、当店でも溶接機は持っていますが(TIG、半自動)この忙しさの中では餅は餅屋と考えなるべく外注に振るようにしています。

サイドスタンドピボットボルトを裏からロックするナット

頻繁に動かす部位なのでナットが緩み最悪無くなっていることも多い

そこでロックナットを推奨、緩んでも脱落はしない

バッテリーを充電し液を入れようと思ったら液面より上の部分は黒くなって液面が見えない

見たことに無いブランドのものだがどうなっていることやら

GSユアサ、台湾ユアサ、古河、ACデルコではこんなのはなかった

 

タペット調整でタペットキャップを外したら液状ガスケットだらけ

クラッチのエンジン側のアームがグリスまみれ

 

レギュレーターの側面のステッカーが逆に貼ってある

正解はこちら

外して端子磨き

Before

After

さぁ完成です

土曜日に引き取りに来て

乗ってもらうと「カチッとしました」と大喜び

ほぼ別物になったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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