今土焼とは、現在の台東区今戸の地で焼かれていた日用品の土器類・土人形類の
ことで、かつては江戸を代表する焼き物として繁栄していました。地元の今戸神社
にある狛犬台座には宝暦2年(1752)に奉納した42名の陶工らの名が刻まれ
ており、数多く軒をならべていたことが伺えます。
近年の江戸遺跡の調査によって、土人形や瓦が多く出土し、その中には今戸焼職
人の名が刻印された土器・土人形、今戸の地名を印した瓦も見られ、隅田川沿岸の
窯業との関連が注目されています。関東大震災や東京大空襲により、職人が次々に
区外へ移ってしまいました。
現在、今戸には一軒のみが残り、伝統を伝える「口入れ狐」や「招き猫」などの
人形が製作されています。(平成13年3月・台東区教育委員会)