ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

ジュエリークリエーターへの道 ~ワックスは楽しい(1)~

2007年04月28日 | ジュエリーよもやま話
彫金を行う人が抱えるさまざまな問題を一気にクリアにしたのが『ワックスモデリング』でした。今では標準的な技術ですが、まさにジュエリーの制作の歴史を塗り替えるイノベーションだったといえましょう。

熟練のクリエーターさんが見るときわめて初歩的で当たり前のことを書いていますが、このコーナーは、これからジュエリーメーキングを始めて見たいなという人も対象にしているので、あしからずご了承くださいね。m(_ _)m


①チューブ・ワックス ②ブロック・ワックス ③ワイヤー・ワックス
④粘土ワックス ⑤シート・ワックス ⑥バングル用ワックス

ワックスモデリングは、蝋(ろう)を使って、ジュエリーを造形する技術のことです。ワックスには彫金にはない魅力的な特長があります。  

・加工が簡単

金属は堅いため、切る、削るなどの作業が大変です。曲げたり延ばしたりする作業も結構力がいります。金属同士をくっつけるには、”ロウ付け”といって、高温の火を使って接着しなければなりません。でも、ワックスは柔らかくてとても加工がしやすく、短時間で簡単に造形ができます。また、いろんな形状のワックス素材が販売されていますので、デザインの自由な展開や作業の効率化が図れます。

・リカバリーも簡単

金属は削りすぎてしまうともう元に戻せません。しかし、ワックスは削りすぎた部分に溶かしたワックスを盛って修正することができます。制作途中で、なんかイメージと違うな~と思ったら、最初からやり直さずとも、わりと簡単に軌道修正ができます。

・安全 & 静か

彫金では、かなづちやノコギリ、高温のガスバーナーなどの慣れを必要とする道具や、硫酸のような危ない薬剤も使用します。私がはじめたばかりの頃は、いつも指は怪我や火傷だらけでした。しかし、ワックスではそれほど力のいる作業はありませんし、火気も使いません。しかも、作業中に騒音を出すこともないので、夜間でも周囲に迷惑をかけません。

・設備・工具が少なくて済む

彫金ではさまざまな加工の工程ごとに大掛かりな道具が必要ですし、それらの道具を置くためのスペースも確保しなければなりません。一方ワックスの工具は彫金に比べてとても少なくて済みますし、事務机ひとつあれば作業できます。道具の使い方も難しくありません。

・材料費の節約

金属を削ったり切ったりして出る地金の切れ端や粉はもったいないので自分で溶かしたり、精錬工場に出したりして再利用する必要がありますが、その工賃がバカになりません。ワックスモデリングでは、できあがったワックスの原型を鋳造して始めて金属になるので、ロスがありません。

・その他

そのほかの大きな特長として、出来上がりを軽く作ることが出来ます。軽く作るということは、着用性の点で重要です。(ズッシリ感が好きな人も中にはいますが・・・)

さらに、ワックスは表面にいろいろなテクスチャーをつけられるので、自由度の高いデザインの造形が可能になります。

◇ ◇ ◇ ◇

当たり前な話ばかりしてきましたが、こうしたことは、実際にワックスモデリングに出会って、初めて実感したことなのであります。
つまり、技術を習得するまでに多くの練習が必要な彫金と違い、ワックスモデリングでは、誰でもすぐにジュエリーを作りはじめることができるようになります。

私は、ワックスは、ジュエリースクールでほんの1週間くらい習いました。体験コースの毛のはえたような短期集中クラスで、いろんな種類のワックスの扱い方を教わり、あとはほぼ独学と試行錯誤でやってきました。とはいえ、ワックスは表現力が高い分、非常に奥が深く、まだまだ、いろんなことを試して研究中です。

もちろん、鋳造後にパーツのロウ付けや磨き、石留めなどの彫金技術も必要ですが、仕上げに必要な技術だけをピンポイントで教えてもらえばいいわけです。

ジュエリーデザインのほとんどはワックスで実現可能といっても過言ではありません。これからはじめる方は、彫金→ワックス、よりも、ワックス→彫金(仕上げに必要なことだけ)、という学び方のほうが効率がいいと思います。



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1 コメント

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大変参考になりました (綾野)
2016-12-05 11:12:59
ジュエラー目指して留学中のものです。
ワックスの説明が大変わかりやすく
記事引用させていただきました!
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