迷宮映画館

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上海家族

2004年08月04日 | さ行 外国映画
目を見張る躍進を遂げている上海。そこは新しいものと古いものが混在している。夫の浮気にガマンしてきたが、耐えかねて離婚を決意した女性がいた。しかし、母子二人では部屋も借りられない。家を持つということが想像以上に難しいことだ。

やむなく実家に帰るが、もうすぐ結婚を控えている弟に遠慮しないといけない。祖母はガマンが足りないと諭すが、どうしようもない。再婚して、なんとか新しい家族と住むことになったが、あまりにけちな相手にもどうしても耐えられず、出て行く。女性が何とか自立して生きていくということがこれほど難しいことなのか・・。

林立する近代的なビルと、昔ながらのふるいごちゃごちゃした建物が混在する街、それが中国の大都市だ。ひたすら男に付き従わなければならなかった一昔前の女性と、労働力として必要でありながら、社会的には完全に認められない女性の生き方が混在しているのが妙にダブって見える。

アメリカのような新しい国は、それを作って行く時に女性の力は絶対に必要だった。同等の立場で、無から作っていったかの国では、平等の考え方は勝ち取ったものではなく、自然に存在している。その考え方はじわじわと世界にひろがり、当たり前のようになってきているが、そう簡単ではない。女がこの世を支えているにも関わらず、女が生きていくのは厳しい。でも損な役割を女性が担ってきたから、世の中はもっているのだろうと思うのは極端かしら。

力として、はなっから期待されている女性、でも生きにくい世界で生きてきた女性たち。長い男尊女卑の歴史を持つ中国では、男の価値観を変えるのは難しいだろう。女性が人間として、一人の自立した人間として生きていく、世に認めさせる。過渡期である今、次の時代への絶対に必要なステップ、そこを描いている。そんな事を感じさせた映画だった。

『上海家族』

原題「假装没感覚(英語題 Shanghai Women)」 
監督・脚本 ポン・シャオレン
出演 チョウ・ウェンチン チェン・チェンヤオ 2002年 中国作品


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