つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

羅生門へGO!

2005-05-04 21:27:17 | 文学
さて、特務作業と未読の本の間で揺れる第155回は、

タイトル:芥川龍之介集(日本文学全集16)
著者:芥川龍之介
出版社:河出書房

であります。

私は日本文学が苦手です、人に勧めることもしません。
鴎外と一葉は個人的に好き。あれは何というか……素敵なのです。でも他はいいや。
山嵐と一緒に喧嘩しかける奴も下田の海で美少女に惚れる奴もカップルに写真撮ってくれと言われて空撮る奴もいりません。ましてや書生に片思いして布団に顔突っ込んで泣く奴など蹴り倒したくなります。

ただし、これだけは言っておこう。

芥川は凄ェ!

私の中で彼は別格なのです。
その短編の切れといったらもう……文学論なんて戯言にしか聞こえなくなりますね。

本書はそんな芥川の作品を集めたハードカバーの強敵です。
全四十三編、かなり手強いので図書館で借りてきてじっくり読むのが吉。
全部書くと凄いことになるので、好きな作品をちょこっとだけ紹介します。

『戯作三昧』……南総里見八犬伝の作者である曲亭馬琴を主人公にした話。物書きにとってはなかなか耳の痛い話がぽろぽろと出てくる。最後に姑のお百がもらす台詞が強烈。

『蜘蛛の糸』……とっても有名な話。子供時分、偉そうな御釈迦様に対して怒りを覚えた。後にこれのパロディ版を読んで御釈迦様が地獄に堕ちる様を見て大笑いしたのは秘密である。ちなみに、この話自体もドストエフスキーの話の書き換えだったりする。

『地獄変』……映画にもなったこれまた有名な話。個人的には語り口調ではなく、三人称で書いて欲しかったところだが、ま、それは私の我が儘か。底が見えない大殿様のキャラが良い。

『老いたる素戔嗚尊』……素戔嗚は櫛名田姫の面影を残す娘――須世理姫をそれは大層愛していた。しかし彼女も成長し、ついに父の元から旅立とうとする。素戔嗚は何とかして相手の男を始末しようとするが(以下略)。一番好きな話。親父イズム全開の素戔嗚が素敵である。最後の台詞の迫力が凄まじい。

『アグニの神』……童話(?)。香港の日本領事の娘である妙子が何者かにさらわれた。書生の遠藤は彼女を捜して上海に赴き、ある占い師と対峙する。ちょっと深読みすると、実は妙子が一番恐いんじゃないか、と思える話。

『侏儒の言葉』……世の様々な物事に関する芥川のおしゃべり。とにかく皮肉満載で、拾い読みするだけでも楽しい。接吻するときに目を閉じるべきか開けるべきかと問う女学生と、教課の中に恋愛の礼法がないのは遺憾だと述べる芥川が可愛い。

まだまだ書き足りないけど、今日はこのへんで終わります。
芥川評はまたやるかも……。(笑)


ブログランキング参加中。クリックして下さると一票入ります。よろしくお願いします!