迷宮映画館

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ジェボーダンの獣

2002年02月08日 | さ行 外国映画
18世紀後半、フランスの片田舎、ジェボーダンで100人を越す女とこどもが謎の怪物に襲われる事件がおきた。死体は無残な傷跡が残り、狼だとの説明では納得がいかない。怪物をやっつけるためにパリから軍隊も派遣されていたが、埒があかなかった。謎を解くべくパリが最後に送ったのが、自然科学者のフロンサックだ。因習にとらわれ、地元の有力者たちはまるで協力的ではない。なかなか捜査が進まないのに、犠牲者が続く。

彼は地元の貴族の娘と恋に落ちるのだが、家族は決して受け入れてはくれない。八方ふさがりになりながらも、怪物に決戦を挑む。果たして、怪物の正体は?仕留めることが出来るのか?

18世紀のフランス革命の前、いわゆるアンシャン・レジームの時代が舞台になっている。貴族はその権力をかさに、農民たちを搾取し、優雅な生活を送っていた。この世界を崩すわけにはいかない。国王ルイ15世は少々進歩的で、昔ながらのカトリックにも否定的な面を見せている。因習、暗がり、混沌の時代、アメリカ大陸の覇権を英仏が争っていた戦い、さまざまな要素がない交ぜになってこの映画の背景になっている。

この事件は事実であり、決着はついていない(らしい)。それを大胆な解釈である程度の解決と解答を見せている。これはうまい。

主人公のサミュエル・ル・ビアンについてはよく知らないのだが、なかなかの存在感。周りのスターとひけをとらない。相変らず美しいモニカ・ベルッチに矛盾男をやらせれば天下一品のだんな、ヴァンサン・カッセル。それぞれよいのだが、一番いいとこ独り占めは大陸からやってきたモホーク族の生き残り、マニを演じたマーク・ダカスコス。やっぱり本物にはかなわない。その武術は素晴らしい。それだけでない圧倒的な存在感とエキゾチックな雰囲気。こりゃ彼の映画でしたな。

「ヴィドック」でも混沌のパリとCGという組み合わせだったが、どうもミスマッチと思えたのはジェラールおじさまにアクションさせたからだったのでは。こっちもどろどろのフランスの田舎とCGの組み合わせなのだが、違和感がなかった。ひとえに本物の存在が大きかったと思う。

「ジェボーダンの獣」

原題「Le Pacte Des Loups」 
監督 クリストフ・ガンズ
出演 ヴァンサン・カッセル モニカ・ベルッチ サミュエル・ル・ビアン 2001年 フランス作品


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