つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

古典が苦手ならばこっちもあり

2005-05-21 21:25:08 | マンガ(少女漫画)
さて、またもや趣味の平安ものに走る第172回は、

タイトル:ざ・ちぇんじ!(全4巻)
著者:山内直実(原作:氷室冴子)
出版社:白泉社 花とゆめコミックス

であります。

以前に書いた「とりかえばや物語」を元ネタにした話で、こちらは少女マンガ(もとは少女小説。コバルト文庫だし)らしく、すっきりまとまってる。

しかも、話の大筋は原作を踏襲していてくれるので、原作を知っていても楽しめる。

主人公は男装の姫君の綺羅姫。
原作通り、元服し、内裏に出仕し、結婚し、その結婚相手を親友の宰相中将に寝取られたり、はたまたその宰相中将に押し倒されたりと、このあたりは原作のとおり。

ただし、原作は主人公は宰相中将の子供を懐妊したり、その子供を捨てて帝に転んだりするんだけど、そこはそれ、少女マンガ(小説)でそんなことをするわけにもいかない。

なので、原作を踏襲しつつも、姫君はほんとうの姫君に、若君はほんとうの若君に戻るところをうまい具合に描いている。

原作ではかなり無理のある戻り方をしてたけど。

それと、宰相中将との密通で懐妊した右大臣家の姫も、原作と違ってきちんとフォローされてるし、この関係で宰相中将もただの軟派なキャラからいい感じなキャラになってる。

古典をそのままマンガにすると……っつって、できないって。
かなりえぐい話だし。

そういうのが耐えられるなら、これをきっかけにして原作を読んでみるのもいいかもしれないけど、話の大筋は変わっていないので、この作品をもっとえぐい感じにしたら原作、ってイメージでいいのかもしれない。

原作はそうでもないけど、こちらは比較的万人受けするようになってると思う。

ただし、けっこう……つか、かなり古いマンガなので新刊で手に入るかは疑問……かも。



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