さて、寒がりにはろくでもない季節になったのよなぁの第913回は、
タイトル:血ぬられた法王一族
著者:桐生操
出版社:ベネッセコーポレーション 福武文庫(初版:'96)
であります。
お初の作家さんです。
Wikiを見ると、ふたりでおなじペンネームを使っていると言うことだけど、どちらが書いたのかは不明。
まぁ、別にどっちでもいーんだけど。
では、ストーリーへ。
『「ボルジア一族の野望」
15世紀末、現法王アレッサンドロ六世の息子であるホアン・ボルジアが何者かに暗殺された。
放蕩息子だったが父である法王に溺愛されていたホアンの暗殺事件に、人々は誰が犯人かを噂しあっていた。
同じく法王の息子で枢機卿のチェーザレへ逢うために、フィレンツェの特使として旅路を進んでいたマキアヴェッリは、上司のソデリーニ司教に、暗殺事件の話をきっかけに、ボルジア家にまつわる様々な話を聞かされる。
法王アレッサンドロ六世が法王になるために行った権謀術数、チェーザレのロマーニャ地方制覇、チェーザレやホアンの妹で兄や父の謀略に翻弄されながら生きたルクレツィア……そんなボルジア家の生き様に思いを馳せながら、マキアヴェッリたちはチェーザレのもとを訪れた。
「探偵ダ・ヴィンチ」
チェーザレに出会い、フィレンツェ侵攻を思いとどまらせることが難しいことを知ったマキアヴェッリとソデリーニ司教。
ソデリーニは、マキアヴェッリにホアン暗殺事件の真相を探り、チェーザレを追い詰めろと命じた。
同時に、同郷でチェーザレのもとにいるレオナルド・ダ・ヴィンチに協力を仰ぐように、とも。
暗殺事件の真相を探る命を受けたマキアヴェッリは、ダ・ヴィンチのもとへ足繁く通い、ダ・ヴィンチにボルジア家の周囲で巻き起こる様々な事件や事情を語っていく。』
……あー、読んでた時間返してくんねぇかなぁ……。
いやぁ、それくらいお話としておもしろみもなけりゃ、ミステリとしての魅力も皆無だし、文章下手だし、構成も変だし、キャラも立ってないヤツ多すぎだし、これほど酷いのを読むのは久しぶりだわ。
評価しようにも上のだけでじゅーぶんな気がとてつもなくするけど、いちおう、個別にはやっておきます。
ただし、毒吐きまくりだと思うので、気分を害する場合があるかもしれません。
あしからず。
では、最初の「ボルジア一族の野望」から。
単なるアレッサンドロ六世とその子供たちの歴史紹介を、小説風にアレンジしただけで見るべきところは皆無。
この時点で、いったいどこがミステリなんだろう? とかなり疑問に思う方は多いでしょう。
で、よいところはない代わりに悪いところばかり。
まず文章。
下手です。
一行を開けて場面を区切るのはふつうだけど、区切りまくりでぶつ切れなので読みにくいことこの上ない。
また、視点の変更が極めてお粗末。
5行くらいルクレツィアの視点で書いて、その後にはチェーザレの視点に唐突に変わっていたり、話し言葉が男性は男性でほぼ一緒のため、いったい誰が喋っているのかがよくわからなかったり、いちおうマキアヴェッリがソデリーニ司教から聞いていると言う体裁なのに、その体裁がほとんど反映されていなかったり、歴史紹介のとごちゃまぜになって場面変換がおかしかったり。
ラノベでは文章のことをけっこう言ってきたけれど、さすがにここまで酷いのは若い作家が多いラノベでもなかなかいない。
と言うか、三点リーダの多用とか、そういうところに目をつぶれば、デビューしたてのラノベ作家のほうが何倍も上手。
文章で稼ぐんなら、文章の書き方くらいもっと精進してくれと言いたいくらい。
で、次の「探偵ダ・ヴィンチ」
単に、「ボルジア一族の野望」の話をマキアヴェッリがダ・ヴィンチに話すだけの会話文主体の構成。
これもたったふたりしかいないにも関わらず、話し方がまったく一緒なので、どっちのセリフなのかがわからないこと多し。
途中、たまにチェーザレとダ・ヴィンチの会話が入ったりするけど、なんか意味があるのか不明。
いちおう、ミステリとしての謎解きには必要だったらしい、とオチを読んでいれば思えるのだが、そのオチも謎解きしようと思えるほどのものでもないし、そもそもオチに至る伏線とかがいったい何だったのか、思い出せない……。
たいてい、「あれが伏線だったのか」って気にさせられる場面とか、小道具とかが思い出せるんだけど、それがない時点でこれはミステリなのだろうか、とかなり疑問。
キャラも、「ボルジア一族の野望」のときのキャラ造形と違っていたりして、立っていない。
そもそもソデリーニからボルジア家のことを聞いたマキアヴェッリが話してんのに、なんで造形が違ってしまうのか、理解不能。
まー、もーなんて言っていいのかわからんないくらい、いいとこないね、この本。
あ、ひとつだけ私にはいいことはあったかも。
この手の世界史関係は明るくないので、「へぇ」と勉強にはなったかな。
でもそれだけなので、総評、落第。
と言うより、留年決定。
きっと、このひとの作品は二度と読みません。
タイトル:血ぬられた法王一族
著者:桐生操
出版社:ベネッセコーポレーション 福武文庫(初版:'96)
であります。
お初の作家さんです。
Wikiを見ると、ふたりでおなじペンネームを使っていると言うことだけど、どちらが書いたのかは不明。
まぁ、別にどっちでもいーんだけど。
では、ストーリーへ。
『「ボルジア一族の野望」
15世紀末、現法王アレッサンドロ六世の息子であるホアン・ボルジアが何者かに暗殺された。
放蕩息子だったが父である法王に溺愛されていたホアンの暗殺事件に、人々は誰が犯人かを噂しあっていた。
同じく法王の息子で枢機卿のチェーザレへ逢うために、フィレンツェの特使として旅路を進んでいたマキアヴェッリは、上司のソデリーニ司教に、暗殺事件の話をきっかけに、ボルジア家にまつわる様々な話を聞かされる。
法王アレッサンドロ六世が法王になるために行った権謀術数、チェーザレのロマーニャ地方制覇、チェーザレやホアンの妹で兄や父の謀略に翻弄されながら生きたルクレツィア……そんなボルジア家の生き様に思いを馳せながら、マキアヴェッリたちはチェーザレのもとを訪れた。
「探偵ダ・ヴィンチ」
チェーザレに出会い、フィレンツェ侵攻を思いとどまらせることが難しいことを知ったマキアヴェッリとソデリーニ司教。
ソデリーニは、マキアヴェッリにホアン暗殺事件の真相を探り、チェーザレを追い詰めろと命じた。
同時に、同郷でチェーザレのもとにいるレオナルド・ダ・ヴィンチに協力を仰ぐように、とも。
暗殺事件の真相を探る命を受けたマキアヴェッリは、ダ・ヴィンチのもとへ足繁く通い、ダ・ヴィンチにボルジア家の周囲で巻き起こる様々な事件や事情を語っていく。』
……あー、読んでた時間返してくんねぇかなぁ……。
いやぁ、それくらいお話としておもしろみもなけりゃ、ミステリとしての魅力も皆無だし、文章下手だし、構成も変だし、キャラも立ってないヤツ多すぎだし、これほど酷いのを読むのは久しぶりだわ。
評価しようにも上のだけでじゅーぶんな気がとてつもなくするけど、いちおう、個別にはやっておきます。
ただし、毒吐きまくりだと思うので、気分を害する場合があるかもしれません。
あしからず。
では、最初の「ボルジア一族の野望」から。
単なるアレッサンドロ六世とその子供たちの歴史紹介を、小説風にアレンジしただけで見るべきところは皆無。
この時点で、いったいどこがミステリなんだろう? とかなり疑問に思う方は多いでしょう。
で、よいところはない代わりに悪いところばかり。
まず文章。
下手です。
一行を開けて場面を区切るのはふつうだけど、区切りまくりでぶつ切れなので読みにくいことこの上ない。
また、視点の変更が極めてお粗末。
5行くらいルクレツィアの視点で書いて、その後にはチェーザレの視点に唐突に変わっていたり、話し言葉が男性は男性でほぼ一緒のため、いったい誰が喋っているのかがよくわからなかったり、いちおうマキアヴェッリがソデリーニ司教から聞いていると言う体裁なのに、その体裁がほとんど反映されていなかったり、歴史紹介のとごちゃまぜになって場面変換がおかしかったり。
ラノベでは文章のことをけっこう言ってきたけれど、さすがにここまで酷いのは若い作家が多いラノベでもなかなかいない。
と言うか、三点リーダの多用とか、そういうところに目をつぶれば、デビューしたてのラノベ作家のほうが何倍も上手。
文章で稼ぐんなら、文章の書き方くらいもっと精進してくれと言いたいくらい。
で、次の「探偵ダ・ヴィンチ」
単に、「ボルジア一族の野望」の話をマキアヴェッリがダ・ヴィンチに話すだけの会話文主体の構成。
これもたったふたりしかいないにも関わらず、話し方がまったく一緒なので、どっちのセリフなのかがわからないこと多し。
途中、たまにチェーザレとダ・ヴィンチの会話が入ったりするけど、なんか意味があるのか不明。
いちおう、ミステリとしての謎解きには必要だったらしい、とオチを読んでいれば思えるのだが、そのオチも謎解きしようと思えるほどのものでもないし、そもそもオチに至る伏線とかがいったい何だったのか、思い出せない……。
たいてい、「あれが伏線だったのか」って気にさせられる場面とか、小道具とかが思い出せるんだけど、それがない時点でこれはミステリなのだろうか、とかなり疑問。
キャラも、「ボルジア一族の野望」のときのキャラ造形と違っていたりして、立っていない。
そもそもソデリーニからボルジア家のことを聞いたマキアヴェッリが話してんのに、なんで造形が違ってしまうのか、理解不能。
まー、もーなんて言っていいのかわからんないくらい、いいとこないね、この本。
あ、ひとつだけ私にはいいことはあったかも。
この手の世界史関係は明るくないので、「へぇ」と勉強にはなったかな。
でもそれだけなので、総評、落第。
と言うより、留年決定。
きっと、このひとの作品は二度と読みません。