つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

へヴィメタルではなくてモーターヘッド

2005-05-05 10:35:46 | 木曜漫画劇場(白組)
さて、少年漫画というとちょっと語弊がある第156回は、

タイトル:ファイブスター物語
著者:永野護
出版社:ニュータイプ100%コミックス

であります。

扇:ナマクラでも切れ味鋭いと言い張るSENです。
正しい書評は好きな作家も真っ二つ!

鈴:カマクラより奈良京都あたりのほうが好きなLINNです。

扇:誰が観光の話をしとるかっ!
というわけで、好きな人にとっては説明するまでもない『五星物語』(笑)です。
元の世界観は『重戦機エルガイム』というアニメから来てるんだけど、メインデザイナーだったこの作者が、独自の世界に作り替えて描いた漫画がコレ。

鈴:作り替えた割には、エルガイムのときのロボットがばんばん出てくるなぁ。
ちなみに、どう見てもロボットマンガなのに、作者は「おとぎ話」だと言い張っているらしい。

扇:ある意味おとぎ話というか……ファンタジーだな。
一番強いのは神だし、魔法使いや忍者出てくるし、どーみても立ちそうにないロボットが二本足で立つし。ま、ロボット戦ではビーム兵器撃つより殴って転ばした方がてっとり早い、というのはある意味リアリティがあるが。(笑)

鈴:形や構造の欠陥を指摘しても始まるまいて。ロボットものだから、多かれ少なかれそういうとこはあるし。
ビーム兵器はなぁ。1分間に何万発も撃てる戦車が何台いても1発も当たらないから、まったく意味がないだけだろうとは思うけど。

扇:構造上の欠点云々を抜いても、結局のところメカなんだから、倒れたら自重でアウトだと思う。ま、割り切って人間みたいなアクションさせた方が楽しいんだろうけどね。
内容をかいつまんで言うと、五つの居住可能な惑星が存在する星系で、MH(モーターヘッド)というロボットを中心戦力とした国家同士が争う話。で、合ってるかな?

鈴:もうひとつ。
マクロでは国家間の戦争だけど、ミクロではモーターヘッドを操る騎士(ヘッドライナー)と人造人間のファティマとのドラマ、ってとこかな。

扇:ファティマは思考制御を受けてるので、皆一様に男に都合のいい女です。だからというわけではないが、たまーに出てくる変わり種がなかなか良い味出してるけど。

鈴:都合がいいねぇ。ある意味、男性読者が理想としてるんではないかい?
献身的だし、従順だし、絶対に裏切らないし、年取らないし。
……と、さてそろそろメインキャラ紹介にいきますかね。

扇:んじゃ、主役、もとい最大の悪役アマテラスのミコト。
両性具有のミュータント、未来において絶対神アマテラスオオミカミになることが確定しており、そのパワーは軽く時空を越える。無茶苦茶傍迷惑な性格で、正直言って存在自体が害毒。ある意味パタリロの美形バージョンだが、善意も悪意も所詮飾り物なのでこっちの方が遥かにタチが悪い。

鈴:じゃ、アマテラスのパートナーのファティマ ラキシス。
人造人間なのに神で、何故かふたつの姿を持っている。アマテラスと一緒になると、余計に最悪コンビになる。

扇:では、星団最高のファティマ・マイト――クローム・バランシェ。
いわゆるマッド・サイエンティストで、やたらと能力が高いくせに情緒不安定なファティマを四十五体も作った。ちなみにラキシスもこの人の作品。
人間の中で最もアマテラスを理解していた人物……だった。ある意味永遠の恋人。

鈴:ただのエロ親父とどっかの大統領を兼ねるボード・ヴュラード(ミッション・ルース)。
主人公のソープ(アマテラス)を押し倒そうとするわ、自分のファティマを下着姿にさせてヒッチハイクさせようとするわ、光源氏計画でバランシェのファティマをゲットするわ、この物語の中でもっとも味のあるひと。

扇:ちっ、一番イイキャラ取られた。(爆)
あー、あと誰紹介しよう。ロッカーもどきのログナーは大っ嫌いだし、やっぱデコース君もらおうかな。
狂乱の貴公子デコース・ワイズメル。
一巻から登場している騎士で、普段は変な顔したネジ一本飛んでる人だけど、マジになるとアマテラス直属の騎士を小指でのすぐらい強い人。アマテラスを変態騎士と呼んでみたり、ノリで黒騎士と呼ばれる強力な騎士を倒してみたり、暇つぶしに大魔道師と手組んで星団を荒らして回ったりと、楽しいことばかりしてくれる素敵なお方。つか、こいつとヴュラードいなかったらこの漫画読んでない。

鈴:それは言えている。あとは1巻でアマテラスの影武者をやっていたアイシャ・コーダンテがいいかな。
なんかぜんぜんストーリーの話をしてないな。
ストーリーは……細切れ(爆)
いちおう1巻ずつで、メインとなる話はあるんだけど、途中で違う世界の話は入るわ、時代は違うわ、入り組んでいてかなり説明しづらい。

扇:私はアイシャは嫌いだ。
無理矢理一本通すとすると、性別もなしに生まれたミュータントが母を失い、妻を失い、友を失い、友が残してくれたラキシスに愛を求めつつも自分でそれが信じられず、気付いた瞬間に彼女までも失ってしまって最後は時空を越えて追っかけていく話……の予定。

鈴:予定、だな(笑)
ホントにきちんとまとめられるのかはかなり疑問。
まぁでもファンはたくさんいるから、作者が生きている限りは続けさせてもらえるとは思うけどね。

扇:実はこの作品、毎回巻末に年表なるものが付いていまして、最終的なラストもそこに書いてあります。だから予定。(笑)
というわけで特に設定の矛盾とかにこだわらない、ノリで読める作品が好きな人に。
って――結局のところ少年漫画かっ。

鈴:いちおう少年マンガのジャンルに入るのかな、これ。
全体として、と言うより結構エピソードにおもしろいものがあるのでいいかも。
ただ、1冊の値段が高いのだけが玉に瑕……。

扇:ファンは苦にしないみたいだから、後はハマるかハマらないかだね。
というわけで今日の木曜漫画劇場はしまいでございます。
また、来週をお楽しみに。

鈴:まぁ、苦にしないからファンなんだろうけど。
と言うわけで、本日はいつもどおりに開館した木曜劇場はこれにて。
また来週にお会いしましょう