つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

海抜50.1mの別世界。

2021年03月14日 15時04分13秒 | 自然
      
わが津幡町には9つの小学校がある。
晴天に恵まれた本日(2021/03/14)の散歩では、
その1つ「太白台(おおしろだい)小学校」へ足を延ばした。



創立は昭和51年(1976)。
「津幡小学校」の校区一部と「笠井小学校」を統合して船出した。
それはまだ僕が「津幡小学校」に在学中の出来事で、
クラスメートと別れなければならなかった時の寂しさを思い出す。

令和2年度の児童生徒数はトータルで275。
町内全体の小学生13%あまりが通学している。
校名に「台」の字があることからも分かるとおり、
校舎の位置は周囲よりも高い平らな土地。
海抜50.1m地点。







ほんの少し標高が変わるだけで、印象は随分違う。
下界に比べ空との距離がグッと縮まった気がするし、
辺りの自然・野生が、より深まった気もする。



事実、台頂上の校舎に辿り着くまでの600mのうちに、
今年初めて鶯(ウグイス)の鳴き声を聞き、
なかなかのスピードで道路を横断する雉(キジ)、
木の枝を渡る栗鼠(リス)、
畑の畝(うね)を這う蛇を目撃した。

更に、日頃はあまり見慣れない掲示看板を発見。



「緩衝帯整備事業」とは---
<公共施設や住宅、農地、通学路等の周辺の過密化した里山林において実施する、
 野生獣の出没を抑制することを目的に実施する森林の見通しを良くする伐採や
 薮の刈払い等>
--- を指す。
(※石川県「森林環境基金事業実施要領」より抜粋)



中心街からのアクセスは、片道徒歩20分程度。
僅か2時間の散歩で、ちょっとした別世界を味わえた。
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10年と2日。

2021年03月13日 20時45分27秒 | 自然
     
今週はじめから一昨日(2021/03/07~03/11)にかけ、
ネットでもメディアでも「震災から10年」の話題が溢れた。
毎年3・11に訪れる節目の中でも、特に注目度の高いタイミングである。

報道を見るに、ハード面の再建はかなり進んだと感じた。
局地的な事情は異なるだろうが、道路・建物・施設などは、それなりかと思う。
一方、人の営みは未だ道半ば。
街が出来ても、確固とした産業基盤を構築しなければ、
被災前の経済規模レベルには至らないだろう。
原発禍とコロナ禍もある。
ロング&ワインディングロードの果てにある復興は、
「元(過去)に戻る」のではない。
「新しいカタチの創造」ではないだろうか。

--- などと、薄っぺらく偉そうなことを書いている僕の
「10年と2日」を振り返ってみるに、彼の地に対する貢献は、
情けないくらい微力である。
発災から当座はうろたえ、心配した。
少なからず寄附はした。
働いて納めた税金が一助になった。
それだけだ。

あの日の午後2時46分を振り返り、以後の歩みを知るのは大切である。
時が経てば記憶や哀しみは薄れてゆく。
反面、研究者たちによって大地震の真の姿があばかれてゆく。
もっとこうすればよかった。
こう対処すればよりよかった。
自分が暮らす場所で何かが起こった時、どうすればいいのか。
おそらくできることは限られるだろうが、日頃から考えておきたいと思う。



津幡町・あがた公園の敷地には、町の「防災備蓄倉庫」が建つ。
中には、食料や保存水などの備蓄食料、
発電機・生活備品といった応急機材などが保管されていると想像する。
これらが活躍する未来は、いつ訪れるか分からない。
10年後かもしれないし、明日かもしれないし、数分後かもしれない。

わが町には「事前復興」の取り組みをしておいて欲しい。
地震に限らず、最悪のシナリオを基に応急対応について計画を練り、
どん底から立ち上がる時の姿を想定しておいて欲しい。



小糠雨に降られながら、木蓮の蕾と一緒に「防災倉庫」を眺め、
しばし、そんなことを思った「10年と2日目」の今日だった。
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津幡短信vol.87 ~ 令和参年 弥生。

2021年03月07日 17時59分12秒 | 津幡短信。
     
津幡町で見聞した、よしなしごとを簡潔にお届けする不定期通信。
今回の話題は以下の3本。

【解体始まる。】



閉店から5年余り「カジマート太田店」の建物の解体が始まった。
先月、拙ブログ過去投稿記事にコメントを頂戴し、見聞に出掛けた。
都市部では珍しくないスクラップ&ビルドも、
北陸の片田舎・津幡町で見かける機会は左程多くない。
それだけに目を引く対象になる。
見慣れた建物がなくなり、風景が変わる途上は物悲しい。
37年前の開店当時は、華々しいデビューだったはず。
真新しい建物は周囲からの期待を集めたことだろう。
しかし、今は昔である。
跡地には何が出来るのだろうか?

【建て替え始まる。】

店じまいを最初に悟ったのは、昨年11月だった。



地場のホームセンター「大海(おおみ)建材」店頭に立ち上がった幟や張り紙には、
「在庫一掃」「売りつくし」の文字。



3割引~5割引の赤札が、
やがて「全品半額」になり「最大9割引」表記が踊り、そして終わった。



秋には、福井県資本のドラッグチェーン「ゲンキー」に生まれ変わる予定らしい。
また1つ、町の灯が消えた。

【切除完了。】

同カテゴリー(津幡短信)過去投稿にて、
積雪により「おやど橋」傍のタブノキの大枝が折れたことを書いた。
その垂れさがったままの枝が切除された。



雪の重みに加え、樹木・木材を腐らせ劣化させるキノコ、
褐色腐朽菌(かっしょくふきゅうきん)の代表選手
「サルノコシカケ」の影響があったと睨んでいたが、やはり?



遠目にも幹の中心に腐食で開いたらしい大穴が見える。
切断面が空気に触れて乾燥し、木は弱るだろうが、
患部を除く意味では良かったかもしれない。
大木の自助力に期待しよう。

<津幡短信 vol.87>
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黒髪の美少年(古代ローマ)。~ 拳奴セスタス。

2021年03月06日 14時03分33秒 | 手すさびにて候。
     
同カテゴリー(手すさびにて候)先回投稿で書いたとおり、
僕は割と年季の入った格闘技ファンである。
また、同じくらい長く「格闘アクション漫画」の愛読者でもある。
今回は、中でも取り分け気に入っている作品の1つ、
「技来静也(わざらい・しずや)」著「セスタス」シリーズが
春からアニメ化されると聞き、筆を取った。

ほんの手すさび、手慰み。
不定期イラスト連載 第百六十七弾は「拳奴セスタス」。



物語の幕開けは、紀元54年。
地中海沿岸~ヨーロッパ全域~北アフリカ~西アジアまでを領有し、
黄金期に差し掛かった古代ローマ帝国が舞台だ。

世界の覇権を握った大帝国の内情は、超格差社会。
沢山の奴隷を使い大農園を経営する一握りの富裕層と、
財力がなく土地を追われた、元・中小小作農の貧困層が同居。
眩い(まばゆい)繁栄の光は、濃い影も落としていたのだ。

貧民たちは首都に殺到し、国や有力者に「パンとサーカス」を要求。
無産者とはいえ、彼らは投票権などの諸権利が認められた「ローマ市民」。
政治の安定を図るため政府も面倒を見ざるを得ず、食料と娯楽を振舞うのが常態になる。
その見世物の1つが、拳闘(ボクシング)だった。

古代ボクシングは、現代のそれとは別物。

階級、ラウンド、カウントアウト、採点の各制度は存在しない。
一方が完全KOされるか、ギブアップするまで続く、時間無制限一本勝負。
反則は目潰しと金的のみ。
背面・延髄・後頭部への打撃、ダウン後の追撃OK。
フットワークやコンビネーションの概念も乏しく、
足を止め、真っ向から殴り合うブルファイト。
頑丈で大きな体格と、腕っぷしの強さがモノを言った。

しかも、両拳には、革帯に鉄の鋲(びょう)を打った装甲グローブ。
流血、骨折、殺傷に至ることも日常茶飯事だったという。

物語の主人公「セスタス」は、
そんな血生臭い世界で生きる15歳の奴隷拳闘士である。
拳を鎧う(よろう)武器と同じ名前とは裏腹に、見た目は華奢。
生真面目で純粋ゆえの危うさもはらんだ黒髪の美少年だ。

前述の勝利に必要な要素--- ビッグサイズ、タフ、ハードパンチ --- は、どれもない。
代わりに、優れた動体視力、スピード、しなやかな肉体を活かして戦う。
古代ボクシングに革命をもたらす“異質の逸材”だ。

@打たせずに打つ“理想の拳闘”を練り上げる過程や、
 技術と勇気を駆使して強敵に立ち向かうシーンは、
 格闘技マンガ、ボクシング漫画として読み応え充分。

@随所に盛り込まれた当時の庶民・貴族の暮らしぶりも目を引く。
 市街地・建築物の様子、服飾、食事などの緻密な描写は、
 歴史マンガとしても値打ち十分。

脇を固めるキャラクターも魅力的だ。

@かつて当代随一の拳士と謳われた、理論派の師。
@後に稀代の暴君へと変貌する、同世代の少年皇帝。
@野望に燃え、権力に固執する皇太后。
@傾国の美女。
@曲者、強者揃いの対戦者たち。
@超人的な能力を誇る、皇帝直属の私設軍。

ストーリーは、これら多彩な登場人物たちが織り成すエピソードを交え、
身分の底辺で奮闘する主人公を中心に進行してゆく。

漫画「セスタス」シリーズの連載開始は1997年。
掲載誌を変えながら今も続く長編だ。
アニメ版は「セスタス -The Roman Fighter-」として、
来月・2021/4/14から、フジテレビ「+Ultra」(BSフジ)では、
毎週水曜深夜24:55~放送。

僕は大いに楽しみにしている。
もしご興味あれば、是非、ご覧になってみて欲しい。
もちろん漫画版も大推薦である。
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