さて、それぞれを足すと9になる第234回は、
タイトル:村田エフェンディ滞土録
著者:梨木香歩
出版社:角川書店
であります。
「家守綺譚」にちょろっと出てきた村田という人物が、考古学を学ぶために留学したトルコでの出来事を記録したもの……と言う体裁で書かれた話。
構成とかも「家守綺譚」に似ていて、短編連作であること、誰かが書いたものであること、同時代であること、タイプの似通った主人公などからも似たような感じ……かもしれないけど、似て非なるもの、表と裏の関係、と言う印象。
ごくごく日本的な、人間にあらざるものを題材にして内向きに収斂していく感じの「家守綺譚」と、様々な文化、宗教、言葉などのバックボーンを異にする人間たちとの関わりを題材にして外向きに広がっていく感じの「村田エフェンディ滞土録」……そんな感じかなぁ。
まぁでも、話そのものは、中盤までは、下宿での人々……イギリス人のディクソン夫人、ドイツ人のオットー、ギリシャ人のディミィトリス、トルコ人のムハンマド……との出来事ややりとり、オットーに連れられて行った発掘現場でのこと、博物館での仕事、お稲荷さまへの粗相で病を得た昔話、アヌビス神への説教など、盛りだくさんだし、くすっと微笑えるところも多々あって、するするっと読めてしまう。
終盤に入ってからはやや重めになるけど、最終章を読むと、相変わらずきっちりと締めてくれるなぁ、と感心してしまうくらい、うまくまとめてくれている。
ただ、舞台がトルコで、馴染みの薄い場所だからか、「家守綺譚」ほど作品世界に入っていけなかった、ってとこはあったなぁ。
あと文章も、「エンジェル エンジェル エンジェル」のときのように、その時代の言葉遣いというのがあって、苦手なひとは少しつらいかも。
私も正直、トルコ=土耳古、ギリシャ=希臘、エジプト=埃及、ユダヤ=埃及、とか、こういうところは、「あれ? 待てよ、これはどう読んだっけ……」とルビが振ってあるところまで戻ることがしばしば……(^^;
まぁでも、慣れればその時代の雰囲気が出てていいんだけど。
さておき、この話を読んでいると、いろいろと思うところはあるんだけど、やっぱりこれに収斂されているのかなぁ、と思う。
「私は人間だ。およそ人間に関わることで、私に無縁な事は一つもない」
この言葉をじっくりと思いながら、もう一度、読んでみるといいかもしれない。
……なんて思ってみたり……。
タイトル:村田エフェンディ滞土録
著者:梨木香歩
出版社:角川書店
であります。
「家守綺譚」にちょろっと出てきた村田という人物が、考古学を学ぶために留学したトルコでの出来事を記録したもの……と言う体裁で書かれた話。
構成とかも「家守綺譚」に似ていて、短編連作であること、誰かが書いたものであること、同時代であること、タイプの似通った主人公などからも似たような感じ……かもしれないけど、似て非なるもの、表と裏の関係、と言う印象。
ごくごく日本的な、人間にあらざるものを題材にして内向きに収斂していく感じの「家守綺譚」と、様々な文化、宗教、言葉などのバックボーンを異にする人間たちとの関わりを題材にして外向きに広がっていく感じの「村田エフェンディ滞土録」……そんな感じかなぁ。
まぁでも、話そのものは、中盤までは、下宿での人々……イギリス人のディクソン夫人、ドイツ人のオットー、ギリシャ人のディミィトリス、トルコ人のムハンマド……との出来事ややりとり、オットーに連れられて行った発掘現場でのこと、博物館での仕事、お稲荷さまへの粗相で病を得た昔話、アヌビス神への説教など、盛りだくさんだし、くすっと微笑えるところも多々あって、するするっと読めてしまう。
終盤に入ってからはやや重めになるけど、最終章を読むと、相変わらずきっちりと締めてくれるなぁ、と感心してしまうくらい、うまくまとめてくれている。
ただ、舞台がトルコで、馴染みの薄い場所だからか、「家守綺譚」ほど作品世界に入っていけなかった、ってとこはあったなぁ。
あと文章も、「エンジェル エンジェル エンジェル」のときのように、その時代の言葉遣いというのがあって、苦手なひとは少しつらいかも。
私も正直、トルコ=土耳古、ギリシャ=希臘、エジプト=埃及、ユダヤ=埃及、とか、こういうところは、「あれ? 待てよ、これはどう読んだっけ……」とルビが振ってあるところまで戻ることがしばしば……(^^;
まぁでも、慣れればその時代の雰囲気が出てていいんだけど。
さておき、この話を読んでいると、いろいろと思うところはあるんだけど、やっぱりこれに収斂されているのかなぁ、と思う。
「私は人間だ。およそ人間に関わることで、私に無縁な事は一つもない」
この言葉をじっくりと思いながら、もう一度、読んでみるといいかもしれない。
……なんて思ってみたり……。
「ミケルの庭」の後、なんだか読む気持ちがそがれてしまった、というのがホントのところ。
でも、新鮮な気持ちで読むことができて、インターバルを置いて良かったかなぁと思ってます。
「村田エフェンディ」と「家守綺譚」は、確かに似て非なるものですね。
綿貫氏は、中間地点にて、どちらの世界も自分を保ちながら行き来できる人物。村田氏は、もっと人間くさくて、中間地点にいるようで、そこから少し外れている感じ。
でも、どちらも土着信仰の対象が、大活躍で、村田氏の百日咳疱瘡喘息の押すな押すなの病の大盛況には、大いに笑ってしまいました。
そこそこに軽く、そこそこに重いこの作品は、読みやすさもあって、受け入れられやすい作品なのではないかな。
私としては、ちょっと不満もありますが、「家守綺譚」とのバランスを考えると、こんなところでしょうか。
新作は、ちょっと期待しています。
読もう読もうと思いつつもタイミングが掴めなかったり……。
確かに、綿貫よりもこちらの村田のほうが人間くさいですね。
全体的にキャラも「家守綺譚」より人間くささが目立ってるとは思います。
受け入れられやすいとは思いますが、個人的には「家守綺譚」のほうが好きですね。
日本的な文化がとても好きなので、どうしてもこっちよりは馴染みやすいところもあるので。
新作!?
むむぅ、是非買わねば……。
とりあえず、また本屋通いをしなければ(笑)