さいかち亭雑記

短歌を中心に文芸、その他

身めぐりの本

2023年05月05日 | 本 古書
〇島田修三『昭和遠近』2022年10月刊、風媒社刊
※昭和の記憶が満載されており、時代の記憶を呼び起こすよすがとなっている短歌と写真の臨場感がとっても素敵だ。ドラマを書いたり、風俗史的なものに取り組む人は座右の書のひとつとしてもいいのではないだろうか。筆者は一流の歌人だからショート・ストーリーの名人なのである。

 連休前に古書で購入したもの。
〇草野心平『村山槐多』昭和五十一年、日動出版刊
 ※古書の「えびな書店」のカタログで村山槐多の葉書がカタログに出ていたけれども、乃木大将の殉死に心から感動しているようすが、書かれた文面がある。これなど、歴史の史料としても最上のものの一つだろう。

〇若松英輔『常世の花 石牟礼道子』二千十八年、亜紀書房刊
〇匠秀夫『中原悌二郎』1969年初版、1988年新装版、木耳社
〇谷川健一『四天王寺の鷹』2006年刊、2007年二刷、河出書房新社刊

久しぶりに取り出した本。

〇それはまるで一羽のとりが白き羽をむしりとられてゆくようだった   渡辺良
              『スモークブルー』2021年砂子屋書房刊
 これは医師である作者の自分が診ている患者についての作品なのだけれども、ウクライナ戦争で戦死している彼此の若者たちのことのようにも読めるではないか。

また、買い置きの古書。
〇川崎洋『目覚める寸前』1982年、書肆山田刊
〇小宮豊隆『黄金蟲』昭和九年、小山書店刊

〇伊藤一彦『言霊の風』2022年9月、角川書店刊 
 ※帯に「牧歌的で言霊ふくんだ風のやうと日向弁聞きき石牟礼道子は」という一首があげられている。コロナの影響もあって、全体に「ケ」の歌が目立つ歌集である。

 マンエンと言へば万延元年のフットボール思ふ世代の一人

〇『The Country Where Turtles Cry』中西進 著、英訳 結城文 2022年3月角川書店刊
 ※結城さんは短歌の国際的な普及に長くかかわり、昭和九年生まれの歌人の会のまとめ役もしておられる。短歌の翻訳の仕事として河野裕子や岡井隆の歌の英訳本などがある。どうしてこの人の仕事がこれまで顕彰されて来なかったのか、私には不思議でならない。

〇石川県で地震があり、カムチャッカ半島で火山が大噴火。私には、地球が戦争のことを怒っているとしか思われないのである。

〇当方の文章が久しぶりに角川短歌の5月号に載っている。歌集歌書紹介の欄なのだが、藤田冴さんの歌集がたまたま当たっていたのは、よかった。まあ、格がちがうと言ったらいいのかな。

〇野樹かずみさんが故・蝦名泰洋さんとの両吟集をまた出された。『カイエ』という。少し前の『クアドラプル プレイ』も良かったけれども、今度の小冊子も好調で愛唱にたえる作品がたくさんある。人に貸してしまってここに引用できないのが残念だ。そもそも連休中の一本として考えていた文章が、こういうしょぼいコメントになってしまって、我ながら何をやっているんだか。本は、連休直前に久しぶりに会った知人らとの歓談のうちに誰かの手に吸い込まれてしまったかしたのでした。ああ…。















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