ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

ネーミングの大切さ

2009年11月16日 | ジュエリーよもやま話

これ、パーソナルユースではおなじみのバレルです。

その名は、、、

『ぴーぴか イイコ』 

SUZUHOさんのHP
では、イイコ、は、”EEKO”となってます。
EEKOの部分は、型番かなにかと思ってたのですが、販売店さんやネットショップでは、だいたい、”イイコ”になってます。

びっくりなネーミングですよね。ぴーぴか、もすごいけど、イイコってなんなんだよ!って、誰もがツッコミを入れたくなる名前です。

ふつう、この手の機器にはありえない、ピンク色の筐体に、さらにインパクトのあるユニークな名前をつけたことで、バレルがホビーユーザーにとってもかなり身近な存在になったことは確かです。銀粘土のショップで扱うようになったことで、一般の人がよく買われるようです。

業界専用だった機材を一般向けに小型化・低価格化するだけではなく、筐体のデザインや名前もコンシューマーにターゲットを絞る、上手なマーケティングですね。

私はこれが出る前に、ジミーなバレルを買ってしまいました。
ACE MAGNETIC BARREL SUPER MINI
と書いてあります。名前も色も地味。
”イイコ”のほうがよさそうで気になってしかたがありません。(笑)

これは名前って、カッコイイだけが良いとは限らないという例ですね。
人の印象に残る名前はユニークで、ときには謎めいています。
たとえば、皆が知ってる国民的お菓子、”かっぱえびせん”。最初の名前だった、”えびあられ”だったら、今は残っていなかったかもしれません。なんでカッパなんだろう?って思いませんか?発売当時の商品のパッケージに、昭和20年代当時に流行していた清水崑さんの”カッパ天国”のカッパの漫画イラストが入っていたからだそうです。女性のカッパが妙に色っぽいので記憶されてる方も多いかと思います。

さて、ジュエリーにも1つ1つ名前がついている商品をみかけますが、何かストーリー性を感じて素敵です。そのジュエリー自身に新たなニュアンスと個性が生まれます。そして、作った人の心のぬくもりのようなものが伝わってきます。

前にも書きましたが、『ななこリング』あれもそうですね。
ただ『フルエタニティ・ダイヤリング』とするよりも、”ななこ”、とつけたことで、何か特別なイメージがします。魚子(ななこ)タガネで1つ1つ丁寧に石を留めたので、そのような名前がついたそうですが、たいていの人は、ヒトの名前と思うでしょうね。「なぜナナコっていうの?」って聞きたくなる。それが”ストーリー”です。

よく、デパートの通販カタログなんかみてると、ありきたりな商品に、これまたありきたりな商品名、たとえば、”ティアドロップ型ブルートパーズペンダント”、”ダイヤ入りハートリング”、"アンティーク風ネックレス”などなど。みりゃーわかるよって・・・。特別なデザインじゃなくても、素敵な名前がついていたら雰囲気がよくなるのになぁ、と思います。。

私が気に入っているネーミングのひとつが、ポメラートの、『ドド』シリーズ。DoDoという絶滅した飛べない鳥の名前を冠しています。手作り感のある、シンプルでかわいいジュエリーです。”ドド”をかたどったペンダントだけでなく、そのシリーズはみんなドドと呼ばれます。あれも特別すごいという感じのデザインではありませんが、”ドド”という名前に強い印象があり、なぜか人の記憶に残ります。どうしてドドなんだろう?と調べたり、お店の人に由来を聞きたくなりますよね。やはり、この名前には”深いい”ストーリーがありました。

ただし、名前はあまり凝りすぎると今度は逆に作為的で鼻につく感じがしてきます。たとえば、ラテン語のような、馴染みの薄い言語を使っているもの。なんでもかんでも横文字で書けばかっこよくなるというものではありません。読めない文字や意味がわからない単語は記号でしかありません。結局、カッコつきで日本語の訳を書いたりしている時点で、ダサいというか、無意味なネーミングと私は思います。

・・・とはいえ、"じゃあ、お前つけてみろ”っていわれたら、これが難しい。ネーミングは、本当にとても難しいのです。その名前で作品や商品のイメージを決定付けてしまいますから・・・・。逆に、見る人の創造力を掻き立てるために、あえて名前をつけないというアーティストもいます。美術展などで、『無題』というのがときどきありますよね・・・。

ネーミングにはボキャブラ力と創造力が必要。しかも、照れくさいし恥ずかしい。こんな名前つけたら、クサイ!っていわれそう・・とか、余計な気を回してしまいます。

それでも、私もこれから自分の作品に名前をつけることを新しい愉しみにしてみたいと思います。(いくつかの作品にはついていますが・・・)ぴーぴかイイコみたいに、人を笑わせられる名前をつけられたら楽しいでしょうね。