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「ミツバチの羽音と地球の回転」鎌中ひとみ監督、ありがとう!

2011年08月25日 | ドキュメンタリー映画
3月の震災以来、どうにも落ちつかない、どこかもやっとした、漠とした不安を抱えて生きている毎日です。
とんでもない映像を目の当たりにして、頭を抱え、あまりにも無力な自分を情けなく思い、ごく普通の何気ない日常が、何とありがたかったのか。。。ということを痛感してました。

いろんな噂も飛び交ってました。原発がやられ、放射能が渦巻いてるぞお!とか、いや、大丈夫だ!いや、メルトダウンを起こしている・・・。半年近くたって、私たちが知りえたことは、ただ受け止めているだけでは真実はわからない。自分からアクションを起こさなければいけない。ひたすら受身で、与えられた情報だけを真実と思ってはいけないんだ!ということだと思います。

さて、そんな状況の中、義憤を感じた方々からのお誘いがあり、以前より被曝被害の状況を克明に追ったり、原発から出される使用済み核燃料の再処理を行う工場が建てられた青森県の六ヶ所村の状況を追ったりという、映像作家・鎌仲ひとみさんの「ミツバチの羽音と地球の回転」という映画の上映を手伝ってくれないか、と声をかけていただきました。

自分が目指しているのは、冷静さ。出来ればどんなときでもあわてない。とんでもないアクシデントに出くわしたとしても、できればそれをさらっとやり過ごす。それもさりげなく。。ここは言ってはいけないとこかなあ。ま、いいや。

泣き虫で弱虫で根性なしの自分でしたが、自分がそうなろうと!と思っていると、ちょっとは近づけたかなあ~と思っているのですが、いつの間にかあんまりビビらない人間になってきたかも・・・と思えるようになってきました。でも、それと同時にやばいと思ったのは、怒らなくなってしまったこと。世の中、怒らなければならないことには、頭から湯気出してぽっぽと怒るべき。

上述の状況に対して、私はもっと怒らなければならないのです。怒るために混ぜてもらったというと、語弊がありますが、自分に対する刺激が必要だったのかもしれません。

そんなこんなで、映画の上映の準備をして、さまざまな刺激をちくちくと己に受け、絶対にこのままではいけない。現状をしっかりと把握し、自分たちが出来ることをしなければならない。そんな思いに至りました。

映画はDVDで見てしまったもんで、UPしておりませんが、原発なんか要らないのに、なんで自分のとこの近くに建てるんですか?という素朴な疑問から始まるわけで。ここは、山口県祝島という小さな小さな島。建てれば暮らしが良くなりますよ。。。といわれても、今の暮らしで十分。というより今の暮らしが出来なくなる!なのに建てたい人がいると。

こつこつと反対運動を続けてきたおじいちゃん、おばあちゃんたちの日々を追います。どうしてそんなに原発に頼ろうとするのか。原発に依存しなくても、人間知恵を使えば、いくらでも安全で、確かなものを生み出せるはずなのに、なぜにそうならないか?そこに見え隠れするものは何か???ということを考えさせてくれます。



映画上映の後、監督のお話がありましたが、午前午後ともほぼ満員。監督の話を聞きたい!という気持ちがあふれておりました。さて監督のお話。マイク係りをしていたもんで、メモを取れなかったのが残念。うろ覚えながら、かいつまんで。

まずはなぜにこういう映画を撮ろうと思ったのかというきっかけになった「HIBAKUSHA」の話から。
純粋に疑問に思ったからには、その場に行かなくては!と思って、バグダッドに行き、その辺に転がっている劣化ウラン弾を目の当たりにする。ガイガーカウンターを当てると3.8マイクロシーベルト。もっともっと調べようと思ったところに始まったのが、多国籍軍による総攻撃。命からがら帰ることが出来た・・ということ。

このときも大量の劣化ウラン弾が打ち込まれ、その放射能はヨーロッパまで拡散したとのこと。監督御自信もかなりの放射能を浴びたことになり、体の変調をきたしてきたと。でも、今日本ではもっともっと高い数値が各所で測定され、そこに住まわざるを得ない人々がどれだけいるのか。

今直接に放射能によってどれだけの影響が出るのかはわからない。でも出るのは確実。確実にそのことを知らしめるために、鎌田實先生がやっているのが、被曝量を測定するシールを貼ること。一枚一万いくらかのシールを貼って、値を調べる。それがきちんと裏づけとなって、この値を自分は受けました!という記録になると。

個人的に福島の子供たちをサマーキャンプに招待したり、イベントを開いて遠くに行ってもらったりと、いろんなことを私費で行っている人がたくさんいるのに、政治家さんや、電力会社の人は、一体何をやってるんでしょうね?というものすごく素朴な疑問を感じます。

この映画が出来たのは去年。でも、一切マスコミでは映画のことや監督のことを取り上げてくれない。唯一監督のお話を聞こうとしてくれたキャスターと番組は、すぐさまどこからか圧力がかかる。まともなことをしようとすると、目に見えない圧力がかかるって、ここは本当にまともな国なんでしょうか。

ここに原発建ってたら、絶対にどう見ても危ない!というところに建っている原発。それをおかしいと思わせないようにしてきた悪のショッカー軍団ってのが、この日本のものすごく高みにいて、私たちを見下ろしている。そんな世界に私たちは生きている・・・ということです。

じゃあ、なんでこんな世の中になってしまったのか。それは私たちが声も上げずに、おとなしく、上からのお達しを素直に受け止めてきたから。おかしいことにおかしいと声を上げてこなかったから。

声を上げましょう!ミツバチみたいに、ぶんぶんとうなって、一人一人がおかしいと思ったこと、疑問に思ったこと、これは変でしょう!と思ったことを口にすべき!!!そうすれば、きっと大きな大きな力になるはず。そういう力を私たちは持っている!ということです。

そんな感じでお話なされ、観客からの質問にも丁寧にお答えくださり、とってもとっても有意義な時間を過ごすことが出来ました。やはり痛切に感じたのは、「知は力なり」と、「ちりも積もれば山となる!」ですかね。

とにかく、ちょっと前まではどんなマスコミもスルーしてきた監督と映画に対して、今は結構なアクションがあって、映像を使わせて欲しいとか、言われるそうです。それはそれでいいことですが、掌返しの極意!まったくもうの日本ですよね。監督はさらっと、「ご自分で取材なさったら~」といわれるそうですが、もっともです。


一人一人にパンフに丁寧にサインを書いてくださる優しさ!もう、監督大変なんだから、そこまでしなくても!というくらいの丁寧さでした。本当にありがとうございます。昨日は石川、今日は山形、明日は大阪、次は神奈川・・・・と、超超超多忙な日々。
とにかく体に気をつけて、これからもがつんとくる映画を撮ってもらいたい!そう思った一日でした。監督、ありがとう。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
複雑です (武子丸)
2011-08-26 21:59:10
先生、ご無沙汰しております。こういう映画は(すみません、内容は未見です)息子の仕事の関係上、とっても複雑です
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Unknown (KLY)
2011-08-27 00:56:46
選べる自由がないことに愕然とした作品でした。勿論そのままスウェーデンのようには移行できないのは明白です。ぶっちゃけ、今の日本の都会の生活に比べたらあちらの生活はとんでもなく不便ですから。一概には言えないけれど、せめて選ぶ自由ぐらい欲しい。
sakuraiさんには申し訳ないんですが、私は正直この監督のツイッターでの発言に腹を立てていまして、それ以来支持できません。放射能があろうが、その日を生活するのに精一杯な人は大勢います、そんな方々も一緒くたにして「気にしないで生活していられるなんて信じられない」とのたまった彼女に失望しています。
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>武子丸さま (sakurai)
2011-08-28 15:47:33
ですねえ。気持ちはよくわかります。
でも、一方的に反対を訴えているのではなく、いろんな立場やシステムのおかしさ。
こういう選択肢もあるんだよう!というわかりやすい訴えなので、いろんなものを別にして、見ていただきたいです。
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>KLYさま (sakurai)
2011-08-28 15:52:31
もともと監督のテーマはスウェーデンの様子がメインで、後付けで日本のどこがいいかなと探したのだそうです。
まあえらい方々が、こんな便利なところで暮らしているんだから、危険なものがあるのは当たり前だ・・・みたいなことを言ってらしましたが、そりゃないだろと。
田舎くりゃ、十二分に不便ですけどね。
現実に放射能で苦しんでいる人が続々出てます。その中で暮らさざるを得ない人たちのことも語ってました。
もう私たちはそれを抱えてしまっている。その中で生きてるんだと。
それなのに、これ以上不安の種を増やす道は選択したくないですわ。
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