NPO法人 三千里鐵道 

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文在寅大統領、在日同胞政治犯に大統領として初めて謝罪する!!!

2019年06月29日 | 南域内情勢
  
6月27日、ホテルニューオータニ大阪にて開催された同胞懇談会に参加した。
文在寅大統領が2017年5月に大統領に就任以来、これが在日同胞との初めての出会いの場となった。

10人丸テーブルが38個。メインテーブルは横長の席で20数人が着席した。

会場に着いてまず思ったのは、実に多彩な在日同胞が集まったなあということだった。韓服を着た女性が多く目につき、パンソリの安聖民にも出会えたのがうれしかった。そして在日市民運動関係者が多く参加していたのも目に付いた。そのほとんどは友人だが…

大統領訪日に合わせて在日同胞の懇談会が開かれるのは恒例行事であったが、これまではほとんどすべて民団関係者によって占められ、しかも男性が圧倒的だったのを思うと、文在寅の政治姿勢がここにも表れていると実感したものだ。

スピーチを聞きながら、良し!と思って手をたたいた時が2度あった。
学園浸透スパイ団事件について言及した時と、民族学校に言及した時だ。

在日政治犯に対して、大統領として初めて謝罪したのだ!
「独裁権力の暴力に深く傷ついた学園浸透スパイ団事件による被害者の方々と家族に、大統領として国を代表して心よりお詫びと慰労のお言葉を申し上げる」

この後、実際に捕らえられ拷問されてスパイにでっち上げられ死刑判決を受け13年の監獄生活を強いられた康宗憲先輩は、この謝罪を直接聞いて、恨(ハン)が解けたと話された。しかし奪われた青春は二度と帰ってこない。後続処置を要求したい。

民族学校については、建国、金剛、京都国際に続いて、コリア国際学園(KIS)も挙げた。これは初めてのことだ。
コリア国際学園はこれまで領事館から冷遇されてきた。補助金、支援金の対象にならないなど、民族学校としての待遇を拒まれてきた。
そして大統領は民族学校に対する支援を約束された。この後校長と立ち話をしたのだが、当然この話になった。今後に期待したい。

大統領のスピーチは下記をご覧ください。



https://www.youtube.com/watch?v=g6qe-wZ13hw


近いうちに全文翻訳を載せますね!!


by maneappa

親日警察による歴史テロから70年

2019年06月20日 | 南域内情勢

韓国の民主化運動が、その過酷な弾圧を経てもまた甦り発展してきたのは、『記憶』がもたらす力であると、私は韓国で強く感じてきました。

5月23日から26日まで、三一独立運動百年スタディツアーで35名の団体旅行をしてきたのですが、それは韓国が『植民地支配』と『独立運動』そして『民主化統一運動』をどのように記憶継承してきたかを尋ねる旅行でもあったのです。

6月6日もまた私たちが必ず記憶しなければならない日です。
70年前の1949年6月6日、日帝植民地時代の『親日派』を処断するために設置された反民族行為特別調査委員会が、『親日派』残党警察によって襲撃され、実務に当たっていた者たちは暴行を受け全国から集まってきていた親日活動の証拠はことごとく燃やされてしまったのです。

そして、すでに逮捕されていた盧德述(日本名 松浦鴻  警察保安課長などを歴任しながら、数多くの独立運動家を逮捕し拷問、命を奪った民族の仇)なども、証拠不十分として釈放されてしまったのです。

1949年6月6日は、韓国が親日派を清算し、大日本帝国を清算して新しい国づくりをする機会を奪った日として記憶しなければならないのです。

Facebookで有志が集まってできたグループ『韓国ニュース日本語字幕プロジェクト』によって日本語字幕がつけられたものがありますのでご覧ください。

『親日警察による歴史テロから70年』

日本語字幕版
https://www.dailymotion.com/video/x7bjz5n



by maneappa


韓国市民の声~歴史クーデターを中断せよ!

2015年10月25日 | 南域内情勢

韓国史教科書の国定化阻止を求めるデモ行進(10.24,ソウル)



韓国史教科書の国定化を阻止するための運動が拡がっています。10月24日付『民衆の声』に掲載された記事を以下に紹介します(JHK)。
http://www.vop.co.kr/A00000950367.html


24日午後6時、ソウルの清渓(チョンゲ)ファイナンスセンター前で、国定教科書に反対する「キャンドル文化祭」が開かれた。

『韓国史教科書の国定化阻止ネックワーク』が主催したこの日の「キャンドル文化祭」には、歴史科目担当の教師、教授、研究者はもちろん、大学生や青少年、一般市民など2千人余りが参加した。

「キャンドル文化祭」では、各界各層の人士による発言と公演、国定教科書反対のピケ・コンテスト、抗議の剃髪をした教師らの決議表明などが行われた。続いて「全国教員合唱団」、「平和の蝶」、「民族は一つ」所属の大学生、民衆歌手のソン・ビョンフィさんらが公演を披露した。

『韓国史教科書の国定化阻止ネックワーク』常任代表のハン・サングォン徳成(トクソン)女子大教授は“民族と歴史を裏切った輩が今になって、国の独立と民主化のために闘った人々を「暴力主義者」に歪曲しょうとしている。来年の総選挙で与党を審判すれば、韓国史教科書国定化の策動も中断させることができるだろう”と表明した。

青少年代表として発言した大邱(テグ)市の女子中学生・キムさんは“ありのままの事実を記述した教科書を「偏っている」といえるでしょうか。私たちの先祖が血を流して守ってきた歴史を、たったの数ヶ月でこのように奪われることはできません。私たちみんなが、最後まで行動しましょう”と訴えた。

パク・ハンヨン『民族問題研究所』研究室長は“彼らは、この国の未来を担う青少年に対して、最小限の愛情と責任感も持っていない。このままでは、2千2百余ヶ所もの誤りがある「教学社」の教科書(ニューライト系の検定教科書:訳注)よりも、さらに深刻な国定教科書が出版されるだろう。そのような教科書が出てくるならば、その責任は全面的に朴槿恵政権にある”と警告した。

参加者たちは「キャンドル文化祭」の終了後、清渓広場から鐘閣、乙支路(ウルチロ)2街などを経てソウル市庁までデモ行進をした。


『10.4南北首脳宣言』8周年記念、国際シンポジウム

2015年10月07日 | 南域内情勢

『10.4南北首脳宣言』8周年記念シンポジウム(10.2,ソウル)


2007年10月4日、ピョンヤンで第二回南北首脳会談が開催されました。その場で、2000年『6.15南北共同宣言』の実践綱領とも言える『10.4南北首脳宣言』が採択されています。両宣言が誠実に履行されていたなら、南北の和解と協力はより具体的に進展し、朝鮮半島の状況も平和統一に向かう鼓舞的なものとなっていたでしょう。

両宣言を本心では全く歓迎しない朴槿恵政権は、『10.4南北首脳宣言』の8周年を記念する何らの記念行事も行いませんでした。しかし、南北関係の改善を求める市民団体が合同で、国際シンポジウムを開催しています。その内容を伝える10月2日付『プレシアン』の記事を、以下に要訳しました(JHK)。


10月2日、ソウル市の世宗(セジョン)文化会館では、「ノ・ムヒョン財団」、「韓国未来発展研究院」、「韓半島平和フォーラム」、「統一マジ」など諸団体が主管し、『10.4宣言』8周年記念の国際シンポジウムが開かれた。シンポジウムには英国の「チェタームハウス」も参加している。

この日のシンポジウムにコメンターとして参加した「統一マジ」運営委員長のイ・スンファン氏は、“平和問題が南北会談の議題として具体化された事例がなかった。北が、平和問題はアメリカと議論すべき議題だと規定し、南とは主に交流・協力に関する議題を扱うという傾向があったからだ。『10.4宣言』はそうした限界を超えて、平和と統一問題における核心的な課題を取り上げたことに大きな意味がある”と評価した。

仁済(インジェ)大学のキム・ヨンチョル教授も、“『10.4宣言』は停戦体制を恒久的な平和体制にどのように転換させるかに関して、具体的な代案を提示したという点で重要な宣言だ。今後の対北政策では、李明博政権の登場とともに対北政策から消えた'平和'を強調しなければならない”と主張した。

『10.4宣言』は確かに、朝鮮半島の平和定着において南北主導の協力と努力を明示したという点で重要な意味を持つものだ。しかし一部では、盧武鉉政権の末期だったのでその後の履行が難しかったのではないか、という指摘も出ている。これに対しキム・マンボク(当時の国家情報院長)氏は、盧大統領もこのような危惧を述べていたと回顧している。

キム・マンボク元国家情報院長は“盧武鉉大統領も、政権が終わろうとする時点で南北首脳会談をすべきなのか自問し、関連部署との協議を重ねた。そして、『南北基本合意書』から『6.15南北共同宣言』へと続く南北関係の歴史的流れの中で、飛び石を置くことで渡るべき方向を提示しなければならない、との結論を出した”と明らかにした。

また、『10.4宣言』は歴史的意味を有しているが、先行政権の業績を消そうとするその後の政権によって、実際には正当な評価を得ていないという指摘も出た。

イ・スンファン委員長は“李明博政権は、盧武鉉政権が推進したいかなる政策も継続しないという、いわゆる'ABR'(Anything But Roh)政策で一貫した。朴槿恵政権もほとんど同じ立場だが、和解・協力政策を抹殺する上では、より強硬だ”と主張した。

イ委員長は“朴槿恵政権は南北関係で力の論理を貫徹させている。当局間対話でも、議題の設定や合意履行において、‘力で押しつけると北が屈服した’との対内宣伝を展開している。これまでの成果を消滅させるために、現政権の対北政策が推進されているようだ”と皮肉った。

キム・ヨンチョル教授は、去る8月5日に行われた京元線(南のソウルと北の元山を結ぶ鉄道路線:訳注)の起工式を例にあげて、朴槿恵政権で‘政権の成果つぶし’が実際に進められていると診断した。キム教授は“南北鉄道を大陸横断鉄道に連結しようとするのだろう。だが、京義線(ソウルと北の新義州を結ぶ路線:訳注)は2007年に試運転もしたし、すでに連結されている”と指摘した。

彼は“南北間に信頼さえあれば、いくらでも京義線を再運行して大陸鉄道と連結できるはずだ。しかし、京義線は盧武鉉政権の成果なので自分たちは新しい成果を作りたいのだろう。政派的な利害だけで南北関係を扱うのは深刻な問題だ”と付け加えた。

朴槿恵政権が、国内政治的な目的から高度な戦略を展開しているという見解も出てきた。実際には吸収統一と南北関係改善のどれも真剣に推進しないのに、平和統一と安全保障の両カードを手にした現政権が、支持率を高めるうえで適切に活用しているというのだ。

韓東大学のキム・ジュンヒョン教授は“朴正熙大統領は1972年の『7.4南北共同声明』が気に入らなかった。米-ソのデタントと国民世論に押され、やむを得ず合意した声明だった。今と同じように、当時も声明後に離散家族の対面だけが行われた。朴槿恵大統領は、南北関係改善に誠意を見せなかった父親と瓜二つだ”と一喝した。

コメンターたちは、朴槿恵政権の対北政策と金正恩政権の対南政策がそれぞれ、国内・対外政治的な目的によって動いているので、8月25日の合意で南北関係改善の糸口がもたらされたが、今後の関係改善は容易ではないと見通した。

イ・スンファン委員長は“南北が互いの必要によって一時的に対話局面を形成しても、相互の敵対と不信は解消されずに残っている。そのために、南北関係の不安定性が持続し固着する様相を見せている。「8.25合意」後も、変わらない様相だ”と述べた。

キム・ジュンヒョン教授も“北は、軍縮もするし6者会談も参加すると表明して、適当な水準での対話意志を対外的に示すだろう。南北が互いに、こうしたジェスチャーを取ることで残りの2年半を送るのではないか”と見通した。

加えて、国内世論も南北関係改善にそれほど友好的ではない状況だ。 キム・ヨンチョル教授は“南北関係や北への視点がとても悪化した。最近、除隊して復学した学生たちと話して驚いた。彼らは北を‘北傀’と呼ぶ。『7.4南北共同声明』当時、イ・フラク中央情報部長が、これからは‘北傀’という用語を使わないようにしようと言った。ところが、21世紀の今日に‘北傀’という言葉が、若者たちの意識に刻印されている”と憂慮した。

彼は“『10.4宣言』の履行と関連してその哲学は継承するものの、説得方法においては根本的な転換が必要だ。 特に若い世代を説得するためには、自身の人生と統一政策の方向がどのように連結されるのか、もっと具体的で実質的に説明しなければならない”と強調した。

また、“金正日総書記が『6.15南北共同宣言』は‘もぬけの殻’になったと発言した”との共著本の内容に関して、キム・マンボク元国家情報院長は“金正日総書記は‘『6.15南北共同宣言』が出た以後に情勢の変化があって、(共同宣言が)一枚の紙切れになってしまった’と話したのだ。『6.15宣言』が‘紙切れ’になったことに対して、金正日総書記が遺憾を表現したものだ”と説明した。


(続)朴槿恵大統領への支持率、どこまで落ちるのか?

2015年01月28日 | 南域内情勢

昨年12月15日以来、40日ぶりに首席秘書官会議を主宰する朴槿恵大統領(1.26)



朴槿恵大統領への支持率低下に歯止めがかかりません。遂に30%の大台を割り、20%台に入りました。人事の刷新を求める国民の声に、大統領は国務総理(首相)や一部の秘書官を入れ替えることで乗り切ろうとしています。しかし、世論が更迭を求める大統領秘書室長(キム・ギチュン)や最側近の秘書官3名に対しては、留任を表明しました。

今は韓国も確定申告の時期ですが、昨年度の源泉徴収と関連して庶民には事実上の増税となったこともあり、政権への不満がくすぶっています。また、南北対話に向けた政策転換の兆しも見えず、民心の離反が加速されそうです。以下に、1月28日付『民衆の声』に掲載された記事を要訳します。(JHK)


朴槿恵大統領への支持率が20%台にまで落ち、就任後の最低値を記録している。支持率の下落に対処するために‘人事刷新’カードを切ったものの、大統領の支持率を反騰させることができないのだ。

27日、世論調査機関『リアルメーター』の日刊集計結果によれば、朴槿恵大統領の国政運営に関する肯定的な評価は、29.7%を記録した。反面、否定的な評価は62.6%まで上昇している。前日の日刊集計結果と比較すると、肯定評価が0.4%下落、否定評価が0.6%の上昇となる。

週間集計値で見ると、民心の離反傾向はより顕著に表れる。先週、朴槿恵大統領の国政運営に対する肯定評価は34.1%、否定評価は58.3%だった。一週間で約5%も支持率が低下しているわけだ。

大統領への支持率下落と共に、与党(セヌリ党)への支持率も低下している。セヌリ党への支持率は27日付けで、35.4%だった。前日に比べて0.1%のマイナスである。

今回の調査は26~27日の二日間、全国の成人1,000人を対象にした電話面接および自動応答方式で実施された。標本誤差は、95%信頼水準で±3.1%。

朴槿恵大統領への支持率、どこまで落ちるのか?

2015年01月23日 | 南域内情勢

朴槿恵大統領への支持率。実戦=支持、点線=不支持(1.16『韓国ギャロップ』)



世論調査機関の『韓国ギャロップ』は1月16日、朴槿恵大統領の国政運営に対する国民世論の調査結果を発表した。それによると肯定的評価は35%、否定的評価が55%だった。調査は全国の成人男女1002名を対象にして、13~15日にかけて実施されたものだ。同社は毎週この評価を実施しており、事実上の支持率を問う調査といえる。

現政権の出帆以降、肯定評価が40%以下になったのは、昨年12月第3週目(37%)以来のことだ。否定的な評価の理由として、①独善的な政局運営(19%)、②人事の失敗(13%)、③選挙公約の不履行(11%)などが挙げられている。今回の調査結果には、1月12日の年頭記者会見に対する厳しい批判が反映されているようだ。

朴槿恵政権には以前から、“側近の秘書官たちが絶対的な権限を行使し、密室で国政を運営している”との批判が集中していた。しかし、大統領は年頭記者会見で“国政運営に関する疑惑は事実無根だ。今後も秘書官たちを信頼し政局を運営する”と述べ、国民の批判を一蹴した。

大統領の傲慢な姿勢には与党内部でも憂慮の声が高まっており、民心の離反も加速されているようだ。世論調査機関『リアルメーター』が22日に発表した数値によれば、朴槿恵大統領への支持率は33.2%と最低値を更新している。また、不支持が58.8%まで上がった。これも就任以来の最高値である。

朴槿恵政権には不動の固定的支持層(主に50歳以上の世代、慶尚北道地域の住民)があり、全有権者の1/3に達すると言われてきた。33.2%という数値は、そうした固定的な支持層以外は、もはや現政権に見切りをつけ始めたことを示しているのかもしれない。ちなみに『リアルメーター』の調査で政党への支持率を見ると、与党・セヌリ党が37.4%、野党・新政治民主連合は23.3%である。

1月22日、ソウル大学の『民主化教授協議会』は時局宣言文を発表した。宣言文は「韓国社会は今、総体的な難局に直面しており、その責任の大半は大統領と青瓦台(大統領府)が負うべきだ」と指摘している。

宣言文は末尾で、朴槿恵政権への要求として次の三項目を挙げている。
①大統領は危機を直視し、大統領府の人事刷新と全面的な内閣改造を直ちに実行せよ。
②対話と妥協、共生の政治を実現するために必要な、あらゆる措置を取れ。
③経済民主化と福祉の拡大、南北関係の改善に関する大統領選挙の公約を実践せよ。

韓国の大統領は任期5年で、再任が認められない。朴槿恵大統領は今年が3年目だ。実績を残すには最適の時期かもしれない。金大中政権は3年目に首脳会談を実現し、南北の和解と協力に向け新たな時代を切り開いた。盧武鉉政権も3年目に六カ国協議の合意達成に貢献し、朝鮮半島の非核化と東北アジアの平和構築において重要な役割を果たした。朴槿恵政権が大胆に政策を転換することで、南北関係の改善を主導するよう促したい。(JHK)

新年の国民世論調査-韓国市民が望む社会とは?

2015年01月08日 | 南域内情勢

歴代大統領への好感度-朴正煕↓、盧武鉉・金大中↑(2015.1.1『ハンギョレ新聞』)


今年は、日本帝国主義の植民地統治からの解放(光復)を迎えて70年になります。『ハンギョレ新聞』は元旦の特集として、国民世論調査の結果を報道しました。「光復100年となる2045年に向け、残り30年をどのように準備するのか」という問題意識から。今回の世論調査を実施したそうです。今回の調査は12月12~15日、全国の成人男女1000人を対象にした電話面接調査によって実施されました。調査の誤差範囲は、95%の信頼水準で±3.1%。以下に、その内容を要訳して紹介します。(JHK)


1. 望ましい社会とは?

“私たちの社会が今後、どのように発展することを願うか”という質問に、最も多い47.3%の回答が“貧富格差が少なくて社会保障の整備された社会”だった。

私たちの社会が追求すべき望ましい未来像として、「福祉と平等」を挙げた人が10年前に比べて急増した反面、「経済的豊かさ」を選択した人は急減している。未来に対する不安が深くなるに連れ、社会的連帯に対する欲求が強くなっているようだ。10年前の2004年5月に行った世論調査でも、同じ質問に「社会保障」を挙げた人が最も多く、37.3%だった。

10年間に10%ポイントが増えたわけだ。こうした変化は、上位1%の平均所得が全体平均所得の12.97倍へと貧富格差が激しくなった現況と、契約職の増加や退職年齢の下降といった雇用不安が深刻化する世相を反映しているのだろう。

「社会保障」に続き、「弱者も平等に保護される社会」が28%で2位を占めた。「平等な社会」は、10年前の調査では22.5%で3位だった。「弱者」に共感して「社会的連帯」の必要性を感じる比率が、ますます増加している。 双龍(サンヨン)自動車の解雇労働者をはじめとする非正規職労働者の闘争、母が二人の娘を連れて生活苦から自殺した事件など、社会的弱者が隈に追いやられる現実の影響であろう。

「社会保障」と「平等社会」に対する応答を合わせると75.3%で、10年間に15.5%が増加した。 これに対し、10年前に2位(31.9%)だった「経済的に豊かな社会」を選んだ比率は、半分以下の14.8%で3位に落ちた。

理念指向別に調べると、進歩層の「平等社会」に対する選好度が34.7%で、保守(25.6%)層や中道層(25.9%)に比べて10%ほど高かった。「社会福祉」に対する応答比率も、進歩(50.6%)が保守(47.3%)や中道(47.0%)より多かった。一方、「豊かな社会」に対する願望は、保守(18.3%)と中道(16.2%)が進歩(5.7%)に比べて圧倒的に多かった。

世代別に見れば、40代(54.6%)と50代(50.6%)で「社会福祉」の応答率が最も高く、これら年齢層が、現実問題である“老後不安”に悩んでいることがわかる。社会福祉のために増税が必要だという意見も、この10年間に多くなった。「税金を上げた方が良い」という意見は27.4%で、10年前の18.6%に比べて10%ほど増えている。

「今の水準で維持した方が良い」という意見も、37.1%から46.4%と、やはり大きく上昇している。「低くした方が良い」という応答は、10年前の42.9%から22.1%に急減した。福祉のための増税に対する抵抗感が、以前より減ったわけだ。


2. 若者がなぜ希望を持てないのか?

「三棄世代(恋愛と結婚、出産を放棄した世代)」と呼ばれる20代の若者たち。彼らの社会に対する悲観が深まっている。“悩んでこそ青春”と言われるが、最近の20代は過去と比較しても、あまりにも苦悩がひどい。 未来の主役である20代を励ます解決策が、至急に求められている。今回の世論調査で20代は、社会の「現在と未来」に対して最も否定的な展望を示した。

20代はまず、「私が暮らす韓国」に対する満足度から低かった。10人中3人(28.4%)足らずが‘満足する’と答えただけだ。全世代平均(38.7%)より10.3%も低い数値だ。満足度が最も高い60代以上(55.5%)と比較すると、半分ほどの水準にしかならない。

さらに、「社会の未来展望」にはより一層否定的だった。社会に対する評価を問う諸項目で、20代は10人中7人(71.6%)の圧倒的多数が‘良くない方向に行っている’と答えている。この中で(16.4%)は、‘非常に良くない方向に行っている’と見ている。反面、‘良い方向に行っている’との回答は、20代では3人中1人にも達しなかった(26.1%)。

20代は、「改善の可能性」に対しても否定的意見が優勢だった。我が国の未来が今より‘良くなる’と答えたのは(36.1%)で、すべての世代をあわせて最も少なかったし、‘悪くなる’という意見が最も多かった(34.1%)。

10年前と比較すれば、20代の悲観的な状況認識が深刻であることがわかる。2004年5月の世論調査結果と比べると、今回の調査で30~60代以上の世代では、「私が暮らす韓国」に対する肯定的世論が7%~20%も増加している。ところが唯一、20代では「満足している」との回答が、10年間に0.3%(2004年は28.1%)増えるのにとどまった。ほとんど変わっていないのだ。

また、かつて「社会の未来展望」に対して60代の次に楽観的だった20代は、10年を経て最も悲観的な世代に変貌した。2004年には20代の57%が「より良い未来」を予想したが、10年後にその比率は36.1%へと墜落した。一方、未来には「状況がさらに悪くなる」という意見が、9.2%から34.1%へと4倍近く増えている。

20代は、高い青年失業率と学資金ローンなどの借金増から、‘三棄世代’(恋愛と結婚、出産を放棄した世代)と呼ばれている。しかし今や、‘五棄世代’(マイホームの夢と社会的な人間関係まで棄てた世代)に転落したとも言われる。このように暗澹とした20代の現実が、そのまま反映された結果といえる。

今回の調査で20代は、‘経済的な不安定性’(67.8%)と‘社会的な成功および認知を得ることの困難’(20.7%)を、自身の人生に満足できない主な原因に選んだ。経済的な困難に苦しむためか、20代は今後の社会が進むべき方向として「貧富格差が小さくて社会保障が整備された国」(36.8%)、「弱者も平等に保護される国」(30.6%)を優先的に選びながらも、これに伴う‘増税’には最も否定的だった。「社会福祉拡大のための増税」が最も多かった30~50代に対し、20代は「今の水準を維持」(60.7%)、あるいは「低くした方が良い」(23.8%)という意見が多かった。

ところで、他世代の「社会に対する今後の展望」も、そんなに良い方ではない。全世代平均で「社会が良くない方向に行っている」との意見が、60.5%に達するからだ。加えて、「我が国の未来状況がさらに悪くなる」との予測(26.2%)が、10年前(16.1%)に比べて10.1%も増えている。わが国に対する全体的な満足応答が10年前(26.9%)より11.8%上昇したものの、「まずまずだ」(40.5%)と答えた中の69.5%は、私たちの社会が「良くない方向に行っている」と見ている。全般的に、楽観から悲観へと重心が移っていく様相だ。


3. 歴代の大統領で誰が最も好かれているか?

李明博-朴槿恵と続く保守政府を体験する過程で、国民の間には「強力な指導力」に対する期待が低下する反面、「民主的なリーダーシップ」を待望する声が高まっている。「望ましい国家指導者像」を質問したところ、「民主的な意志決定を重要だと考える人」を望む回答が51.4%で、「権威主義的でもいいから強力な指導力を持つ人」を望むという答(45.9%)よりも多かった。

2004年の世論調査では、「強力な指導者」を望むとの答(53.2%)が「民主的指導者」(44.7%)よりも多かった。10年ぶりに‘疎通’が‘権威’を逆転したわけだ。世代間、理念指向にともなう回答でも差異が目立った。

20代は「民主的指導者」に対する選好度(70.3%)が圧倒的に高い反面、60代以上は「強力な指導者」(62.2%)に対する要求が多かった。保守指向では68.8%が「強力な指導者」を望み、進歩指向の回答者は「民主的指導者」(73.7%)を好む。ただ、中道層では「民主的指導者」に対する選好度(61.2%)が、「強力な指導者」(35.7%)よりはるかに高かった。

こうした傾向は、歴代大統領への選好度調査でも具体的にあらわれている。「最も好きな国家指導者」を尋ねた質問に、朴正煕元大統領を挙げた答(38.5%)が最も多かったが、2004年の調査結果(50%)に比べると、11.5%も減少している。反面、盧武鉉元大統領は2004年の11.6%から2014年に32.1%へと、選好度が3倍近くも上がっている。

朴正煕・盧武鉉の元大統領はそれぞれ、「強力な指導者」と「民主的指導者」を象徴すると見れる。「強力な指導者」を好む回答者の65.1%が朴元大統領を最も好きだと答えたし、「民主的指導者」選好層の半分以上(52.1%)は、盧元大統領を挙げている。保守指向は朴正煕(66.4%)、進歩指向は盧武鉉(55.8%)を好む比率が高かった。中道層では、朴正煕(25.8%)よりも、盧武鉉(39.2%)の選好度が高かった。

特に、世代別の差異が際立っている。20代と30代では盧武鉉に対する好感度がそれぞれ49.4%、48.5%で高かったし、朴正煕14.2%、18.9%にl過ぎない。40代では盧武鉉(35.8%)と朴正煕(35.6%)に対する好感度に大差なかったが、50代と60代では、朴正煕への支持がはるかに多かった。特に60代では朴正煕への選好度が63.9%に達した反面、盧武鉉は10.6%に過ぎない。

二人の大統領に続き、金大中(11.5%)、李明博(1.7%)、金泳三(1.1%)の各元大統領が「好きな大統領」として挙げられた。金大中に対する選好度は2004年の8.6%から2.9%上がっている。「民主政府」を象徴する金大中-盧武鉉の両大統領に対する支持を合わせると43.6%[朴正煕への支持38.5%を上回る:訳注]で、10年前(20.2%)の調査より、2倍以上も高まったことが分かる。


4. 韓国が協力すべき国は?

「今後わが国の発展のために協力が最も必要な国はどこか」という質問に、回答者の58.5%が‘中国’と答えた。‘アメリカ’を挙げた応答は34.5%だった。これは、中国の経済大国化と韓中関係の拡大がもたらした認識の変化と判断される。2004年8月、『韓国社会世論調査研究所』の世論調査結果では、中国(43.7%)とアメリカ(41.8%)が拮抗していた。10年間に中国への関心が非常に高くなったことがわかる。

中国に対する選好度が高まったことは、2008年の世界金融危機以後、東アジアを中心に中国の浮上が目立っているのに伴う結果だろう。直接的には、韓中貿易の規模が韓米貿易の2倍に達しており、最近は韓中自由貿易協定(FTA)まで締結されたうえに、観光と留学をはじめとする人的交流も急速に増えるなど、韓国と中国の密接度が高まったからだと分析される。

加えて、アメリカに安保を過度に依存してきた「韓米同盟」に対する疲労感も、影を落としていると思える。理念指向に照らしてみると、進歩(70.3%)と中道(61.6%)が、保守(50.1%)に比べて中国側に傾斜している。概して保守層が「韓米同盟」を強調する雰囲気と、無関係ではないようだ。

世代別に見ると、職場で‘中国の力’を日常的に体験する40代(71.0%)と50代(65.7%)が、今後の協力国家として中国を挙げている。‘月収401万ウォン以上’の所得層で中国への協力選好度が高いこと(70.5%)も、中国と直間接的に事業面での利害関係が絡まっているためだろう。

これに対し、20代の若年層ではアメリカ(45.7%)と中国(47.9%)の比率が近接している。幼い頃から、ドラマ等を通してアメリカ文化にたくさん触れてきた20代の特性だろう。今後の協力国家で‘日本’を挙げた応答は、2004年の8.9%から今回は3.1%となり、半分以下にまで落ち込んだ。日本軍慰安婦問題など過去の歴史認識をめぐる「韓日葛藤」で、日本に対する好感度がかなり低下していることに注目したい。日本への選好度は、理念指向と関係なく等しく低下している。


5. 統一問題への視点は?

統一問題に関しては、「負担する代償が大きくても、できるだけ早期に達成すべき」が13.5%、「急ぐことなく徐々に統一条件を作るべき」が71%だった。「現状のままで良い」と、「関心があまりない」との応答はそれぞれ、10.7%と4.4%である。統一の当為性は認めながらも、急激な変化や災難を招きかねない「吸収統一」方式よりは、南北間の異質性克服を通した「漸進的統一」方式を好んでいることがわかる。

理念的指向や支持政党にともなう差異は、殆ど見られなかった。ただ、20代では「負担する代償が大きくても、できるだけ早期に達成すべき」という応答は4.5%で、平均を大きく下回った。「現状のままで良い」も18.9%で、平均のほとんど2倍に達している。20代において、「統一の当為性に対する認識」が最も弱いわけだ。

2003年5月、 『ハンギョレ新聞』の 創刊記念日をむかえて実施した世論調査では、「現状のままで良い」と「関心があまりない」はそれぞれ、7%と4.2%だった。今回のアンケート調査と比較すると、朴槿恵政府が昨年、「統一大当たり論」等で統一問題に対する関心を喚起させようとしたものの、統一に対する全般的な無関心が微増していることがわかる。

5月31日にハンギョレ新聞に掲載された全面意見広告

2014年06月02日 | 南域内情勢
5月31日にはハンギョレ新聞に掲載された

在日同胞が国内同胞に送る呼訴文
≪私たちは韓国が何よりも人の命と人権を大切にする国になることを願います≫

をアップします。

またこのような意見広告が出たことを、ハフィントンボスト・コリアが記事にしています。
http://www.huffingtonpost.kr/2014/05/31/story_n_5421799.html?page=1

この記事をフェイスブックでこれまでに約1000人の方がシェアしてくださっていることから この呼訴文が韓国国内で静かな波紋を起こしていることがわかります。このように多くのシェアを頂く記事はそう多くありません。

水曜日には掲載紙が到着しますので、賛同してくださった方に発送いたします。


by maneappa




訃報-李鳳朝(イ・ボンジョ)元統一部次官、他界

2014年03月16日 | 南域内情勢

李鳳朝・元統一部次官



悲しい知らせです。3月15日午後3時20分頃、李鳳朝(イ・ボンジョ)元統一部次官が肝臓がんで他界しました。三千里鐵道とは浅からぬ縁があり、林東源元長官らとともに何度も訪日されました。昨年の6.15南北共同宣言13周年記念行事にも、講師としてお招きしています。あまりの急逝に言葉もありません。まだ60才でした。三千里鐵道はここに、都相太理事長をはじめ各理事と全会員の名で、故人に心よりの哀悼をささげ冥福を祈ります。以下に、昨日付け『統一ニュ』の記事を要訳します。



昨年12月、肝臓癌の診断を受けて闘病中だった李鳳朝・元統一部次官が3月15日午後3時20分頃、ソウル市中渓洞(チュンゲドン)の自宅で死亡した。

故人は統一部の統一政策室室長を経てノ・ムヒョン政府で15代統一部次官(2004~2006)を務めた。最後の公職は統一研究院院長だった。

退職後は『興士団』の「島山統一研究所」所長をはじめとして、「韓半島平和フォーラム」理事など統一関連団体の活動に積極的だった。最近では、「新しい政治連合(仮称)」の創党準備委発起人に名を連ねもした。

故人をよく知るイ・ジョンソク元統一部長官は「健康を回復するだろうと信じていたのに、本当に残念だ。1月に見舞った時には、気候が和らげば療養院に行くと言っていた。こんなに早く逝くとは、とても信じられない」と哀悼した。

イ・ジョンソク元長官はまた、「私がNSCの事務次長だった時に、統一部政策室長の職にあった故人をNSC政策調整室長に迎え入れた。極めて有能だったし、面倒見がよくて申し分のない人格者だった」と回顧した。

地方自治体選挙に向け、新党結成に合意

2014年03月02日 | 南域内情勢

新党結成に合意したアン・チョルス(左)とキム・ハンギル(右)



キム・ハンギル民主党代表とアン・チョルス「新しい政治連合」準備委の中央運営委員長が2日、新党の結成に合意したと宣言しました。与党同様、国民の信頼を失った保守野党勢力が、6月の地方自治選挙を控えて起死回生の策を講じたようです。果たして国民の支持を回復できるのか、慎重に見守る必要があります。以下は、同日付『ハンギョレ新聞』電子版の記事を要訳したものです。


 二人はこの日午前10時、国会で共同の緊急記者会見を行い、「政府と与党は大統領選挙時の不正行為に対する反省と謝罪をせずに、傲慢と独善にまみれている。地方自治選挙を控え、再び国民を欺瞞している現状を黙過できず、偽りの政治を審判して約束の政治を実践するために互いの力を合わせて新党を結成することにした」と表明した。

二人はまた「国民に約束した通り、今回の6・4地方選挙では基礎自治体選挙(中小規模の市・郡・区など227自治体。他にソウル市や釜山市などの大都市と各道など17の広域自治体がある:訳注)の政党公認をしないことに合意した」と付け加えた。

キム代表とアン委員長は「今日の明け方、最終的に新党結成による両党の統合に合意した。今後、協議を通じて新しい統合政党の党憲・党規などを作成することで持続的な改革を推進する」と説明した。

また、チェ・ジェチョン民主党戦略広報本部長はこの日、緊急記者会見が終わった直後に記者たちと歓談し「今朝9時に緊急最高委員会を開いて、基礎自治体選挙における政党公認の廃止と新党結成に関して全会一致で決議した。新党の結成方式などに対しては、早急に双方の代表者による結成準備チームを構成して議論する」と話した。ソン・ホチャン「新しい政治連合」対外委員長も新党の結成時期に関して、6・4地方自治体選挙前の結成を示唆した。

民主党と「新しい政治連合」の電撃的な新党結成宣言で、野党圏を中心に政界改編が現実化されることになった。6・4地方自治体選挙はこれまでの3者構図から、セヌリ党と統合新党の両者対決構図へと再編されることになる。

両者の電撃的な新党結成宣言に対して、与党セヌリ党は「低レベルな野合の政治シナリオ」と批判した。セヌリ党スポークスマンのパク・テチュル氏はこの日、『聯合ニュース』との電話インタビューで「自力更正が不可能な新生政党と、勢力拡大のためならば何でもする民主党との野合だ。既に予測していた低俗な政治シナリオ」と罵倒した。


*参考のために、当日の共同記者会見文を紹介します。

民主党キム・ハンギル代表と「新しい政治連合」アン・チョルス中央運営委員長は今回の地方選挙で、国民に約束した通り基礎自治選挙における政党公認をしないことに決定した。

政府と与党は、大統領選挙時の不正行為に対する反省と謝罪をせずに傲慢と独善にまみれており、地方自治体選挙を控え再び国民を欺瞞している。

政治が選挙勝利だけのために偽りの約束で運営されるならば、国民とのどんな約束も無意味であり、国民は政党とのいかなる約束も真に受け入れないだろう。政治的な欺瞞は国民の政治嫌悪をもたらし、民主主義そのものを脅かすことになる。

厳重な状況に直面しているが、「新しい政治」への試みは継続されねばならない。「新しい政治」は、国民との約束を守る「信頼」という資産を作るところから出発する。「新しい政治」は約束の実践なのだ!

ここに「新しい政治連合」アン・チョルス中央運営委員長と民主党キム・ハンギル代表は、偽りの政治を審判し約束の政治を実践するために、双方の力を合わせて新党を結成することとし、次の通り合意した。

1. 双方は、新しい政治のために新党結成による統合を速やかに推進して、これを基礎に2017年の政権交替を実現する。

1. 新党は、基礎自治体選挙における政党公認廃止の約束を履行して、韓国政治の慢性的弊害を打破するために政治改革を持続的に推進する。

1. 新党は、大統領選挙時の不法選挙介入などに対する真相究明を通じて、民主主義の再建に向け努力する。

1. 新党は、国民経済を構成するさまざまな主体が等しく成長して共生できるよう、経済民主化と福祉国家の実現に向け民生中心主義の路線を堅持する。

1. 新党は強固な安保体制に基づき、韓半島の平和を構築して統一を志向する。

2014年3月2日 民主党キム・ハンギル代表。「新しい政治連合」アン・チョルス中央運営委員長。

李石基議員に懲役12年の一審判決

2014年02月20日 | 南域内情勢

不当判決を糾弾する光州市民(2014.2.18)


2月17日、李石基議員らに対する内乱陰謀事件の第1審判決公判が開かれた。水原地裁刑事第12部は、内乱陰謀と内乱扇動容疑を認定し、李石基議員に懲役12年、他の6人の統合進歩党関係者には懲役4年~7年の重刑を宣告した。

裁判部はこの日、第1審の宣告公判で「内乱陰謀事件に関する情報提供者の陳述には信憑性が認められ、指揮体系を備えた組織が存在した事実も認められる」として、内乱陰謀容疑に対して有罪判決を下した。裁判部は 「RO(革命組織の略)は内乱陰謀のために作られた組織で、李石基議員が総責だ」と判断した。

裁判部はまた「李石基議員が革命同志歌と赤旗歌を歌い、利敵表現物を所持していた事実が認められる」として、国家保安法違反の疑いもあると判断した。検察の起訴内容をほぼ全面的に受容した判決である。当然ながら与党は歓迎の意を表している。統合進歩党は不当判決だと糾弾して、控訴審で徹底した真実究明を行なうと表明した。

微妙なのは第一野党の民主党だ。判決直後、党のスポークスマンが「民主党は憲法の価値と民主主義秩序を損なう、いかなる行動にも妥協したり容認しないという原則を堅持してきた。今後もこの原則がブレることはない」との声明を発表し、自己保身に汲々とする醜態を見せている。

朴槿恵政権は自らの意向を反映した重刑判決が出たのを機に、統合進歩党に対する強制解散を目論んでいる。翌18日、憲法裁判所では法務部が提訴した「違憲政党の強制解散請求」の公判が開かれ、法務部側の証人は内乱陰謀罪の有罪判決が強制解散の十分な根拠になると主張した。さらに国家情報院は、李石基議員の講演会に参席した統合進歩党幹部らの容疑を固め、数日中に検察に送致する計画だという。

1980年、金大中氏が内乱陰謀罪で起訴され、軍事法廷で死刑判決を受けた。それ以降、内乱陰謀罪で起訴された事件はなかった。後に金大中氏は再審を請求し無罪を勝ち取るが、24年後のことだった。しかし彼を起訴した検事も、彼に死刑を宣告した判事も、誰一人として責任を問われなかった。

真実と法理よりも独裁政権の意図に忠実だった検察や司法部が裁かれてこそ、政治事件の冤罪再発を防止できるだろう。今回の内乱陰謀事件も、数十年後の再審でようやく無罪が宣告されるような事態になってはなるまい。控訴審で真実が究明されることを強く願う次第である。以下に、2月18日付『ハンギョレ新聞』の社説を要訳して紹介する。(JHK)


[社説] 法の論理を逸脱した「李石基事件」の判決

裁判所が李石基議員らに対する内乱陰謀事件を有罪とみなし、懲役12年~4年の重刑を宣告した。「ROが内乱陰謀の主体」という公訴事実をほとんど認めたわけだ。「ROは存在せず、国家情報院と情報提供者の推測で作った小説だ」と主張してきた李議員と弁護団の主張は、全く受け入れられなかった。

裁判所の有罪判決が法理的側面や事件の展開過程に照らして、どれくらい説得力があるのか疑問だ。この事件は、国家情報院が敢行した大統領選挙介入事件の渦中に発表された。そうした経緯を知っている国民なら、公安当局と政権が難局を回避するために準備したスケープゴート(犠牲の羊)騒動に、裁判所も引き立て役を担ったのではないかと疑問を持ちそうだ。

内乱陰謀および扇動罪に対する有罪判断だが、まず法理的に無理な側面がある。裁判所は「ROが主体思想を戴く秘密地下革命組織であり、自由民主主義体制を転覆しようとする国憲紊乱の目的の下、内乱水準の謀議をした」という検察の主張を受け入れた。言論に公開されたように、彼らの集いを盗聴した録音記録に「石油貯蔵タンクの爆破や鉄塔の破壊、後方かく乱」など、荒唐な表現が多数登場するのは事実だ。また、情報提供者の李某氏を含む3人の対話を録音した記録には、思想学習の場で北朝鮮の三代世襲を容認するような発言も登場する。

しかし、かと言って彼らに内乱陰謀や扇動罪を適用できるかどうかは別途の問題だ。刑法第87条は内乱罪について、「国土の僭竊または国憲紊乱を目的として暴動する罪」と規定している。ある地方の平穏を害するほどの「暴動」であるだけでなく、一般的で抽象的な合意を越える「具体的な謀議」でなくてはならないのだ。

判決文が「陰謀は計画の細部にまでは至らなかった」と解明したように、彼らが果たしてどの程度の具体的な内乱計画を立てたのか、実際にそれだけの実行能力があったのか、甚だ疑問である。判決は「おもちゃの銃」が話題になり幼子の泣き声まで聞こえる集いが、“内乱陰謀のための組織的な会合”だというのだが、合理的な判断だとは同意し難い。

2010年に情報提供を受け、昨年7月までは「国家保安法違反事件」と規定して盗聴令状を受け取っていた国家情報院が、突然、8月になって「内乱陰謀事件」に変更したことは、この事件の政治的性格を示唆するものだろう。大統領選挙に介入した犯罪行為を糾弾する時局宣言とローソクデモが相次ぎ、国家情報院が危機に陥ったことから事件を誇大包装して発表したのではないか、という疑惑だ。

録音記録を起訴以前の段階からメディアに流して世論裁判を試みたことも、このような政治的意図を感知させる。この事件に先立ち、南北首脳会談の対話録を強引に公開したのも同じ脈絡だった。政府が法務部を通じて統合進歩党に対する政党解散審判を憲法裁判所に請求するなど、事件を前後して政権次元での「従北騒動」が猛威を振るったことは、この事件の政治性を端的に反映していると言えよう。

このような政治的事件において、結局は、裁判所が法の原則を厳格に守るのではなく、公安当局の世論攻勢に振り回されたのではないか。遺憾なことだ。

内乱陰謀事件の公判が結審-検察、李石基議員に懲役20年を求刑

2014年02月04日 | 南域内情勢

検察の求刑を糾弾する記者会見(2014.2.3,水原地方検察庁)



2月3日、統合進歩党の李石基議員ら7名に対する内乱陰謀罪事件が結審し、検察は懲役20年~10年(各資格停止10年が付与)という重刑を求刑しました。昨年9月に起訴されたこの事件は、2月17日、審理開始から97日目に一審判決が宣告される予定です。

1981年5月、光州民主化運動に戒厳軍を投入して鎮圧した全斗煥政権は、金大中氏ら民主人士に内乱陰謀罪を適用して死刑や無期懲役を宣告しました。30年近い歳月を経て、その事件は再審で無罪が確定しましたが、当事者たちが受けた苦難は筆舌に尽くしがたいものがあります。

一方、全斗煥・盧泰愚ら新軍部勢力は、金泳三政権期に断罪されることになります。クーデターで政権を奪取した反乱罪などに問われ、重罰を受け収監されました。数年後には赦免で釈放されはしましたが、韓国社会の民主化が進展する過程で、正義は必ず具現されていったのです。今回、統合進歩党に対する内乱陰謀事件も、犯罪を立証出来るだけの明白な証拠は提示されていません。二週間後に、司法部の公正で賢明な判決を期待したいものです。以下に、『オーマイニュース』の関連記事を要訳しました。(JHK)

http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0001954200&PAGE_CD=ET000&BLCK_NO=1&CMPT_CD=T0000


内乱陰謀事件の45次公判
 李石基の最終陳述-内乱陰謀はウサギに角を探すようなもの-繰り返し無罪を主張


3日午後4時40分頃、静かだった法廷に突然、ノートパソコンのキーボードを打つ音が響きだした。内乱陰謀事件の45次公判が開かれた水原地方裁判所刑事法廷で、この日の核心場面の一つである李石基・統合進歩党議員の最終陳述が始まったのだ。取材陣が懸命にキーボードをたたく中で、確信にみちた李議員の声が法廷に鳴り響いた。

李議員は「内乱陰謀事件は想像もできないことだった。大韓民国の現職議員が、選挙で選出され出帆して1年目の、しかも国民過半数の支持を受けている現政権を暴力的方法で転覆しようとしたというのだ。果たして説得力のある話だろうか」と問い直した。

彼は自身の内乱陰謀・扇動容疑を「ウサギに角を探すようなもの」と皮肉った。「ないものはないというしかないが、ない事実を証明しろというのだからどうしようもない」と、自身の潔白を強調した。昨年11月12日の初公判で、「一方の理念に偏った生き方をした覚えはない」と述べた李議員は、この日も「30年間、進歩運動に身を置いて来たが、北朝鮮に対しても、ソ連に対しても、絶対視したことはなかった」と陳述した。

李議員は「国家情報院が内乱陰謀事件を捏造したのだ。法務部もこの事件が起きるやいなや、憲法裁判所に違憲政党(統合進歩党を指す:訳注)解散審判を請求している」と主張した。彼は捏造の根拠として、「国家情報院に今回の事件を情報提供した李・某氏さえ、昨年8月28日の押収捜索前までは、この事件が内乱陰謀事件だと知らなかった。国家情報院が裁判所から最後の通信制限措置(盗聴)許可を受けた7月28日付文書にも、‘国家保安法事件’と書かれている」ことなどを上げた。また、「事件が起きた昨年8月は、国家情報院の大統領選挙介入疑惑で国民の怒りが拡大していたし、大統領府の責任を厳しく問うた時期だった」とも指摘した。

彼は「もし陰謀を言うのなら、私の内乱陰謀ではなく、朴槿恵政府の永久執権陰謀があったとするのが事実に符合するだろう。検察がこの裁判を利用して野党の連帯を破綻させ、その執権を阻止しようした。私と統合進歩党は、その狂気の真っただ中で‘犠牲の羊’に仕立てられたのだ」と主張した。

そして「今回の裁判は、私たちの民主主義がどこまで到達したのか示す試金石になるだろう。この裁判がまた、私たちの社会がどこへ向かうべきかを議論する道しるべになることを祈願する」と述べた。最後に彼は、「もはや冬の共和国ではない民主共和国として、新たな春の序曲を知らせる賢明な判決を望む」との期待を表明して陳述を終えた。

弁護人の資格で公判に出席したイ・ジョンヒ統合進歩党代表もまた、「裁判で明らかになった事実関係を合理的に判断するなら、内乱陰謀などは無罪が当然だ。検察の主張は、極端な敵対意識が作り出した想像の中の恐怖に過ぎない」と語った。

被告人の最終陳述に先立ち、約3時間にわたる弁護団の最終弁論があった。検察と国家情報院の主張を一つ一つ反駁するために弁護団が作成した弁論要旨は、約250ページに達した。プレゼンテーションのファイルも126枚だった。

最終弁論を主導したキムチルチュン弁護士は、事件の鍵を握っている情報提供者、李氏を集中的に弾劾した。彼は「李氏が市民や一党員としてではなく、一貫して国家情報院捜査官の補助者として活動した。彼の証言が信頼するに値するのか検討するのが重要だ」と話した。

彼は李氏が法廷で、▲いわゆるRO(Revolutionary Organization:革命組織)の綱領と組織体系、5大義務などに関する陳述を覆した。▲国家情報院の捜査官に録音ファイルを渡すたびに公金で20万~30万ウォンを受け取った。▲最初に国家情報院と接触した当時の2010年陳述調書と、2013年の陳述調書ではROと関連した部分の内容が食い違う、といった点を指摘した。そして「様々な事がらを照合すると、彼の陳述は主張であって証拠ではない」と断定した。

内乱陰謀事件の1審は2月17日、その幕を下ろす。裁判所はこの日午後2時に、判決公判を開くと明らかにした。

検察の求刑の時にも、最終陳述に際しても平常心を保った7人の被告はこの日、裁判が終わるとすぐに微笑を見せた。彼らは弁護団と握手を交わし、家族と支持者に向かって手を振った。傍聴席にいた人々も立ち上がって彼らに手を振り、「りっぱな陳述だったよ! ご苦労さまでした!」と大きな声で激励した。

全国の大学に広がる“アンニョン(安寧)ハシンミカ?”の問いかけ

2013年12月17日 | 南域内情勢

高麗大学の壁新聞(2013.12.10)


去る12月10日、高麗(コリョ)大学経営学科に在籍するチュ・ヒョヌ氏(27才)は、“皆さん、安寧(元気・平気:訳注)ですか?”という題名で始まる壁新聞一枚を学内に掲示した。チュ氏は本文で“一日のストライキで数千人の労働者が働き口を失った。鉄道民営化に反対しただけで、4213人が職位解除の処分を受けたのだ。朴槿恵大統領が自ら、国民の合意なしでは推進しないと約束した民営化なのに、それを反対したという理由で懲戒だなんて...労働法から「ストライキ権」がなくなるかも知れない”と嘆いた。

続けて彼は、国家機関の大統領選挙介入問題も指摘している。“不正選挙の疑惑は膨らむばかりだ。国家機関の選挙介入という未曾有の事態を前にして、大統領の弾劾訴追権を持つ国会の議員が、「辞退せよ」と言っただけで除名の圧力を受ける。今が果たして21世紀なのかわからなくなった”と皮肉った。

更にチュ氏は“「月収88万ウォン世代」の私たちは、IMF事態(1997年の通貨危機。IMFの管理下で大量解雇を断行:訳注)以後に両親が共働きで鍵っ子になることを、センター試験の度に少なからぬ学生が自殺する現実に沈黙することを、何事にも無関心になることを強要されてきた。私はただ、皆さんに尋ねたい。このままで安寧なんですか?別に不都合なくお住まいなんですか?他人事だと、見て見ぬふりをして平気なんですか?”と問いかけている。

二日後、壁新聞に共感する大字報が40余枚、同じ掲示板につけ加えられた。瞬く間に、反響は各大学に広がっている。延世大、成均館大、中央大、仁川大、釜山大...。

“安寧ですか?”と問いかける壁新聞に、すべての大字報は“安寧ではおれません!”と答えている。こうした熱気は、学生たちが政治・社会的な諸懸案を自らの問題と認識しており、抑圧される社会的弱者に対し強い連帯感を抱いていることを示すものだ。“安寧ではおれない”300余名の大学生が、鉄道労働者のストに参加したという。

そして16日午前7時半、大田市にある女子高校の1年生、イ・ミンジさんが校舎に壁新聞「いいえ、私は安寧ではありません!」を掲載した。彼女の聲を聞いて欲しい。

“高校生なので大学生の問いかけには答えられないだろう、と考えていた自分が恥ずかしくなりました。市民が不当に抑圧される現実に対し「安寧ではおれない」と言えなければ、社会に出てからも市民の権利を要求する資格はない、と思ったのです。残念ながら私は今、安寧ではありません。
 
病気の祖父母がお金がなくて病院にも行けないと思うと、安寧ではおれません。中学生の従弟が「慰安婦は強制ではない、自分の意志で日本軍に従って行ったんだ」と教えられるかと思うと、安寧ではおれません。毎週土曜日に市庁前広場で数万人がローソクデモををするのにテレビは報道しないので、安寧ではありません。数えきれない方たちの血で築いた民主主義がこんなにあっけなく崩れていくのを見ると、心が張り裂けそうで安寧ではありません。
 
私たちがみんな、「行動する良心」になることを願います。皆さんは、2013年に韓国民として安寧ですか?またもや弱者に刃を振るおうとする朴槿恵政府を前にして、皆さんは安寧なんですか?”

朴槿恵大統領への辞任要求

2013年11月20日 | 南域内情勢

国家情報院事態の解決と民主主義回復を求める時局ミサ(9.13、光州市の南洞聖堂)



「国家機関の違法な選挙介入に対し、大統領は責任を負わなければならない!」
カトリック教会全州教区の「正義具現司祭団」、朴槿恵大統領の辞任を要求。『ハンギョレ新聞』電子版2013.11.20 、21:51


カトリック教会「正義具現司祭団」に所属する全州教区の司祭たちが、国家情報院など国家機関の違法な大統領選挙介入への責任を追求し、朴槿恵大統領に辞任を迫ることにした。

全州教区の司祭団代表は去る11月11日、全羅北道群山市の寿松洞聖堂で会議を開き、その間、国家情報院の選挙介入に関して時局ミサでは要求しなかった「大統領辞任」を促すことに決めた。

会議で司祭団は「去年の18代大統領選挙は国家情報院、国防部、国家報勲庁などの国家機関が介入した違法選挙であったことが明確になった。その総責任は朴槿恵大統領にある。しかし、各界各層が責任と真相究明、謝罪を要求しているのに、当事者は何の対応もしない。大統領職の辞任をもってその責任を問うほかはないと決めた」と、会議に参加した神父が語った。

全州教区の司祭団は22日午後7時、群山市の寿松洞聖堂で「違法選挙糾弾と大統領辞任を促すミサ」を奉献する予定。この日の説教はパク・チャンシン元老神父が担当する予定だ。司祭団は以後、全州(チョンジュ)、益山(イクサン)・井邑(チョンウプ)などの地域を巡回して時局ミサを相次いで開催し、大統領への辞退要求を継続することにした。

寿松洞聖堂のソン・ニョンホン主任神父は「これまで大統領への辞任要求を躊躇していたが、出発点は国家機関を動員した違法で不正な選挙だった。今からでも糾弾のレベルを上げて、大統領に辞任を迫るつもりだ」と語った。

ソン神父はまた、「維新時代(朴正熙政権期:訳注)の1974年に、『正義具現司祭団』が創立されたが、当時の最初の時局宣言文を読んでみると、公安政治をするな!官制言論を作るな!経済民主化実現せよ!学生・知識人を拘束するな!など、現在の状況と全く同じだった。我々は、再び始めようという気持ちで行動する」と明らかにした。

カトリック教会では去る7月5日の釜山(プサン)教区を始まりとして、一般信者と修道者、15教区の司祭たちが一体となって国家情報院の大統領選挙違法介入に抗議し、真相究明と責任者の処罰などを要求する時局宣言と時局ミサを継続してきた。

8月26日には全羅北道全州市の中央聖堂で、カトリック教会全州教区の「正義平和委員会」が主催する時局ミサが開かれ、全州教区の神父200余人のうち、152人が時局宣言に署名した。
(訳JHK) http://hani.co.kr/arti/politics/politics_general/612090.html?_fr=mt1r

韓国人の集団的な認定欲求

2013年11月14日 | 南域内情勢

EU理事会庁舎で共同記者会見する朴槿恵大統領(2013.11.8)


朴槿恵大統領は11月2日から10日まで、イギリス、フランス、ベルギーなどヨーロッパ諸国を歴訪し、華々しい首脳外交を展開しました。出発直前の10月29日、大統領官邸で収録されたイギリスBBC放送とのインタビューも、同国訪問中の11月4日に放映されています。
 
 韓国内のメディアは、首脳外交での具体的な成果よりも、大統領が訪問先で駆使する外国語の実力や、服装などのファッションに焦点を当てて報道する傾向があります。
 こうした韓国社会への警鐘とも言える批判的なコラムを紹介します。出展は11月9日付『ハンギョレ新聞』、筆者は文化評論家のムンカン・ヒョンジュン氏です。
http://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/610410.html



大統領の外国語

 パク・クネ大統領がヨーロッパ歴訪中である。予想通り、TVニュースはこれを重点的に報道している。ある総合編成チャンネルのニュースでは、パク大統領の「外国語の実力」を主要テーマで取り扱いさえした。フランスに行ってはフランス語で、英国に行けば英語で、中国では中国語で演説する大統領の姿を念入りに編集していた。歴代大統領の外国語実力と比較した資料を、画面で詳細に紹介するほどだった。
 
 国家情報院の大統領選挙介入、全国教職員労組の不法化と全国公務員労組への押収捜査、統合進歩党に対する解散請求などで、国全体を公安政局に巻き込んでおきながら一言のコメントも出さない大統領だ。そうした大統領を批判したこともないメディアが、外国語で演説する彼女の姿には、感心至極というわけだ。

 外国の首脳が訪韓して韓国語で演説したことがあるのか知らないが、何よりも私たちが切実に聞きたいのは、英語やフランス語でなく、パク大統領の韓国語なのだ。

 大統領が外国を訪問して、その国の言葉で演説する行為がニュースの種になる。そのことに何の違和感もないのは、それが韓国の全般的な文化現象として定着しているからだ。 ドラマには定番のように、野望に満ちた財閥2世が米国やヨーロッパに飛行機で入国し英語で“ビジネス”する姿が描かれる。外国語の能力は、彼らが本当に有能な人材だということを証明する、最も具体的な尺度なのだ。

 韓国では、多くの大学が国文科や哲学科を廃止すると同時に、教授には全面的な英語での講義を要求している。すでにかなり以前から、アイドル・グループの名前は国籍不明の英語だらけである。日常対話、アパートの名前、商品名、屋号名、企業と機関名にも、英語がどんどん入ってくる。

 かけ離れたように見えるこれらの現象を一つに結びつけるのは、外国語に対する韓国人の支配的な心理状態だ。どのような形態であれ英語などの外国語を入れてこそ、“価値あるように見える”と考えるこの心理は、韓国人の集団的な認定欲求を反映している。先進国と呼ばれる国々から認められたいという飽くなき欲求は、彼らの言語を自己の言語より“素晴らしい”ものと見なす。私たちより“貧しい”国々とその国民に対する蔑視や差別、優越意識は、このような認定欲求が作り出す否定的な側面でしなかい。

 外国への認定欲求がもたらす一つの真実は、それが結局は“強者”に対する崇拝という点だ。言語であれ政治制度であれ、あるいは文化であれ、韓国よりも経済的に豊かな国々は大体、私たちの問題点を修正するための参照対象として機能する。反面、私たちよりも経済的に劣る国々は、好奇心を刺激する異色な文化の地域と言及されるだけで、真剣な関心の対象にはならない。

 “強者”に対する崇拝は国の内部でも作動する。江南(カンナム:漢江の以南で富裕層の居住区域‐訳注)と江北(カンブク)、ソウルと地方、標準語と方言、ソウル市の大学と地方大学、正規職と非正規職、嶺南(ヨンナム:慶尚道)と湖南(ホナム:全羅道)、正常人と非正常人など、馴染みのある様々な区別はすべて、力の強弱に関連している。とりわけ、人生自体が生存競争になった時代に勝利し成功した者、つまり強者に対する憧憬は、より一層強力になるのだろう。それは歴史も政治も、そして正義までも超越する。

 先日ソウルでは、チジェクやバディウなどが参加した「コミュニズム」の行事が開かれた。当代の著名な哲学者がソウルに集まって開かれた「コミュニズム」の饗宴は、私たちに新しい考察のテーマを投げかける鼓舞的な行事だった。

 今日、10万人の党員、6人の国会議員を持つ統合進歩党は、「共産主義」を追従する“従北勢力”との烙印を押され、強制解散の危機に直面している。江南(カンナム)の真っ只中で自由に哲学の饗宴をくり広げる「コミュニズム」と、一瞬にして反国家団体になる状況に置かれた「共産主義」の差異は何だろうか?

 多様な分析が可能だろうが、「コミュニズム」と「共産主義」という言語のイメージ、そして、強者の哲学と弱者の理念に対する私たちの二重的な態度を抜きにしては、考えられないだろう。