つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

恋愛物語……っぽいかも

2005-05-14 13:48:06 | SF(国内)
さて、意外に短くまとまって最終巻の第165回は、

タイトル:スカーレット・ウィザード 5
著者:茅田砂胡
出版社:中央公論新社 C★NOVELS FANTASIA

であります。

まず一言。

イゼ○ローン要塞と言ってはいけません(笑)

それはなぜか。
4巻で誘拐された子供は、クーア財閥の重役たちの手に渡り、そして本社兼養育場所に、でっかくて黒くてまん丸な要塞に住むことになるから。

いや、別に銀○伝にはまったく興味はないし、大学時代の友人が好きでビデオを見せてくれたので知っているだけだけど。

さておき、このパクリ寸前の要塞を攻略し、子供を取り戻すのが最終巻のストーリー。

ただし、ぶっ飛んだ戦闘機乗りのジャスミンと宇宙に名だたる海賊のケリーと言えどもどでかい要塞にたったふたりで立ち向かうことはできない。
さらに相手は要塞、民間人の立場で戦争なんかふっかけたらお縄は必至。

そこで考えたのが映画撮影。
映画に使うんだからと元軍人のジャスミンは連邦軍に出てきてもらって要塞とどんぱち。
ジャスミンには内緒でケリーは中央宇宙の大海賊の首領を呼びつけて要塞とどんぱち。

話の前半は、いかにして要塞を攻略するかの準備段階で、後半が実際の戦闘シーン。

さて、最終巻は要塞攻略を経て子供を取り戻すところで終わりというわけではない。

子供を取り戻してから1年契約だった結婚契約を延長し、クーア財閥の総裁夫妻としての生活が描かれ、そしてようやく恋愛物語っぽくなる。

メインはなぜケリーを夫に選んだのかをいままでの話の中で出てきたケリーの過去とかと絡めて語られる。

ただし、あくまで「っぽい」くらいのレベルなので、読むひとによっては、「っぽい」どころではないくらい恋愛色は薄いかもしれない。

しかし、けっこう伏線とかうまい具合に使っているし、まとまっているほうだと思う。

デルフィニア戦記は全18巻と長いけど、これは全5巻と比較的手に取りやすい巻数になっているので、この作家さんが初めてのひとにはいいかもしれない。
もちろん、1巻完結なら、「桐原家の人々」のシリーズがあるけど、こっちは現代物なので、ファンタジーで、となるとこれがいちばん手頃。