つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

思ってたのとはちと違うけど

2005-05-29 21:16:25 | 学術書/新書
さて、開設して半年までもうそろそろの第180回は、

タイトル:風の名前 風の四季
著者:半藤一利、荒川博
出版社:平凡社新書

であります。

「風」にまつわる話題を中心に、著者ふたりの対談という形の本。

対談、と言う割にはけっこう話が飛んだり、風とは関係のない話になったりと、けっこう節操がない。

基本的には、風の話題を、万葉集から始まる歌集、近現代の俳句、狂歌、都々逸、民謡、文学などを絡めながら話をつなげていく、というもの。

本のタイトルから事典ってぽい感じかと思っていたけど、違っていたのでちと残念ではあったけれど、けっこうおもしろい。

最初のほうは、対談と言っても語り口も硬いんだけど、そのうち調子が出てきたのか、読みやすくなっていく。

それにしても、風というわりには「かぜ」とか「ふう」言う名前がつかないのはけっこうあるなぁ。
「二百十日」って知らなけりゃ誰も風の名前だとは思わないだろうし。

さて、本そのものの評価としては万人向けではないだろうってのが正直なところ。

まず、短歌(和歌)と俳句が必ず入る。
このあたり、特に日本文学に少しくらい興味があるとかでないときつい。
名前や名字の成り立ちのようなものなら、ちょっとした興味で読めるかもしれないけれど、これはちょっとそういうものではないので、ある程度の基礎知識が必要なぶんだけ、敷居が高い。

また事典のような感じならば資料っぽい使い方もできるのでいいかもしれないけど、これまたそうとは言えない。

まぁ、この手の新書にはそういうところがあるとは思うけど、なかなかオススメしやすいほうではないと思う。

好きなひとにはいいとは思うんだけどね。