NPO法人 三千里鐵道 

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成果なく終わった南北実務会談

2013年07月26日 | 南北関係関連消息

第6回実務会談で応酬する南北の団長(7.25.開城工団)


7月22日に開催された第5回会談でも進展がなかった南北の両当局は、25日に6回目の実務交渉を継続した。しかし、今回も双方の主張は咬み合わないままだった。午後5時過ぎの終結会議を最後に、南北は今後の会議日程すら決めることなく会談を終えた。開城工業団地の操業再開をめぐる南北対話は、事実上の決裂で終わったようだ。

以下に、7月25日付『統一ニュース』の要訳記事を紹介する。これまで知らされなかった北の立場が紹介されており、何らかの参考になると思う。南は当然ながら北の主張に反発しており、南北関係は当分の間、対話なき膠着状態に入るようだ。 JHK
 http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=103446


開城工業団地の南北実務会談、事実上の決裂か?

南北の第6回実務会談が25日、開城工業団地内にある開城工業地区管理委員会事務室で開かれたが、今後の会談日時を決めずに終了した。

南北はこの日の会談でも、操業中断の再発防止方案をめぐる異見を狭めることができなかった。そして、パク・チョルス北側団長が記者会見を自ら要望し、会談は「決裂の危機」と語った。

午後5時20分に行われた終結会議の直後、パク・チョルス北側団長が南側の共同記者団室にきて記者会見をした。彼はまた、その間に開催された実務会談で発表した北側の冒頭発言、合意文草案、修正案、再修正案も公開した。

記者会見で北側団長は、「今日まで6回にわたり会談を進行したが何の合意も成し遂げられず、ついに決裂の危機を迎えることになった。われわれ(北側)は、工業地区の中断事態を早期に解消し、操業再開に向け誠意ある努力をつくした」と述べた。

北側団長はさらに「われわれは6.15共同宣言の産物である工業地区を大切にし、その正常化を望むが決して強要はしない。開城工業地区は南側と組まなくても、私たちがいくらでも運営することができる」と強調した。

そして「会談場の背後から工業地区の中断事態を長期化させ、破綻に追い込んで対決を煽る者たちに警告する。南側との協力事業が破綻することになれば、開城工業地区の軍事境界線地域をわが軍隊が再び占めることになる。西海地域の陸路も永遠に閉ざされることになるだろう」と警告した。

彼はまた、「われわれは決して口先だけの言葉を弄するものではないし、これはいかなる威嚇でもない。このことを南側当局は、肝に銘じなければならないだろう」と話した。

北、開城工団の正常化に向け具体案を提示..パク・チョルス団長「南側が愚弄した」

パク・チョルス団長は記者会見で、今まで六回にわたる会談の内容も公開した。
パク団長は「我が方(北側)は工業地区の問題を一日も早く解決しようとの立場から、誠意ある努力をつくした。しかし会談で南側は一方的な主張に固執し、人為的な難関を作った」と南側に責任を転嫁した。

北側が公開した合意書草案には、△開城工業団地の操業中断が再発しないよう、一切の妨害行為を中断、△工業地区に出入りする人員に対し、身辺の安全保障、投資資産の保護、通行・通信・通関問題を解決する軍事的な保障措置、△国際的な競争力を備えた経済協力地帯の造成、などが含まれている。

また、4回目の実務会談では合意書修正案に、△南北経済協力を協議する事務所の再開、△2007年の南北総理会談で合意した開城工業地区分科委員会の設置、などを提示した。

そして開城工業団地の国際化に向けた案として、開城工団の勤労者賃金・税金・管理運営権なども国際基準に合うように改善して、現行法規と基準を修正・補完すると明示した。

第6回次実務会談の合意書再修正案では、△インターネット、移動電話などの通信保障、△通関手続きの簡素化および時間短縮、などを提示した。このための軍事的な保障措置は、南北軍事実務会談で協議・解決する、と建議した。合わせて、開城工業団地の国際化を目ざすうえで、「第3国への輸出に際した特恵関税の認定」も追加で提示した。

このような北側の具体的な提示とは違い、南側はひたすら「再発防止の保障」だけを要求し「相手方(北側)を愚弄した」というのがパク・チョルス団長の主張だ。

パク・チョルス団長は「南側は開城工業地区を政治的に卑下し、かつ軍事的に威嚇することによって、暫定中断事態に至った根本原因を除去するための原則的な問題の討議には熱意を見せなかった。我が方に一方的な責任と再発防止の保障だけを要求し、その要求が受け入れられない限り、正常化問題を議論できないと主張した」と話した。

彼はまた「南側は、工業地区を正常化した後にでも十分に解決できる、機構および制度的装置の問題に固執し、これらが先に整備されてこそ操業を再開できるという、漠然とした主張だけを繰り返した。会談では時間をずるずると消費するだけで、2回目と4回目の協議には草案文書も作らずに手ぶらで出てきて、会談を空転させた」と主張した。

また、今回の第6回実務会談でも南側は再発防止保障だけを提示し、「極めて挑戦的な修正案を持ち出すことで、対話の相手方(北側)を愚弄した」と繰り返した。そして「南側のこのような姿勢は、工業地区の正常化を妨げ、ひいては工業地区を完全に閉鎖させようとする故意的で計画的な陰謀に過ぎないと確認する」と述べた。

李鳳朝・元統一部次官のコラム

2013年07月22日 | 南北関係関連消息

李鳳朝(イ・ボンジョ)さん


李鳳朝・元統一部次官のコラム

本日(22日)、開城工業団地の操業再開をめぐり南北当局間の実務会談が開催中です。極東大学教授で元統一部次官の李鳳朝(イ・ボンジョ)さんが、この問題に関して『統一ニュース』にコラムを執筆しました。その間の経緯と実務会談の意義を的確に整理した内容なので、要訳して紹介します。李鳳朝さんは6月16日、名古屋で開催された「6.15共同宣言の13周年記念集会」で記念講演をしました。JHK
http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=103385


<コラム> 開城工業団地の実務会談が成功しなければならない理由。 2013年07月22日 李鳳朝

南北対話が難航している。開城工業団地を稼動するための南北実務会談が四回も開かれたが、合意に至らずきょう、五回目の会談を行うことになった。このように相互批難と主導権争いに終始すると、対話への無気力症を誘発して対話そのものの継続を難しくする。

せっかく開かれた南北対話が、遅々と進まない根本的な理由は何だろうか?
南北で互いに求めるものが違うためだ。北は体制維持と安全のためには、どんな形式であっても対話が必要だという立場だ。反面、私たち南は対話を通じて、北に変化をもたらさせようとするためだ。

現状は紆余曲折の末に到達した対話局面と言えるだろう。しかし、昨年末の大統領選挙前に敢行した長距離ロケット発射、パク・クネ大統領就任直前の第3次核実験、それに続く戦争直前状態とも言える対南威嚇など、北による一連の緊張激化措置が今も不信の影を色濃く落としている。このような状況が対話の順調な進行を妨げる要因となっており、“原則”を強調する韓国政府の対北政策を正当化しているのだ。

さらにキム・ジョンウン体制の登場以後、南はもちろん国際社会において、北を対話と交渉の相手と認識するよりも三代世襲体制の不安定性と急変事態への備えが強調され、北との関係進展に懐疑的な立場が広がっている。

キム・ジョンウン体制は先軍政治を基調としつつ党の役割を強調することによって、先代体制の遺産を結合する政策を駆使している。これはキム・イルソンとキム・ジョンイルの政策路線を現実に合うように修正することで、自身の指導体制に対する住民の支持と体制内部の結束力を強化しようとすることだ。

北は去る3月31日、党中央委全員会議を開催して「経済建設と核武力建設の並進路線」を採択した。北はこの路線が経済発展に重点を置いていることを強調しているが、経済発展には外部の支援が必要だ。よって北は非核化と経済発展の相関関係に執着せざるをえない。 これがキム・ジョンウン修正主義路線の核心だ。

北は長距離ロケット発射と核実験を交渉のテコとし、去る5月に人民軍総政治局長のチェ・リョンヘをキム・ジョンウンの特使として中国に派遣した。チェ・リョンヘの中国訪問を契機に、対話モードへと切り替えたのだ。チェ・リョンヘ特使は習近平主席と面談した際に「関連国と協力のうえ、6者会談など多様な対話と交渉を通じて問題を適切に解決することを願っている」という立場を伝達した。

以後、北は後続措置として6月6日に南北当局会談を提案し、それが首席代表の「格問題」で決裂するや、6月16日には朝米会談を提案した。こうした一連の動きは、キム・ジョンイルの生前に企画されていた緻密なシナリオに従ったものと言えるほどで、党、政府、軍の一糸乱れぬ協力の下に推進されている。

パク・クネ政府がスタートして5ヶ月が経過した今、南北関係は突破口を見つけることができずにいる。開城工業団地の閉鎖と南北当局間会談の不発に続き、開城工団正常化のための実務会談も一向に進展を見せていない。もし進行中の実務会談が決裂すれば、南北間の梗塞局面が当分は続くだろう。

イ・ミョンバク政府の対北圧迫政策に続くパク・クネ政府の「原則的な対北政策」は、結果的に歴代政府が南北関係で達成した成果との断絶を深めるだろう。“原則と国際的スタンダード”の美名の下で、妥協と折衝の余地はさらに狭くなっている。このように(南の)一方的な対応は、去る40年にわたる南北対話の歴史において、歴代政府が依拠した立場とは相反するものだ。

今のように南北関係が行き詰まった状況では、戦略的かつ多元的な要素を考慮した折衝的な中間段階を経ずして、会談を成功裏に終えることは困難であろう。南北長官級会談の保留に続き開城工団の実務会談まで挫折すれば、相互不信はより深刻になり、今後の対話再開を更に難しくするだろう。そうなると南北関係は、対外環境の変化に依存せざるを得なくなる。

最近の中国は朝鮮半島問題と関連して、△朝鮮半島の非核化、△朝鮮半島の平和と安定維持、△対話を通した問題解決、といった三原則を堅持している。中国はこの原則に則り、中米、中韓の首脳会談で6者会談の早急な再開を強調した。中国は6者会談の議長国として今後、6者会談の再開に向けた環境作りに外交力を傾注するものと判断される。

同時に中国は、朝鮮半島の平和と安定のためには窮極的に南北および朝米対話が重要だという立場から、関連当事国に対し圧迫と仲裁の役割を遂行すると予想される。南北対話の進展如何にかかわらず、中国のイニシアチブで国際社会に向けた対話努力を継続するだろう。

その一方で、開城工団での実務会談に成果が無ければ、南北関係改善に向けた民族内部の動力は急速に消尽するだろう。開城工団の暫定閉鎖措置と一連の南北対話で誇示した“原則的対応”が国民世論の高い支持を受けていることで、パク・クネ政府は過信に囚われている。

去る5年間のイ・ミョンバク政府による対北圧迫政策と引き続く北の挑発が原因となり、国民の間には南北関係に対する疲労感が増大している。対北政策をめぐる保守・革新間の葛藤が深刻化している現状況で、合理的な代案の提示や議論そのものが不可能となっているのだ。

開城工団の実務会談が決裂し南北対話が長期にわたり開催できないなら、南北対話を先行させる立場が難しくなった北は、これを契機に朝米対話優先の名分を得ようとするだろう。そうなると韓国政府は南北対話に執着することもできないし、朝米対話を遮断する名分を探すことも難しいというジレンマに落ち入るかも知れない。

北と「対話のための対話はしない」というのは間違った言葉ではない。だが、今のように不信が深化した状況では「対話のための対話」になったとしても、対話そのものが持つ意味は少なくない。南北対話なくして、政府の掲げる「朝鮮半島信頼プロセス」を語ることはできないからだ。

北は開城工団実務会談の成否にかかわらず、7月27日の停戦協定締結60周年を控えて大規模な閲兵式開催などの戦勝記念行事とともに、韓米両国に対し平和協定締結に向けた攻勢を積極的に展開するだろう。

このような状況に備えるためにも、私たちは南北対話を継続しなければならない。それでこそ今後、多様な形態と内容の対話で私たちが主導権を行使できるからだ。そして開城工業団地の正常化は、朝鮮半島信頼プロセスと東北アジア平和協力構想の、出発点になるべきであるからだ。

南北、第4回実務会談でも合意に失敗。会談は長期化?

2013年07月18日 | 南北関係関連消息

第4回実務協議を終え、硬い表情で握手する南北の団長


南北当局は15日の第3回会談に続き、開城工業団地の正常化に向けた第4回実務会談を17日に開いたが、依然として立場の差を狭められず合意に至らなかった。南北は来る22日に、第5回目の実務会談を開催する予定である。

南側のキム・キウン首席代表は17日、会談後のブリーフィングで「前回の会談で交換した合意文草案をもとにして、双方が率直な意見交換を行なって協議を進めた。われわれは再発防止を実質的に保障してこそ開城工団を発展的に正常化させることができると説得し、実質的な再発防止案が合意書に含まれるべきだと強調した。一方、北側は公団の操業再開を優先する既存の立場をくり返すだけだった」と説明した。

会談後の報道を見ると南北双方は相手側を非難することに終始し、具体的な提案内容を公開していない。南側のキム首席代表も「再発防止保障措置に関して北側が進展した立場を見せなかった」と強調するだけで、「北側の提案内容を具体的に申し上げることはできない」と述べている。

一方、会談に参加した北側の関係者たちは「開城工業団地の発展を願うのは、南も北も同じではないか。同じ民族が肩を組み助け合って協力しようと作った場所なのに...」と述べ、「互いに相手の事情や立場を考慮すれば、適当な線で妥協することも可能なはずだ」と、一向に進展しない会談の行方に遺憾を表明した。

開城工団の入居企業も速やかな南北合意に期待を込めている。各入居企業は12日から始まった資材および完成製品の搬出を、五日目に当たるこの日も続けた。ある入居企業の代表は「私たちは公団の操業再開を想定して準備している」と熱く語った。一部の企業からは、「資材の搬出作業に際し北側の人員が参加し助けてくれた」との報告もあった。

開城工団の操業再開に向けた実務会談は、長期化の様相を見せている。今回の実務会談は、今後の南北関係を左右する重要な会談と言えるだろう。しかし、互いの原則的な立場を固執すれば会談は長期化するだけであり、会談の長期化に伴ってその動力も低下せざるを得ない。

双方は第一回目の会談で「開城工団の発展的な正常化」という認識を共有した。「発展的に正常化」する意志が強固で明確なら、その方法は、どのようにしてでも探せるだろう。南北は非生産的で消耗的な論争に、これ以上の時間を浪費すべきではない。

参考までに、7月18日付『聯合ニュース』の日本語版記事を紹介する。実務会談に関する『朝鮮中央通信』の記事を要約したものだ。韓国の主要メディアが北の報道をどのように紹介しているのか、参考にしていただきたい。 JHK



北朝鮮、南北当局者協議の報道で韓国を非難 

【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の『朝鮮中央通信』は18日、開城工業団地の正常化を話し合う4回目の南北当局者協議で、韓国が誠意のない態度を示したと非難した。 同通信は前日に協議が行われたことを報じ、「南(韓国)側は工業地区問題に対する責任と一方的な再発防止担保だけを前面に押し出しながら、問題解決に人為的な難関を作り出す、誠意のない態度を取った」と主張した。

 さらに、韓国は工業団地を正常化しようと言いながらも合意書草案すら準備せず、「協議を行っているとのパフォーマンスだけを披露しようとしている」と指摘した。
 
 北朝鮮は協議で、工業団地の早期正常化と発展に向け、▼「(操業)中断事態」の再発防止、▼工業団地の安定的な運営と円満な企業活動を保障する機関・制度的な仕組みづくり、▼身辺の安全・投資財産の保護、▼通行・通信・通関、▼工業団地の国際的発展、などに関する実践的な提案をしたという。

 中央通信は「北(北朝鮮)側の誠意ある努力にもかかわらず、南側の不当な主張と不誠実な態度により、協議は結実なく終わった」と評した。5回目の実務協議が22日に開催されることも明らかにした。 こうした韓国非難は、4回目の協議で双方の溝が深かったことを示すものと受け止められる。

 一連の実務協議に対する北朝鮮の報道をみると、2回目の協議時には韓国に誠意がなかったと非難し、3回目は論評せず簡略に伝えている。

三千里コラム-負けるが勝ち

2013年07月12日 | 南北関係関連消息

開城工団での第二次実務会談を終えた南北の首席代表



 7月10日に開城工団の施設内で開かれた南北実務会談は、操業再開をめぐる対立が解決できずに終了しました。
 南は「北が労働者を一方的に撤収させ操業を中断させたのだから、その責任を負うべきだ。再発防止の保障がなければ操業再開はできない」という立場です。
 一方の北は「南の大統領自ら我々の体制と最高指導者を冒とくし、米韓合同軍事演習を強化して意図的な緊張を煽った。そのことが操業中断の原因だ」と主張しています。
 
 相手に非があるとの相互批難に終始していては、南北関係の改善は遥遠であり、開城工団の操業再開すら困難でしょう。開城工団を生活の場としてきた南の企業と北の労働者は、どのような心情で南北の実務交渉を見守っているでしょうか。彼ら、彼女たちのもらす、深い溜息が聞こえてきそうです。

 北は10日付で「金剛山観光再開のための南北実務会談を17日に、離散家族再会のための南北赤十字実務接触を19日に」開くよう提案しました。これに対し南は、金剛山観光再開への実務会談は拒否し、人道的な離散家族問題を中心に赤十字交渉を行おうと修正提案しました。当然ながら北はそれに応じず、11日の夕刻、前日に提案した実務交渉をすべて保留すると表明しました。

 北の提案で、主眼は金剛山観光の再開にあることは言うまでもありません。ただ、南の関心事項である離散家族の再会問題も同時に論じることで、交渉の実現を図ったわけです。一方の南は、北に実利を与える工団操業や観光事業の再開はできるだけ先延ばしにしたいのでしょう。

 南の対応は“一ドルの外貨もタダでは提供しない”と言わんばかりです。謝罪をさせ、物乞いをさせて屈服を強いるような姿勢は、南北の和解・協力を謳った6.15共同宣言の精神とは、あまりにもかけ離れたものです。

 北も、開城工団の操業再開に向け英断を下すべきです。南の企業と市民が、安心して工団操業と観光事業の再開を受け入れられるよう、当局の責任ある保障表明は不可欠です。かつて、金正日総書記は小泉総理に拉致問題の再発防止を確約しました。その事例を想起してほしいものです。

 長期にわたる分断状況で「勝敗」を論じることは好ましくありませんが、南北が互いに「負けるが勝ち」の精神を持って交渉に臨むことも大切です。別の言葉では「易地思之」です。時には相手の立場で考えてみることが必要です。相手の欲する物を与えることなく、己が望むものを得ることはできません。合意とは、妥協の産物だからです。 JHK。

参考までに、7月10日付の『統一ニュース』に掲載された記事を紹介します。
(http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=103248)


開城工業団地での南北実務会談、合意に至らず15日に続開

7月10日、南北当局は第2次実務会談を行なったが、開城工業団地の操業再開条件をめぐる意見相違を解消できず、次の会談(15日)に議論を持ち越した。

10日午後、ソ・ホ南側首席代表は開城工業団地内の総合支援センターで、会談の結果をブリーフィングした。

この日の会談で南北は、開城工業団地の“発展的正常化”に関しては認識を共にしたが、操業再開の条件をめぐる対立から、相互の差異を確認しただけで終わった。

南側首席代表は「開城工業団地の発展的正常化に関する構想を北側に詳しく説明した。開城工業団地を国際的な水準の公団に発展させる意思を再度、明確に説明した。そのためには、北の一方的な措置で操業が中断される事態が再発してはならないという点を、くり返し強調した」と述べた。

さらに彼は「操業再開と関連し、今回の一方的な操業中断措置に対して責任ある立場表明がなければならない。再発防止に対する明確な約束と措置があってこそ、開城工業団地に関する内外の憂慮を払拭させることができる」と強調した。

つまり、南側は開城工業団地の操業再開条件として、△操業中断に関する立場表明、△再発防止への保障、という原則を固守したというわけだ。だが、立場表明と再発防止保障に対する具体的な提案に関しては報告されていない。

一方、北側は南側が再発防止の保障を持ち出したことに対して、最高指導者への非難を糾弾するなど、根本問題を提起した。南側の政府と言論による最高指導者への冒とくが、開城工業団地の操業中断を引き起こしたとの主張である。

北側は「6.15共同宣言の精神に則って開城工業団地を発展させるべきだ。開城工団の正常操業を妨げる一切の行為をしてはならない」とし、南側マスコミの報道と米韓合同軍事演習などを問題視した。

そして「開城工業団地の入居企業が設備の点検と整備を速やかに終え、操業を再開すべきである」と表明し、操業再開の優先を強調した。

北側が最高指導者への冒とく問題を取り上げたことに対して、ソ・ホ南側首席代表は「南にも体制の最高尊厳がある」と反論したことに言及した。北側の朴槿恵大統領に対する実名批判を迂回的に取り上げ、対抗したと見られる。

だが、南側が提起した開城工業団地の国際化問題に関しては、北側から特別な反論はなかったようだ。

ソ・ホ南側首席代表によれば、北側は開城工業団地を国際化してはならないとの立場を表明しなかったし、北側の『開城工業地区法』にも国際化が明示されているので、問題にならないと認識している。

『開城工業地区法』第3条には、「工業地区には南側および海外同胞、他国の法人・個人・経済組織が投資できる」と明示されている。

今回の第2次実務会談で、南北間には開城工業団地の正常化条件をめぐり原則的な立場の相違が明らかになった。来る15日に開かれる第3次実務会談も、難航が続くものと予想される。

一方、開城工業団地の施設点検のため、入居企業は予定通り、11日に開城工団に向け出発する計画だ。今回の開城訪問には、繊維・営業企業など76人と開城工業地区管理委員会の関係者など50人、計126人と車両93台が出発する。

南北、開城工業団地の通行を10日に再開することで合意

2013年07月07日 | 南北関係関連消息

南北両政府、開城公団の実務協議で合意書を交わす



開城(ケソン)工業団地に関する当局間の実務会談は延々16時間に及んだ。南北はマラソン協議を終え、来る10日から開城工業団地の設備点検および整備を進めることで合意した。 この日の合意によって、3ヶ月ぶりに開城工業団地は操業再開に向けた糸口を見出すことになった。

 6日午前11時50分から始まった会議は、7日午前4時まで続いた。まとめの会議で双方は「開城工業団地に関する南北実務会談の合意書」を発表し、「入居している企業の困難を解消して、開城工業団地を発展的に正常化していくとの認識を共有する」と明らかにした。

 合意書の主要事項は、△ 7月10日から南側企業の関係者たちが設備点検および整備のために開城工業団地を訪問、△南側企業による完成製品および資材の搬出、△開城工業団地を出入りする人員と車両の通行・通信の保障、および南側人員の安全保障、△操業中断の再発防止など開城工業団地の運営正常化に関する協議を7月10日に続行する、などだ。

 これに伴い、10日に開城工業団地での開催が予定されている後続会談で、南北双方がどれくらい立場を接近させられるか注目される。開城公団の正常化に向け南側が再発防止の約束を要求するのに対し、北側も自国労働者の賃金問題や税金問題を要求してくるだろう。そうなると、“発展的正常化”をめぐる状況は複雑な様相を帯びることになる。

開城工業団地の操業再開が至急だった理由は?

 南側は今回の会談で、北側の一方的な措置が発端となった操業中断事態が再び起きてはいけないとし、「再発防止」に焦点を合わせた。だが、北側からは南側の要求する再発防止約束に対して、特別な言及がなかった。

 実務会談直後に行われた記者会見で南側のソ・ホ首席団長は、開城工団の“発展的正常化”に関しては「十分に論議できなかった。今後も協議を続ける」と答え、南北間に少なからぬ異見があることを示唆した。

 今回の実務会談で南北は、“発展的正常化”をはじめ南側人員の安全問題など、いくつかの点で衝突する様相を見せた。しかし、双方はともに開城工業団地の操業再開に向けた意志は持っていたようだ。ソ・ホ団長は「北側が韓国企業の状況を正確に把握していた。開城工団の正常化に向け、積極的な努力を注いでいるとの印象を受けた」と述べている。

 南北双方が開城工団の操業再開に意欲を見せる理由としては、梅雨期の到来という気候条件が影響しているとの分析が有力だ。梅雨期への備えができずに南の企業は引きあげたので、このまま放置状態が続けば工場の機械が使用不能に陥る恐れがある。そうなると各企業は開城公団から全面撤収するしかなく、南北の両当局が公団閉鎖に対する責任を負うことになるからだ。

 一方、会談の結果を誰より気をもんで見守った入居企業は、南北双方が操業再開に向けた設備点検と整備のための訪問などで合意したことに歓迎の意を表明した。各企業は「良い結果が出てうれしい。工場の操業再開に向けた準備に着手する」と明らかにした。

*以上の記事は7月7日付『プレシアン』(http://www.pressian.com/article/article.asp?article_num=10130707082834§ion=05)を要約しました(JHK)。 

開城工業団地の運営に関し、南北当局が実務会談の開催に合意

2013年07月05日 | 南北関係関連消息

実務会談の開催場所、板門店北側地域の「統一閣」



開城(ケソン)工業団地の稼働が暫定的に中断されてから、3ヶ月が経過しました。開城公団では南の企業123社が工場を運営し、北の労働者53000人が生産に携わって来ました。
 開城工団の稼働は第一回南北首脳会談の成果であり、「6.15共同宣言」に謳われた南北の和解・協力という時代精神を反映したものです。

 言うまでもなく、開城工団の稼働中断は朝鮮民族にとって大きな損失です。その責任をどちらか一方に転嫁するなら、事態は一歩も前に進めないでしょう。南北の両当局は誠意を持って実務会談を成功させ、開城工団の再開と南北関係の改善に向けた義務と責任を果たしてほしいものです。

 41年前、南北の両当局は「7.4南北共同声明」を発表しました。共同声明の第一項は、祖国統一の原則を次の三点で要約しています。①統一は外国勢力に依存したり干渉を受けることなく自主的に解決すべきである、②統一は武力行使によらず平和的方法で実現すべきである、③思想と理念、制度の差違を超越して民族的な大同団結をはかるべきである。

 この原則に依拠するなら、少々の紆余曲折があっても、南北対話が決裂することはないはずです。6日に予定されている実務交渉を見守りましょう。
 以下の記事は7月4日付『統一ニュース』を要約したものです。
 http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=103168


開城工業団地に関する南北当局の実務会談、6日午前に統一閣で開催
 
 開城工業団地の運営をめぐる南北当局の実務会談が、6日午前10時、板門店北側地域の「統一閣」で開かれる。

 4日午後8時25分頃、北側は板門店の連絡官を通じて、開城工業団地に関連する南北当局間の実務会談開催に合意した。

 これに伴い、南はソ・ホ「統一部南北協力地区支援団長」を首席代表とする3人、北からは、パク・チョルス「中央特区開発指導総局副総局長」を首席代表とする3人が派遣される。

 議題に関しては、政府が当初に提示した△開城工業団地の施設および装備の点検、△完成した製品および原料・資材の搬出、△開城工業団地の発展的正常化、などが議論される予定だ。

 また、北側は実務会談と同時に、開城工業団地に入居した企業関係者の開城訪問を許可すると提案していたが、韓国政府は拒否の立場を明らかにした。しかし、北側はこれといった反論を展開しなかった。北側が譲歩したと言えるだろう。

 一方、南北当局は会談場所に関して異見の違いを見せていた。

 北側はこの日午後5時、板門店での連絡官接触を通じて韓国政府の実務会談提案に対し、会談場所を開城工業団地内の総合支援センターとする修正案を提示した。

そして、総合支援センターがこの3ヶ月間使用されていなかった点を考慮し、南側の人員が5日に訪問して必要な準備をするよう要請した。

 だが、韓国政府はこの日午後7時15分頃の返信で、北側に提案していた板門店の「統一閣」または「平和の家」を、会談場所として固守した。

民主、(南北頂上会談)'対話録提出要求案'党論で賛成することに

2013年07月02日 | 南北関係関連消息
議員総会に入場するキム・ハンギル代表
キム・ハンギル民主党代表が2日国会予算決算委会議場で開かれた議員総会に入場している。
2013.7.2  scoop@yna.co.kr http://blog.yonhapnews.co.kr/f6464


 2007年10月の南北首脳会談の時に、盧武鉉大統領がNLL(北方限界線)を放棄すると約束したという攻撃が今も続いている。
 昨年の大統領選挙の時に、国家情報院が野党候補を不利にするためにした言論プレーが発端となったものだが、その内容を全面的に公開しようというものだ。
 本来であるならば、南北の最高機密にあたるものであり、このような形で公開することが望ましいものではないということは重々承知しつつも、国家情報院による言論プレーの違法性を満天下に明らかにするためには致し方ないというところか。

maneappa



http://www.yonhapnews.co.kr/bulletin/2013/07/02/0200000000AKR20130702156000001.HTML?from=search


民主、'対話録提出要求案'党論で賛成することに



(ソウル=聯合ニュース)ペ・ジェマン記者=



文在寅"閲覧までが私の立場だったが党論従う"

(ソウル=聯合ニュース)ソン・スギョン、イ・クァンビン記者=

民主党は2日、国家記録院にある2007年南北首脳会談対話録原文と録音ファイルなど関連資料一切の閲覧・公開を要求する内容の'国家記録院保管資料提出要求案'に対する国会本会議表決と関連、党論で賛成することにした。

民主党はこの日、本会議に先立ち開かれた議員総会で要求案表決に対して'拘束的党論(強制党論)'方針を決めたと参席者が伝えた。

議員総会ではキム・ヨンファン、シム・ジェグォン議員など一部議員が対話録閲覧・公開に対する反対の立場を表わしたし、キム・ドンチョル議員も指導部の決定に遺憾の意を伝えたと分かった。

これに対しチョン・ビョンホン院内代表は"国民50%以上が故盧武鉉前大統領の発言に対して'西海NLL(北方境界線)放棄発言'でないと言うが、依然としてセヌリ党と保守陣営では、放棄するといったというような攻撃が続いていて、論議終息のためには公開が避けられない"とし、党論で賛成票を投じることを提案した。

キム・ハンギル代表も"今は半歩譲歩して総意を集めて秩序正しい姿を見せる時"と強調したと伝えられた。

これに伴い、賛成党論採択は特別な異議申し出なく'全員一致'でなされたと分かった。

党関係者は"金代表が仕上げの発言で賛成党論採択に反対があるかと尋ねたが反対意見がなかった"と伝えた。

文在寅議員はこの日議員総会には参加しなかったが、本会議出席前に記者たちと会って"閲覧までが私の意見であったが、党論に決まったので従わなければなりません"と話した。

hanksong@yna.co.kr



参考記事
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/15094.html

国家情報院 国政調査、今日から45日間

登録 : 2013.07.01 22:12修正 : 2013.07.02 06:57


 セヌリ党と民主党が‘国家情報院コメント疑惑事件などの真相究明のための国政調査’を2日から来月15日までの45日間実施することに合意した。 2日国会本会議で国政調査期間・対象・方法などが盛り込まれた国政調査計画書が通過すれば10日まで委員別に国政調査準備期間を経て本格活動に入る。

 国政調査特別委のクォン・ソンドン セヌリ党幹事とチョン・チョンレ民主党幹事は1日計画書通過に合意したが、今後特別委活動が始まれば本格的に議論される特別委の構成、公開可否、調査対象、証人採択問題などについては両者の見解の違いが大きく難航が予想される。 セヌリ党側では民主党側特別委委員中キム・ヒョン、チン・ソンミ議員が国家情報院女子職員に対する人権侵害疑惑と関連した被告発人であるため除斥理由に該当するとし特別委から除外することを民主党に要求した。 民主党は特別委委員交替権限は議長にあるとし議論対象でないと対抗し、反対に対話録流出論難の張本人であるチョン・ムノン議員の交替をセヌリ党に要求している。

 両党幹事は論議の末に与・野院内代表に特別委構成案を再建議し、10日までに結論を出すことで同意した。 また別の争点だった国政調査公開については国政調査および監査に関する法律により公開を原則とするものの、国家情報院職員出席など個別的状況の場合には委員会の議決で決めることにしたが、これもまた原則的な合意であり葛藤の火種は相変わらず残っている。

 最も尖鋭に正面対立すると見られる調査範囲と証人採択については、特別委構成後に本格議論される予定だ。 現在の調査範囲としては△ウォン・セフン前国家情報院長の不法指示疑惑・国家情報院女子職員などのコメント関連など選挙介入疑惑一切△キム・ヨンパン前ソウル地方警察庁長官の職権乱用疑惑およびクォン・ウンヒ前水西(スソ)警察署捜査課長のキーワード拡大など捜査関連疑惑△前・現職国家情報院職員の大統領選挙介入疑惑と秘密漏洩疑惑一切△国家情報院女子職員に対する人権侵害疑惑△その他必要な事項などについて合意している状態だ。 民主党はここに‘2007年南北首脳会談対話録関連疑惑一切’を その他必要な事項などの範疇に入れなければならないと主張しているが、セヌリ党は別個事案と見て反対している。

 証人の場合、民主党はナム・ジェジュン国家情報院長、ウォン・セフン前国家情報院長、キム・ヨンパン前ソウル警察庁長官、キム・某氏など国家情報院前・現職員、クァク・サンド大統領府民政首席、クォン・ウンヒ前水西警察署捜査課長などを基本としており、ここに対話録公開および事前入手と関連してクォン・ヨンセ駐中大使、キム・ムソン セヌリ党議員などを含ませなければならないという立場だ。 セヌリ党は民主党に内部機密を情報提供した前・現国家情報院職員とけしかけた疑惑があるキム・ブギョム前民主党議員、女子職員人権侵害疑惑に関連した民主党議員および関係者を全員証人として呼び出すべきで、対話録問題が国政調査に入るならば文在寅(ムン・ジェイン)議員も証人に入れることを主張している。


 与野党両党幹事は来る10日に会って調査範囲と証人採択などを協議する予定だ。

ハ・オヨン、ソンチェ・ギョンファ記者 haha@hani.co.kr



韓国語原文入力:2013/07/01 21:28
http://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/593957.html 訳J.S(1660字)