つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

そいや伝奇だった

2006-08-18 20:33:25 | 伝奇小説
さて、ほんとうはファンタジーのカテゴリを増やそうと思ってたのに~、の第626回は、

タイトル:外法陰陽師(二)
著者:如月天音
出版社:学習研究社 学研M文庫

であります。

2巻、と来れば当然1巻があるわけで、ちょうど2ヶ月前に記事になっている。
まぁ、とある理由のみで×にしたものの、その理由のもととなったことが気になって読んぢゃったのね。

さて、ストーリーだが、時代は平安、貴族文化華やかりしころで、藤原道長が甥の伊周との官位争いにとりあえず勝利し、右大臣になったころ。
中つ国で国を滅ぼしたとする咎で太上老君から罰としてひとと交わりながら生きていくことを命じられた外法使いと称される陰陽師、漢耿星あやのこうせいは、お目付役の羅々(黒猫。実は妖怪)の言い分を渋々聞いて、平安の三蹟として後世に名を残す藤原行成のもとを訪れる。

そこで出会った男童おのわらわの姿をした少女に、鬼に浚われた自分の乳母子めのとごを探し出してほしいと頼まれる。
そんなことなどかまっていられないはずの耿星は、しかしその少女が、右大臣藤原道長の娘、彰子であったがために、協力せざるを得なくなる。
貴族関係などにまったく興味がなく、関係を持つ必要性をまったく感じない耿星だが、ことが道長絡みとなるとそうは言っていられない事情があった。

かくして、いまを時めく右大臣家の姫とはとうてい思えない闊達で剛毅な少女、彰子とともに乳母子を探し、そして当時の中宮定子とその系列である高階家を再興させようとする者たちとの、否応ない争いに巻き込まれていく。

前作と変わらず、伝奇小説にしては読める作品、と言うところは変わらず。
ただ、今回は続きを意識してか、ラストに耿星とライバルと位置づけられている相手との戦闘シーンが盛り上がりに欠ける。
まぁ、このあたりは3巻を読んでみなければわからないが、2巻だけで見るならば不満。

気になっていた定子様の悪役ぶりもかなりいまいちだし、2巻に関して言えば、あまりいいところはない。
知っていれば、にやりとさせられるところは前作同様、多々あるにはあるが、知らなければそこがおもしろさにつながるわけではない。

次巻へのつなぎ、としてもこれではねぇ。
……と言うか、つなぎとして読まないと物足りなさだけが残ってしまいそう。
好みを別にしても、2巻単体としては落第だ~ね。


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