迷宮映画館

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キス★キス★バン★バン

2003年06月02日 | か行 外国映画
いかにもの殺し屋フィリックス。25年の稼業に見切りをつけて、引退しようとしていた。組織に別れを告げ、ちゃんと後継者も置いていった。しかし、組織の二代目、きれるボスはそれを許さない。「今まで、引退した奴はいない。終生、殺し屋は殺し屋だ。」それは単に、今まで行きぬいた奴がいなかっただけ。

収入が途絶えてしまったフィリックスは、密輸業者の親分に仕事を頼まれる。ちょっと子供の面倒を見ててくれという。まあ、いっかと引き受けたところ、これがとんでもない。33歳の今の今まで、一度も外に出たことがないババ。おもちゃとキリンのぬいぐるみがないと夜も寝れない33歳。

いままで、人間らしい生活を切り捨ててきたフィリックスは、いやいやババの面倒をみていくうちに、心の中に灯がともったようになっていく。物理的に閉じこもっていたババは実は自分の投影なのか。勇気をもって一歩踏み出した世界は、フィリックスのおおいな一歩と同じだ。やっと、世界が見え初めた頃、殺し屋どもが自分の命を狙っている・・。

ちょっとノスタルジックなロンドン。こんな殺し屋、ホントにいるのかよと思わせるが、なんとなく納得させられる。荒唐無稽な話ながら、なぜか、心に迫ってくる。まず、絵がいい。それぞれの部屋のシチュエーションがうまい。殺し屋の潜む地下のボイラー室の騒然さ。33歳、ババの部屋の楽しさ。彼らが潜む真っ青な壁の部屋。それらの部屋がとっても印象的だ。

かつてはかっこよかった(若いときのステラン・スカルスゲートの写真がちょっと写ったが、ほんとにかっこいい)のに、よる年波にはどうしても勝てない。無様な姿を惜しげなもなく見せてくれたステラン。かっこ悪さがかっこいい。いいです。

クリス・ペンのぱちっとしたお目々がまたいい。クリス・ペンをこんなにうまいと思ったのはもしかしたら始めて。
でもね、でもね、でもね、私のお目当てはポール・ベタニー、あなたです。いい、首をちょっとかしげて、自信なげで、実は頼りがいがある。セリフの言い回しの素晴らしさは実証済みでしたが、今回のはかなげな役はまたいい。ヒットです。見つめられたい役者がまた出てきてしまいましたが、10も若いんだよな。だめ、おばさんじゃ・・。

いい役者といい本と新味なシチュエーション。これは拾いもんです。

「キス★キス★バン★バン」

原題「Kiss Kiss〔Bang Bang〕」 
監督 ステュワート・サッグ
出演 ステラン・スカルスゲート クリス・ペン ポール・ベタニー 2000年
 イギリス作品


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