「姫様"拷問"の時間です」
を読んで、何が面白いのかの理由を真面目に考えてみようと。
個々の事柄は得に変ではない普通のこと。
できたての料理が美味しいとか。
子どもたちの視点で遊ぶのが楽しいとか。
設定は、魔界で監禁拷問されている王国の姫(王女)。
幼い頃から厳しく育ち、強い意志で、どんな逆境にも屈しない。簡単に秘密を話さない。
しかし、拷問は美味しい食事。
姫様は簡単に秘密を話す。
魔王や魔王軍は見た目は恐ろしいけれど、人社会より相手を思いやる常識人。
本来は人の敵であるはずの、「魔界」のほうが、人社会より遥かに快適で幸せに暮らしている。
これらの矛盾を非常に真剣に、繊細な描画で描いている。
それが面白い。
どちらが敵で、どちらが味方なのか?
問いかけるのもバカらしいほどの矛盾なのだけど。
社会の真実は、実際上、味方や自分が最大の敵。
味方や身内であっても別人であり、共同体維持よりも個々人の欲求のほうが強く働くことはあるので、場合によっては身内に不利益な判断をもとに行動することは大いにありえる。
これは過去から現在、世界中で普遍的にある価値。
そしてそれは、コミュニティから外に出ない狭い見識の中では気付けない価値。
それを毎回単話で、簡潔に完結させているから面白い。
と考えた。