つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

タイム・シーフでGO!

2005-05-03 21:17:23 | ファンタジー(現世界)
さて、軽く読み返すつもりが本気で読んでしまった第154回は、

タイトル:モモ
著者:ミヒャエル・エンデ
出版社:岩波書店

であります。

ふと思いました。
嫌いな作品の評を書く時は筆がすらすら進むのに、好きな作品だと上手くいかない。
うーむ……下手に書いて、変な先入観を持たれるのが嫌だからかなぁ。

というわけで、モモです。
作者は『はてしない物語』、『ジム・ボタンの冒険』で知られるミヒャエル・エンデ。
そして彼の最高傑作です――少なくとも私の中ではそう。
(『鏡の中の鏡』もいいが、あれは嫌いな話も多いので……)



大きな都会にある小さな円形劇場。
ある日、忘れられたその廃墟に誰かが住みついた。
くしゃくしゃの髪と大きな黒い目を持ち、だぶだぶの上着を着た少女。
彼女の名はモモ。

周囲に住む、貧しいけど親切な人々がやってきて言う。
施設に入ってはどうか、誰かに面倒みてもらうべきだ、一緒に住まないか。
彼女はそれらすべてを否定し、廃墟に住むことを認めてもらえないかと問う。
人々はそれを認め、彼女のために一つずつ小さな親切を置いていく。

モモは人の話を聞くのが好きで、得意だった。
老若男女、様々な人々が彼女に話をするために円形劇場にやってくる。
他愛のない世間話、喧嘩の話、仕事の話、夢のような物語。
モモはどんな話だろうと、真剣に耳を傾ける。

貧しくとも幸せな日々は、じわじわと、しかし急速に消えていった。
時間貯蓄銀行に所属する怪しい男達が、町の人々に接触し始めたからだ。
人は余裕を忘れ、効率のみを求めて疾駆する、それが幸せだと信じて。
孤立したモモは、時間を奪った男達――時間泥棒と対峙することになる。



童話です。
ファンタジーです。
でも……子供だましの夢物語、ではありません。
ひじょーーーーーに恐いお話です。

時間泥棒は貴方の近くにも潜んでいます。
彼らの魔の手から逃れるにはどうすればよいか?
私も……その答えを知りません。

うーむ、やっぱり上手くいかないな。
これ以上書くと、内容全部書くことになっちゃうし。
読んで、楽しんで、考えて下さいとしか言えない。(無責任)

余談ですがこの作品、映画化されてます。DVDも出てる。

すごくいい出来です。

ほぼ完璧に原作を再現しています、しかもモモがハマリ役。
原作者エンデのお墨付きで、本人自身が出演している(!)のも魅力。
ビジュアル面では文句なしだけど、オチで原作を完璧に破壊した『ネバーエンディング・ストーリー』とはえらい違いです。まー、あれはあれで好きですけど。

(つーか……書評で映画のDVDをオススメしてどうするんだ?)