さて、カテゴリーは間違ってないぞの第542回は、
タイトル:神祭
著者:板東眞砂子
出版社:角川文庫
であります。
土佐にある小さな嬉才野村と言う村を始め、戦後の高知市など、高知県を舞台にした短編小説集。
表題作を含め、5作の短編が収録されている。
「神祭」
村に住む老女の由喜が、農作業の合間にふと40年前に村の家々で行われていた「神祭」のときのことを思い出す。
その祭の最中に、その生き血で夫の精を強くするためと言うことと、本来は山のものを備えると言う祭の趣旨に則して首を落とされた鶏。
だが、首をなくしたまま逃げた鶏は40年以上経て、お守り代わりにその頭蓋骨を持っていた由喜のもとへ姿を現す。
まだ土着の信仰が篤かった時代の不思議と戻ってきた鶏など、泥臭さを感じるもののそうした古くさい伝統の中の幻想を感じさせてくれる作品。
「火鳥」
ミズヨロロと言う鳥を食べてしまったがために、火事で家族を失ったみき。
そんなミズヨロロの呪いを気にしていた少年竹雄は、次第にみきと接点を持つようになっていく。
こちらは信仰と言うより、昔はよくあったであろうが、祟りに対する怖れを題材にした少年の話。
淡々とした文章の中に、生々しさが感じられる作品。
「隠れ山」
村の役場で公務員をしている北村定一は、趣味でやっている農作業をするために家を出たが、それから行方不明になる。
村の消防団や警察の捜索も虚しく見つからない日々が続いたが、あるとき、山から出てきてはあることないことを吹聴するようになった。
姿は見えるが、いつも出てくる山を捜索しても見つからない定一。
その吹聴する噂が原因で、残された妻と子供ふたりが村を出て行くことになるまでの話。
「紙の町」
知的障害を負った女性ヒサが、昔は和紙作りが盛んだった小さな町を散歩しながら昔のことを回想する、と言う体裁で語られる物語。
知的障害がある、と言う設定で、物事をあまり深く考えられないため、ヒサの視点からは子供時代にいじめられていたことや、小さな和紙工場で働いていたときの出来事、手軽に抱ける女だと町の男からも女からも蔑まされていたことなどが、けっこうあっさりと受け止められるようには見えるが、和紙作りの工程や和紙を漉く動作、材料などを利用しながら、社会というものを深く洞察した作品。
5作中、これが一番の秀作かと。
「祭りの記憶」
戦後の高知市で企画され、行われたよさこい祭りで起きた外国人記者ふたりに対する殺人事件。
その犯人が自分の教え子の村上卓雄ではないかと考えた良則は、卓雄が住んでいた蓮浜へ赴く。
戦後10年近くを経て、ようやく復興へ向けて顔を上げたその背中に潜むものを描いた作品。
amazonのレビューを見るとホラーのひとなのか、このひと……。
まったくそういう先入観がないと、感じ方も変わってくるもんなのかねぇ。
個人的にはどの短編も、生々しさを感じさせてくれる独特の雰囲気を持った作品だとは思う。
まぁ確かに、ホラーとして読むのならばインパクトはないし、怖さとか、そういったものはほとんど感じられない。
だからホラーとしては勧めにくいし、全体的に各短編ごとの善し悪しがあるので、これまた勧めにくい。
雰囲気も、こういう生々しさが苦手だとまったくダメだろうねぇ。
個人的には悪くないと思うけどね。
タイトル:神祭
著者:板東眞砂子
出版社:角川文庫
であります。
土佐にある小さな嬉才野村と言う村を始め、戦後の高知市など、高知県を舞台にした短編小説集。
表題作を含め、5作の短編が収録されている。
「神祭」
村に住む老女の由喜が、農作業の合間にふと40年前に村の家々で行われていた「神祭」のときのことを思い出す。
その祭の最中に、その生き血で夫の精を強くするためと言うことと、本来は山のものを備えると言う祭の趣旨に則して首を落とされた鶏。
だが、首をなくしたまま逃げた鶏は40年以上経て、お守り代わりにその頭蓋骨を持っていた由喜のもとへ姿を現す。
まだ土着の信仰が篤かった時代の不思議と戻ってきた鶏など、泥臭さを感じるもののそうした古くさい伝統の中の幻想を感じさせてくれる作品。
「火鳥」
ミズヨロロと言う鳥を食べてしまったがために、火事で家族を失ったみき。
そんなミズヨロロの呪いを気にしていた少年竹雄は、次第にみきと接点を持つようになっていく。
こちらは信仰と言うより、昔はよくあったであろうが、祟りに対する怖れを題材にした少年の話。
淡々とした文章の中に、生々しさが感じられる作品。
「隠れ山」
村の役場で公務員をしている北村定一は、趣味でやっている農作業をするために家を出たが、それから行方不明になる。
村の消防団や警察の捜索も虚しく見つからない日々が続いたが、あるとき、山から出てきてはあることないことを吹聴するようになった。
姿は見えるが、いつも出てくる山を捜索しても見つからない定一。
その吹聴する噂が原因で、残された妻と子供ふたりが村を出て行くことになるまでの話。
「紙の町」
知的障害を負った女性ヒサが、昔は和紙作りが盛んだった小さな町を散歩しながら昔のことを回想する、と言う体裁で語られる物語。
知的障害がある、と言う設定で、物事をあまり深く考えられないため、ヒサの視点からは子供時代にいじめられていたことや、小さな和紙工場で働いていたときの出来事、手軽に抱ける女だと町の男からも女からも蔑まされていたことなどが、けっこうあっさりと受け止められるようには見えるが、和紙作りの工程や和紙を漉く動作、材料などを利用しながら、社会というものを深く洞察した作品。
5作中、これが一番の秀作かと。
「祭りの記憶」
戦後の高知市で企画され、行われたよさこい祭りで起きた外国人記者ふたりに対する殺人事件。
その犯人が自分の教え子の村上卓雄ではないかと考えた良則は、卓雄が住んでいた蓮浜へ赴く。
戦後10年近くを経て、ようやく復興へ向けて顔を上げたその背中に潜むものを描いた作品。
amazonのレビューを見るとホラーのひとなのか、このひと……。
まったくそういう先入観がないと、感じ方も変わってくるもんなのかねぇ。
個人的にはどの短編も、生々しさを感じさせてくれる独特の雰囲気を持った作品だとは思う。
まぁ確かに、ホラーとして読むのならばインパクトはないし、怖さとか、そういったものはほとんど感じられない。
だからホラーとしては勧めにくいし、全体的に各短編ごとの善し悪しがあるので、これまた勧めにくい。
雰囲気も、こういう生々しさが苦手だとまったくダメだろうねぇ。
個人的には悪くないと思うけどね。
SENLINさんちで紹介されるのは
短編が多いですね。
最近、まとまった時間を取れないから
短編も読んでみようかな...
板東眞砂子は、ドロドロとした感じが
好きです。
短編だとお昼休みに読んだり通勤のときに読んだりするのが楽でいいですよ(^^
1本読んだらとりあえず今日はおしまい、ってのもやりやすいし。
このひとのはこれだけしか読んでませんが、どろどろしてますね、ホントに。
でも嫌いじゃないんですよねぇ、こういうの(笑)