ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

これからコンピュータ関連の仕事に就く人へのメッセージ

2009年02月10日 | ROSE POSYのひとりごと

今日は、『適性』のお話です。ちょっと重たいかもしれません。

モアイ』の感想を書いていて、前から思っていたことを書きたくなりました。

この話は、これからコンピュータ関連の仕事に就きたい方、そしてジュエリーCADをはじめようと思っている人や、職業としてCADオペレーターになることを検討している方々にぜひ読んで頂けたらと思います。 

いまさらながら自分の過去をカミングアウトしますと、私は以前、IT企業でシステムエンジニアとして、ソフトウエアの設計開発やサポート、海外製品のテストやローカライズといった仕事に従事していました。その間に心の病にかかる人に何人も遭遇しました。当時は欝病などへの理解のなさと偏見からあまり情報がありませんでしたので、自分の身の回りに起こる問題に対処しながら、個人的にコンピュータと心の病気をテーマに自分なりに勉強・研究してきました。

ジュエリーCADオペレーターは、宝飾業界の中のお仕事ですが、ITつまりコンピュータを扱う仕事です。ITでいうとプログラマーのポジションに似ています。ジュエリーを作るというより、終日コンピュータを操作することが仕事の主体になりますので、ジュエリーCADを採用する企業も、IT業界同様に従業員のメンタル・ケアを重視する必要があると考えます。

◆ ◆ ◆ 

大手のコンピュータ会社やソフトウエア開発企業では、新卒の新入社員採用試験の中に、『適性試験』を実施しているところがあります。適性試験とは、その人がプログラマーやSEといったコンピュータの仕事に向いているのかどうかの『適性』を客観的に判断する試験です。能力テストではなく、あくまでも仕事との相性を見る検査です。

そのテストでエンジニアに向いていないと判断されても、面接で営業やマーケティングといった別の仕事に振り分けられ、新入社員はおおよそ自分に適した職種に就くことができ、一方で、企業としては、離職率を低く抑え、高い生産性をあげることができるわけです。

最近、SEやプログラマーといったコンピュータにかかわる職業で、欝病などの精神的な病に冒される人の増加が社会問題として表面化してきています。数が増えたというより、自ら病院に行く人が増えたので顕著化したということです。大手企業では、心療内科の産業医やカウンセラーを抱えるところも出てきました。日本社会全体として欝病患者が増えておりますが、なかでもコンピュータ関係に従事する人に多いと言われています。

とくに20代後半から30代にかけての作業に熟練した中堅層に多発しているようですが、納期に追われるプレッシャーや過労、電磁波によるストレスだけでなく、コンピュータそのものが人の精神に作用する影響が大きいことに加えて、本人の『適性』の問題があります。しかし中小企業では適性試験を設けていないところが殆どですし、慢性的に人手不足の業界なため、とにかく確保してしまおうという企業も多いのです。適性試験をパスした人でも長期にわたる勤務ののちに、精神を病んでしまうこともあります。

欝病はいったん罹患するとやっかいな病です。その人の周囲にも影響を与えてしまいます。企業内では予防対策マニュアルなども作られているようです。そもそも『適性』が合っていない人にその職業を続けさせることが問題なのです。しかしいったんITエンジニアとして就職すると、他業種に転職しようにも過去の経験が物を言うため、”自分に向いていない”とわかっていてもなかなか仕事を変えることが難しいのが現状です。

適性テストが必ずしも100%正確とは限りませんが、はじめてその職業に就く人には自分に向いているかどうかなんてわからないわけですから、入社時にそういった検査を行うことには従業員にとっても企業にとっても意義があるわけです。

ただし、仕事が自分に向いていないとわかっている人の中でも、耐性が高い方もあり、そういう人は、ほどほどに手を抜き、帰宅したら頭を切り換え、週末はアウトドアスポーツや楽器演奏、旅行などをしてうまくストレスを開放しながら、うまく仕事と上手につきあっています。1人で楽しむ趣味よりも、家族や仲間とコミュニケーションの時間を持つ人は心の均衡がうまく保てるようです。

一方、適性があると見える人が、コンピュータに麻薬中毒のようにはまりこんでワーカホリックとなり、プロジェクトの失敗や大きなトラブルなどの挫折をトリガーとして精神のバランスを崩したり、性格異常をきたすケースがあります。仕事とプライベートの切り替えがうまくできない人、自制心が働かず、はまりやすい性格の人はコンピュータを職業としないほうがよい場合があるのです。

もっとも本人が好きなのだから誰も止められないですが、そうした人達は、精神を病んだり人格障害となるところまではいかなくても、バーチャルな世界とだけ関わっていることに快感と快適さを覚えて人間関係が希薄になることから、対人関係が苦手になり、友達や彼女ができなかったり、職場の人と協調できなかったり、さらには職場の”困ったちゃん”と化すことがあります。

◆ ◆ ◆ 

ソフトウエアの習得は根気だけでなはく、向学心と自立心が必要です。ある程度の基礎は学校で教わりますが、応用力のスキルアップ はその後の辛抱強い独学が決め手となります。その際、その作業が自分の性格に合ってると合ってないでは、モチベーションや上達度がかなり違ってきます。

会社に言われて仕事で使わざるをえない状況の方は、好むと好まざるとにかかわらず、とにかく取り組むしかないと思いますが、自主的にやってみようかな・・・と思っている人はそのソフトウエアが本当に向いているかどうかは自分で判断してみることをおすすめします。方法としては、スクールに入って習ってみるのが一番よいのですが、スクールに行くのもそれなりの投資と時間と体力が必要ですから、相当の覚悟が出来てからにしたほうがよいでしょう。その前に出来ることがあるはずです。

たとえとして、CADしかもライノセラスに限定した話ですと、販社のアプリクラフトさんが、無料でハンズオン(実習体験)セミナーを実施しておられますので、それに参加してみるのもよいと思います。

遠方で参加できない人は前のエントリーのくり返しになりますが、体験版(評価版)をダウンロードしてチュートリアルを試してみたり、『モアイ』のような安価なソフトを購入して自分でいじってみることをおすすめします。独学になりますが、わからないことはメールで気軽に相談できるようですし、ユーザのみが使えるサポート掲示板もありユーザ同士助け合うことができるので、初心者が入っていきやすいと思います。”やっぱ、私には向いていないや”、という答えだったとしても、数万円程度の勉強代なら痛くないと思います。

ちょっと脅かすようなお話でしたが、”適性がない人はやめておいたほうがいい”、という意味ではありません。コンピュータは時代の流れですから、いつまでも避けて通るわけにもいかないと思います。ただ、他の職種と違って、コンピュータが精神や性格にもたらす影響は大きく、根性論だけで無理を通そうとするのは大変危険なことのです。常に自己管理とセルフケアに配慮し、うまく仕事と向き合って心のバランスを保っていくことが必要になります。

コンピュータを使った仕事をする場合の留意点をまとめると以下の様になるかと思います。これから従事する方は心の隅っこに留め置いていただけたら、と思います。

・これからコンピュータ関係の仕事に従事したい場合は、自分との適性を考える。

・適性があると思われる人も、自制心が効かずハマりやすい性格の人は要注意。プライベートではコンピュータをさわらない時間を極力作り、人との交流を持つよう努める。

・適性がない(向いていない)とわかっていても仕事として続けざるを得ない場合、無理をしない。ストレス解消のための時間を十分に持ち、こまめに”ガス抜き”する。

・これから仕事の一部(ツール)としてITを取り入れる場合、まずは体験コースやお試し版で、自分との相性をたしかめつつ、徐々に慣らしていく。

最後に、”苦手だな、私には向いてないみたい。それでもなんとかマスターして仕事で使えるようにしたい。”、と思ったらどうしますか・・・???

それは、よい師(メンター)そして、助け合い励まし合える仲間をできるだけ沢山持つことに尽きると思います。よい師と仲間とのコミュニケーション、、これこそが適性を超えて苦手を克服する一番の良薬だと思います。(^^)