さて、ファンタジーが少ないとぼやいたのにの第206回は、
タイトル:りかさん
著者:梨木香歩
出版社:新潮文庫
であります。
時系列、と言うとどうやら出版された時期は第207回に予定している「からくりからくさ」のほうが先に出版されたらしいのだけど、物語の時期としてはこちらが先になるので、と言うこと。
話のメインキャラは、「ようこ」と言う女の子と市松人形の「りかさん」、そして「おばあちゃん」
主人公の女の子とおばあちゃん、と言う構図は「西の魔女が死んだ」と似通った雰囲気に見えてしまうけど、印象としては、このりかさんのおばあちゃんのほうが謎めいた感じがやや強い、かな。
「西の魔女が死んだ」のおばあちゃんは「魔女」と言っているので、そういうイメージがついてしまった感じがあったから。
さて、話はと言うと、「リカちゃん人形」が欲しいようこがおばあちゃんに「リカちゃん人形」をねだったところから。
でも、請け負ってくれたおばあちゃんが送ってきてくれたのは「りかさん」と言う市松人形。
当然がっかりするようこは、けれどだんだん好きになって、そしてりかさんが来てから七日目の夜、りかさんはようこに話しかける……。
そこからようこの不思議な体験が始まり、その中で様々なことを知り、感じていく。
話の中でようことりかさんは常に一緒に行動するわけだけど、このりかさんのキャラクターがとてもいい。
照れたりするところにかわいらしさがあったり、どこか老成した泰然としたところがあったり、いろんな面が見えて、とても魅力的なキャラクターになっている。
体裁としては「養子冠の巻」と「アビゲイルの巻」の2本から成り立っている。
「養子冠の巻」は、ようこの家、友達の登美子ちゃんの家の雛飾り、それと一緒に出されていたいろんな人形の話を中心に語られている。
次の「アビゲイルの巻」につながる要素を散りばめつつ、タイトルにちなんだ組み立てとラストのようこ、りかさん、おばあちゃんの会話のシーンへ落ち着いていく。
ラストのようこのセリフがまた、3人と一緒に笑ってしまうくらいうまい。
「アビゲイルの巻」は、こちらはちょっと切なくなるような感じの話、かなぁ。
「養子冠の巻」の中で登美子ちゃんの家からついてきたと思われる幽霊らしき少女……背守の君と、アビゲイルという親善大使を勤めた西洋人形、そしてそれをずっと守ってきた汐汲と言う人形を主体に話が進んでいく。
やはりこちらもラストに至る3人のシーンがとても雰囲気がよくていい。
切ない雰囲気を吹き飛ばすのではなく、そっと優しく包み込んで中和していくような、3人のやりとりがあって、そして最後のりかさんの言葉が、いろんな気持ちをさっと宥めてくれるような感じがして秀逸。
と、ここでとりあえず、「りかさん」本編は終わり、文庫版では「りかさん」の後の話であり、「からくりからくさ」の後日談でもある短編「ミケルの庭」が書き下ろされている。
初っぱなから、本編との雰囲気や文章の違いに戸惑った。
「からくりからくさ」の延長線上にある話なので、「からくりからくさ」を読んでないといまいち飲み込めないところがある。
「りかさん」の主人公であるようこ=蓉子と、おなじ家……蓉子の亡くなったおばあちゃんの家に一緒に住んでいる紀久、与希子、そして中国へ留学してしまった同居人マーガレットの子供であるミケルの4人の話で、紀久のミケルに対する愛情と、燻っていた憎悪がうまく描かれている。
と言っても、「からくりからくさ」を読んでから納得、ではある。
なので、この短編はあとに残しておいて「からくりからくさ」を読んでからのほうがいいかもしれない。
と言うか、読んだあとにまたこれを読み返したときのほうが紀久の姿がとてもリアリティを持って迫ってくる感じがしたな。
タイトル:りかさん
著者:梨木香歩
出版社:新潮文庫
であります。
時系列、と言うとどうやら出版された時期は第207回に予定している「からくりからくさ」のほうが先に出版されたらしいのだけど、物語の時期としてはこちらが先になるので、と言うこと。
話のメインキャラは、「ようこ」と言う女の子と市松人形の「りかさん」、そして「おばあちゃん」
主人公の女の子とおばあちゃん、と言う構図は「西の魔女が死んだ」と似通った雰囲気に見えてしまうけど、印象としては、このりかさんのおばあちゃんのほうが謎めいた感じがやや強い、かな。
「西の魔女が死んだ」のおばあちゃんは「魔女」と言っているので、そういうイメージがついてしまった感じがあったから。
さて、話はと言うと、「リカちゃん人形」が欲しいようこがおばあちゃんに「リカちゃん人形」をねだったところから。
でも、請け負ってくれたおばあちゃんが送ってきてくれたのは「りかさん」と言う市松人形。
当然がっかりするようこは、けれどだんだん好きになって、そしてりかさんが来てから七日目の夜、りかさんはようこに話しかける……。
そこからようこの不思議な体験が始まり、その中で様々なことを知り、感じていく。
話の中でようことりかさんは常に一緒に行動するわけだけど、このりかさんのキャラクターがとてもいい。
照れたりするところにかわいらしさがあったり、どこか老成した泰然としたところがあったり、いろんな面が見えて、とても魅力的なキャラクターになっている。
体裁としては「養子冠の巻」と「アビゲイルの巻」の2本から成り立っている。
「養子冠の巻」は、ようこの家、友達の登美子ちゃんの家の雛飾り、それと一緒に出されていたいろんな人形の話を中心に語られている。
次の「アビゲイルの巻」につながる要素を散りばめつつ、タイトルにちなんだ組み立てとラストのようこ、りかさん、おばあちゃんの会話のシーンへ落ち着いていく。
ラストのようこのセリフがまた、3人と一緒に笑ってしまうくらいうまい。
「アビゲイルの巻」は、こちらはちょっと切なくなるような感じの話、かなぁ。
「養子冠の巻」の中で登美子ちゃんの家からついてきたと思われる幽霊らしき少女……背守の君と、アビゲイルという親善大使を勤めた西洋人形、そしてそれをずっと守ってきた汐汲と言う人形を主体に話が進んでいく。
やはりこちらもラストに至る3人のシーンがとても雰囲気がよくていい。
切ない雰囲気を吹き飛ばすのではなく、そっと優しく包み込んで中和していくような、3人のやりとりがあって、そして最後のりかさんの言葉が、いろんな気持ちをさっと宥めてくれるような感じがして秀逸。
と、ここでとりあえず、「りかさん」本編は終わり、文庫版では「りかさん」の後の話であり、「からくりからくさ」の後日談でもある短編「ミケルの庭」が書き下ろされている。
初っぱなから、本編との雰囲気や文章の違いに戸惑った。
「からくりからくさ」の延長線上にある話なので、「からくりからくさ」を読んでないといまいち飲み込めないところがある。
「りかさん」の主人公であるようこ=蓉子と、おなじ家……蓉子の亡くなったおばあちゃんの家に一緒に住んでいる紀久、与希子、そして中国へ留学してしまった同居人マーガレットの子供であるミケルの4人の話で、紀久のミケルに対する愛情と、燻っていた憎悪がうまく描かれている。
と言っても、「からくりからくさ」を読んでから納得、ではある。
なので、この短編はあとに残しておいて「からくりからくさ」を読んでからのほうがいいかもしれない。
と言うか、読んだあとにまたこれを読み返したときのほうが紀久の姿がとてもリアリティを持って迫ってくる感じがしたな。
市松人形を想像して、セリフをあわせると、表情の変わらない人形なのに、とても生き生きとした笑った顔が浮かんでくる感じです。
yuigaさんと言っていたんですけど「りかさん」は、ミステリーっぽい仕掛けで読めますよね。
おばあさんとりかさんとようこで謎を解いていくような、面白さがあります。
そうか、やっぱりミケルはマーガレットの子供の名前なんだね。
紀久は、情念が血に染み付いていそうだからなぁ。
つらいよねえ。
謎解きは確かにそういう感じですね。
どちらかと言うと、ようこが一生懸命に解決しようとするのをおばあさんとりかさんがフォローしつつ、って感じかな。
紀久は確かに「からくりからくさ」を読むとそうですね。
でも、ミケルに対する愛情の深さもまた痛いほど感じられて逆につらいですね、ホントに。