迷宮映画館

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サードパーソン

2014年09月15日 | さ行 外国映画
ピューリッツァ賞受賞経験のある作家のマイケル。新作を執筆中だが、筆が進まない。そりゃ、すごい作品を一作は生み出したが、その後は泣かず飛ばず。最近では編集者からも愛想を尽かされてきて、切羽詰まっている。焦っても傑作は生まれない。パリのホテルに立てこもり、なんとか書いているが、そこにやってきたのは、一人の女性。作家志望のアンナ。大人な不倫の関係で、なかなかスリリングな二人が見える。

ローマでは、偽ブランドでいかがわしい仕事をしていたスコットが、バーで出会ったロマの女性に一目ぼれ。あとあと、惚れさせたのは計算ずく。誘惑して、金持ちそうに見えたスコットから、お金を巻き上げようとしていたことがわかるのだけど、スコットはのめりこんでしまう。娘を救うため!というロマの女性のために、なけなしの金を出す。

NYで、子供の親権を巡って、夫と係争中のジュリア。子供を危険な目にあわせたことで、夫のもとにいる息子に会わせてもらえない。弁護士の助言で、精神科の診察を受け、少しでも優位にしようとするのだが、何をやってもうまくいかない。

それぞれが過去に自分なりの罪を背負い、それを抱えながら、なんとか進む道はないものだろうかと探っているかのよう。正しい道などわからないし、その道が間違っているかもしれないが、とにかく何かしなくてはならないし、生きてる限りそれは人がやらねばならないこと。

場所もばらばら、物語の繋がっているような、関係ないような、どこをどうつなげるんだろうか・・としばらく見ていても、なかなかつながらない。うまく道筋が見えそうで、やはり見つからない。

しかし僅かに光明が見えてくる。それはそれぞれが、自分の過去と立ち向かおうとしたとき。息子を失ったもの、娘を失ったもの、過去のトラウマ、息子を危険な目にあわせたもの。。。逃げていたわけではないが、自分の行いから目をそむけ、きちんと向き合わないままでは、前には進めない。

・・・・という感じでしょうか。ハギス作品なんで、いろんなものが重層的に絡み合ってるというのはわかってはいたのですが、いろいろとネタばれになるんで、詳しく書くのはやめます。簡単に言ってしまえば、現実世界はマイケルのパリの世界だけ。ほかの二つの世界は、マイケルの過去の罪によって生み出された虚構の世界であり、それこそがマイケルが逃げようとしていた過去。

パリとNYのホテルのはずだったのに、なんで繋がるの?という疑問も、虚構の世界だったらあり!なわけで、ずるく言ってしまえば、なんでもあり!!です。はなっから、ローマとNYはマイケルが生み出した世界なんですよ~と言ってもらった方が、理解は深まるのですが、それじゃ彼流のどっかでなんかが繋がってるんですよ~にならないし、まあ、見終わった後、そういうことだったのね・・・と、なんとなく煙に巻かれて気分になるのもいいのでは。

これの前に「複製された男」をみて、あっちも、片一方は虚構の世界ですよ~ということだったようで、なんか似た感じのを続けざまにみてしまいました。最近、こういった形の作品をみてなかったんで、若干懐かしさを感じました。前はよくあったのですが、そういや最近なかったかも。

で結論、虚々実々とり混ざった物語ってのは、ただでさえ複雑で、わかりにくくしているのですから、どっかでするっと納得いくようにするとか、膝を打つシーンがあるとか、自分の中でのもやもやを晴らしていただかないと、トイレで半端にしてきたよう(失礼!)。「サードパーソン」は、それなりにスッキリできましたが、「複製・・」の方は、どうにもキレが悪い。いつまでも便秘が治らないような気分です。

エイドリアン・ブロディがなかなかの存在感。結構好きなんですよ、あたくし。ついつい女性によろめいて、だまされてるのかも・・と思いつつ、男気あふれる姿が、ずきっとキマした。フランコ君は、なんか最近、これ!って役が無いような気がします。だれかいい役与えてくれええ。

◎◎◎○

監督 ポール・ハギス
出演 リーアム・ニーソン オリビア・ワイルド エイドリアン・ブロディ モラン・アティアス ミラ・クニス ジェームズ・フランコ


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2 コメント

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私も好きなんですー (rose_chocolat)
2014-10-01 16:31:39
>エイドリアン・ブロディ
はいはい。好きです。
カッコいい、というか、正統派のイケメンじゃないところが好きですw

複製・・ よりもこっちの方が好きかも。
こちらの最後の、オリヴィアがリーアムさんに投げかける哀しそうな目線なんてすばらしかったです。
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>rose_chocolatさま (sakurai)
2014-10-06 13:42:18
あ!うれしい。
同士がいた。
なんつか、あの情けない眉のさがりっぷり!他に並べる人はいません。

複製は、わけわかんなくしちゃいい・・ってもんじゃないだろって思ってしまった。
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