アクロス・ザ・ユニバース

どれも聞きなじんだビートルズの数多い楽曲の中から、選び抜いた３３曲が物語を作り上げた。ジュードとルーシーの物語。

舞台は造船の町・リバプール。アメリカへ行きたいと夢を抱いていた青年ジュードは、恋人を置いて、父のいるはずのアメリカに渡る。何の確証もないが、冒険ができるのは若さだ。

父は自分の存在すらも知らなかったが、働き場所の大学においてくれた。周りは自分と変わらない若者たち。すぐさま友人になったマックスと、楽しく毎日を過ごすが、彼の妹のルーシーに心惹かれる。でも、ルーシーには、ベトナム戦争に行った恋人がいた。

そのとき、ルーシーの恋人の死の知らせが。打ちのめされるルーシーの心の支えになったのがジュードだった。ジュードとマックスはＮＹに旅立つが、彼女も追ってくる。そして、そこでの暮らしは夢のような毎日だった。

時代はベトナム戦争の真っただ中。戦争反対の世論が吹き荒れ、二人の間には徐々に亀裂が入ってくる。

デモの混乱で逮捕されてしまったジュードは、イギリスに送還される。どうしてもルーシーを忘れられないジュードは、正々堂々とアメリカに帰り、ルーシーに会おうとするが・・・・。

ぴったりビートルズが活躍した６０年代を舞台に、彼らのベースであるリバプールを出発地にして、アメリカにわたり、混乱のＮＹを描く。

物語はもとより、とにかく音楽が素晴らしい。出演している彼らが実際に歌っているが、そのうまさは、あちらのタレントの真のタレント性をつくづく思い知らされる。

特にどこかポールに似ているジム・スージェスのちょっとくぐもった声がものすごくいい。歌の間のうまさ。きっちり歌わないうまさ？どう表現したらいいか難しいが、ポールよりもうまいかも、と思わせるくらいの間がいい。


これの時はまだほとんど無名で、これがきっかけになって「ラスベガス・・」に抜擢されたとか。なるほど。「ラスベガス・・」のときに自信に満ちた感じは、この映画でついた自信なのかも。

ヒロインもその他の役者もどれもこれも本当にすばらしい。色もくっきり鮮やかに、時代の退廃的な様子や、ところどころに出てくる有名どころも目を見張る。ボノは、てっきりロビン・ウィリアムスかと思ってしまいました・・・。

あたしが大好きなのは「ヘイ！ジュード」と「ヘルター・スケルター」だが、その歌が出てくるシーンがまたいい。

褒めるしかないのだが、さっすがジュリー・テイモア。非凡な才能を遺憾なく発揮。今までも彼女の映画ではずれはなかったが、今回も秀作。素晴らしかった。いいもの見せてもらいました。

◎◎◎◎○●

『アクロス・ザ・ユニバース』

監督　ジュリー・テイモア
出演　エヴァン・レイチェル・ウッド　ジム・スタージェス　ジョー・アンダーソン　デイナ・ヒュークス　マーティン・ルーサー・マッコイ　ボノ　エディ・イザード　サルマ・ハエック