夏らしく、あさがお柄のぐいのみをです。 涼やかな透明感を演出するため、”平彫り”で作りました。
このステムつきのぐい飲みグラスは、形も素晴らしいのですが、色がなんとも気に入っています。ベース地はアンバーという、ごく薄い琥珀色で、なんともいえない優しい古風な雰囲気があります。
色の層をかぶせた、”被(き)せガラス”は、東京(江戸)の伝統工芸に指定され、もともとは江戸切子の素材です。しかし、被せガラスは、職人さんの後継者不足や、独特の色を出すための材料となる希少金属の高騰、不況による売り上げの減少などから、工房の経営を圧迫し、多くの工場が閉鎖してしまったそうです。
被せガラスが製造されなくなれば、当然ながら、江戸切子は絶滅してしまいます。サンドブラストも同じことです。
しかし最近、東京スカイタワーの人気に伴って、東京の下町に息づく江戸文化とともに、江戸切子がにわかに見直されて、お土産に求める人が増えているようです。
ぜひ、この良い流れが、被せガラスの復興につながっていくことを願っています。
さて、今宵は、あさがおのグラスで、きーんと冷えた冷酒といきますか。