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「韓半島に徘徊する妖怪, 実体をさらけだす」-あるブログから転載

2010年11月26日 | 南域内情勢
★北砲撃の翌日、あるブログに出会った。感銘を受けた。あるカキコに, 読みながら泣いた、とあった。緊張と恐怖のさ中に、ふと触れる温かさや救いに、人は感動を覚える。
超緊張状況にあっても、事態を冷静に見つめるグン氏に敬意を表する。
アメリカの空母ジョージワシントンは今、どのあたりを航行中だろうか。そして28日からの米韓合同軍事演習を前に、ヨンピョン島から島民がすべて避難した。namsang


韓半島に徘徊する妖怪, 実体をさらけだす

グンシロン氏
2010/11/24 18:51 http://blog.hani.co.kr/parkje09/33130


2010年 11月 23日, 私は遂に見た. 韓半島を包む危機の危うさと, その実体を。
長い間ぼやけて霧の中にうごめいていた、何かはっきり見分けられない危険の実体を。

今日出勤、 新聞に目を通した. 現場状況と北朝鮮の攻撃背景, 断固たる対応を促す声, 金融市場衝撃, 外国の反応などの記事で、どの新聞も壁貼り状態だ。

過去北朝鮮の ‘ソウル火の海’ 脅威など南北の緊張が急激に高まった時、常に演出された買い占めも今度はあまり見られない. 島人たちは陸地に待避するため大騒ぎしているが, 陸地の人々はあまり緊張を感じていないようだ.
 
●21世紀韓半島南側に住む私たちが、本当に気になることは何か?

幾多のマスコミの吐き出す文面からは、捜すことができない. …何の罪もない私の弟(妹)みたいな海兵隊兵士らと民間人が、晴天の霹靂のように犠牲にあわなければならない、この事態の実体は何かという問いの答えにはなっていない。
果たして私たちは、そんな危険から脱しているだろうか?

筆者は北朝鮮海岸砲のヨンピョン島攻撃を通じて、韓半島安保危機の実体を衝撃的に悟った。わが国民の大多数が、北朝鮮攻撃用武器の射程圏内に入っているという事実が、剥製化された文字ではない現実であることが立証されたからだ。
言い換えれば南北緊張が一定な水位、または臨界点を超え、否それよりもっと大きな規模の局地的武力衝突とそれによる被害への憂慮が、私たちがこれまで思っていたよりずっと大きいということを悟ったのだ.
その被害者は筆者であるかも知れないし, あなたであるかも知れない。
 
韓半島に徘徊する妖怪がぼやけて見えたのは、私たちの安保不感症のせいでも, 戦争抑止力が充分に備わっているからでもない.
ただこれまで, 私たちが実感することができる証拠物がなく、はっきり認識することができなかっただけだ.
    
●多くの人々は信じる. 韓半島に全面戦争可能性はほとんどない、と。 同意する。 
1994年 1次北核危機当時、アメリカが外科手術方式の平壌爆撃を計画した時のように、戦争直前まで行きながら、しかし全面戦争の引き金は誰も引くことができなかった.
 …
 今度北朝鮮の攻撃で, 南北対立の危険は全面戦争ではないという事実を悟った。 韓半島を支配する本当の恐怖は、まさに制限的, 局地的戦闘だ。 
今度の事態は、南北の間の制限的戦闘のうち B級にあたる. 西海交戦のように両方の軍が係わる武力衝突を C級だと見れば, 民間犠牲者が発生した今度の事態は、一段階もっと私たちの身近に近づいた危険だ.
 
それでは A級は?
休戦ラインに配置された, 1万砲と推定される北朝鮮の大砲が、首都圏を狙って火を噴く状況だ. 北朝鮮は首都圏全体を射程圏内にしている長距離砲300門位を保有しているという。
 
北朝鮮が長距離砲を打てば全面戦争に飛び火するかも知れない。しかし、北朝鮮は全面戦争を憂慮して攻撃を慎むだろうか…。 今度の事態を通じて、その返事が明確になった. 
今回ヨンピョン島の海兵部隊を打撃目標にした北朝鮮砲部隊が、いつ南側の心臓部を狙うかは誰もわからない. なぜ? そんな事態が生じても全面戦争に飛躍する可能性は極めて低いから。
 
全面戦争は、南側が何倍もの軍事力で戒める態勢ができていてこそ、可能だ。
李明博大統領が弱腰に見られることが心配で、一歩遅れて出した「高度な報復」をし、北朝鮮基地を爆撃すれば、全面戦争になるのか?  返事は ‘ノー’だ。

●もちろん両方の武力衝突の水位はより高まるかも知れない。 しかし全面戦争に行くためには、両方がどんな犠牲も顧みず反撃, 再反撃を繰り返さなければならない. 
 
全面戦争が勃発すれば、速戦即決で終わる可能性は希薄だ. 北指導部が ’オールイン’をするから. 1950年代朝鮮戦争の時も 3年以上もかかった。 短い時間の内に北の降参を引き出すことができなければ、 長期戦になるのがおちだ.
21世紀に南側国民が, まさにあなたが, あなたの家族と知り合い, 愛する人々が死んで行く状況を許容するだろうか。 そんな驚くべき忍耐力を発揮した後に、我々は何を得るのか? 北朝鮮に勝つために、北朝鮮に勝てば、こなごなに壊れた私たちの生活が帰って来るのか?
 
そんなバカなことをする人は、ほとんどいない. 言い換えれば武力衝突がいくら高まっても、南側はいつも戦闘中断の方向に動くしかない. 国際社会も同じだ. イラクやアフガン攻撃を決めたアメリカも、全面戦争をけしかける覚悟はないようだ。
そして何より、私たちの一つしかない命にかかわる問題だ。私たち1人一人は、韓半島全面戦争を阻止する人質なのかも知れない.

●局地戦で終わるといっても同じだ。
南北がこうむった被害を比較し, 全体的に見れば北側がより大きいこともあるだろう。 それでは, 私たちが勝ったのか?


南側を見よう。 私たちの社会は兵士1人、市民1人でも、南北の武力衝突で犠牲になれば途方もない打撃を受けたと受け止める。 それが民主主義社会だ。 一人一人の生命ほど大切な価値はない。 軍人も同じだ。
 
権威主義体制の北はどうだろうか?
南側の反撃で北のいくつかの基地が破壊されて、北朝鮮の人ら何百、何千人が死んだとしよう。 キム・ジョンイルを頂点とする北朝鮮指導部が受ける打撃は、どれほどになるだろうか。 南側が受ける政治社会経済的打撃と比べるなら、殆どなかったか僅かな水準に過ぎないだろう。
 
たとえ全面戦争に飛び火する段階まで行くとしても、 北朝鮮指導部の対応はいくらでも変わることができる。
全面戦争が北朝鮮の敗北、権力の喪失と死を意味するのであれば、 その時彼らは方向旋回することもありうる。 イラク戦のように平壌を占領してキム・ジョンイル、キム・ジョンウンを逮捕する前に、戦闘中断を要請してくるかも知れない。
 
換言すれば、北朝鮮の選択肢は軽い挑発から局地的戦闘、全面戦争前段階まで幅広い。
反面、南側の選択肢はきわめて制限されている。 どんな状況下でも、国民の犠牲より高い価値を持つことはできない。 南側最高軍統帥権者がいくら断固たる、または「莫大な報復」を叫んでも、むなしく聞こえる所以である。  
  
●この韓半島対立状況の本質を見抜いた時、私たちにとって最善の選択肢は何か?
軍事的対応は無意味だ。 北朝鮮はキム・ジョンイル一家が被害をこうむらない限り、重大な打撃を受けたと受け止めないから。
 
この状況で最も恐ろしいのは、まさに局地的戦だ。 両側が衝突しても、北は格別負担がなく、南側は失うものがあまりにも大きいからだ。 それだけに北側は、誘惑を感じる可能性の高い選択肢になるのだ。
 
南側の好戦勢力らがよく使う強硬な武力報復が、どれほど無謀な話なのかは、簡単に分かることだ。 南側が何倍、いや何十倍の報復をしても、それは北朝鮮指導部にではなく、住民たちの被害を増やすだけに終わるからだ。
悔しいが、私たちには出せないカードである。

卑屈になれとの話ではない。 現実を直視しろとの話だ。
米国はともすれば武力攻撃もオプションから除外しないと言うが、己の家族の人生が崩壊する危険を目前にして、攻撃を云々する人はいない。 米国がイラク戦を遂行できた最も大きい理由は、貧しくて軍に志願するほかはなかった低所得階層の他に実質被害をこうむる人が殆どなかったためだ。
韓半島での武力衝突は、その影響圏から誰も逃れられない。
 
●武力ではないならば、他の対応手段はないものか?
安保理決議もやるだけやったし、経済制裁も稼動しているのに、さらに残っている対応があるとしたら何だろうか。
 
私たちは今回の事態を通じて、南北関係の方程式を作り直す必要がある。
対北朝鮮支援は、ポジュギ(むやみに与えること)ではない。 だからと言って、単に未来の混乱や統一費用を減らすための投資だけでもない。
それは危険管理、局地戦防止、平和維持費用だ。 経済協力も同じだ。 北朝鮮も失うものが明らかになれば、他の方法を考えるに違いない。
 
ネズミは追い詰められたところで、猫にかみつくしかない。 北朝鮮を崖っぷちに追い立てれば、指導部は打撃を受けない局地的戦闘の誘惑に落ちやすい。 対北朝鮮支援は北朝鮮がそのような誘惑を感じないようにするニンジンであり、テコだ。 北朝鮮が金剛山観光再開に執着していることを見ても分かることだ。
  
それなのに私たちは、米国と共に大部分のニンジンとテコを自ら捨てた。
そして北朝鮮を袋小路に追いやった。 北朝鮮が局地的、単発的攻撃をするのに、特別な口実が必要なのではない。 南北の間に今回のような口実は散在しているのだ。
 
●今回の事態は決して一過性でない。
平時に南側領土に砲射撃をした以上、その標的は、さらに多くの民間人が住む所に移るだろう。
北朝鮮を放置する限り、私たちはいつ飛んでくるか分からない砲弾の被害者になるかもしれない。
全面戦争の可能性が希薄だから、私が被害をこうむらないという安易な考えは捨てなければならない時になった。

これが韓半島を徘徊する妖怪の実体だ。
 


 

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