つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

大人になっても、レイジの子どもさ。

2023年02月23日 21時21分21秒 | 手すさびにて候。
                         
2023年2月13日。
漫画家「松本零士(まつもと・れいじ)」(本名/晟(あきら))さんが、
急性心不全のため東京都内の病院で死去した。
85年と19日の生涯だった。

発表は死後一週間が経った20日。
小さくない喪失感を味わう。
この機会に拙ブログ過去記事を読み直してみたところ、
故人の作品ついて掲載数が多いことに感慨を抱く。

戦場まんがシリーズ/鉄の竜騎兵 2010/09/06
零士式美人 2016/12/02
銀河鉄道999(※平尾昌晃氏追悼) 2017/12/05
宇宙戦艦ヤマト(※著作権所有は別人) 2019/05/18
クイーン・エメラルダス 2021/01/30
--- 他の文中にも幾つか散見できた。

改めて「松本零士」さんのペンが、
自分の人格形成にとって小さくない影響を与えているのだと実感。
少年時代を振り返れば、いつも傍らに「零士漫画/アニメ」があった。
僕は「零士チルドレン」の1人である。

訃報を耳にして、あまり遅くならないうちに追悼投降したいと思い立つも、
前述のように、既に複数回実績もある。
何を題材にしようか逡巡し、一晩悩んだ挙句、
やはり故人の代表作にして代名詞を選択した。

ほんの手すさび 手慰み。
不定期イラスト連載 第二百二十弾
「劇場版 銀河鉄道999(スリーナイン) ~ 別れのキス」。



『銀河鉄道999劇場版』の封切は、昭和54年(1979年)夏。
いきなり生臭いハナシで恐縮だが、配給収入(※)16億5千万円を叩き出した。

ちなみに歴代の数字(興行収入※)と比較してみると、
1位『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が371億8千万円。
2位『千と千尋の神隠し』は316億8千万円。
3位『君の名は。』250億3千万円。
『999』の記録は足元にも及ばない。
--- しかし、存在感は間違いなく最上位である。

公開年の邦画部門に於いて、アニメ映画として初めて第1位を獲得。
日本アカデミー賞特別賞(話題賞)を受賞。
主題歌もサウンドトラックも大ヒット。
全国各地で「999号」に肖った鉄道旅行が企画され申し込みが殺到。
有無を言わせぬ「結果」を残し、
それまで子供向けの穴埋め扱いだったアニメの地位を大きく向上。
現在の隆盛の魁となる。
「零士漫画」から生まれたこの映画はエポックメイキングなのだ。

(※入場料×有料来場者数=興行収入。
  興行収入-映画館の取り分=配給収入。
  映画界の記録として1999年以前は「配収」が、
  2000年以降は「興収」が用いられている)

そして、個人的にも、ある種のエポックメイキング。
『999』は、僕に「旅の目覚めを促した」と言えるかもしれない。

映画の冒頭---「城達也(じょう・たつや)」のバリトンが旅愁を誘う。

【人はみな 星の海を見ながら旅に出る
 想い描いた希望を追い求めて 果てしなく旅は長く
 人はやがて 夢を追い求める旅のうちに永遠の眠りにつく
 人は死に 人は生まれる
 終わることのない流れの中を列車は走る
 終わることのないレールの上を 夢と希望と野心と若さを乗せて列車は今日も走る
 そして今 汽笛が新しい若者の旅立ちを告げる】


物語の舞台は、遥か未来。
時の富裕層は魂を機械の身体へ移し替え「機械化人」となり不老不死を謳歌。
一方、貧しい人々は機械化人の慰み者として迫害の対象になっていた。
そんな“超格差社会”で後者に属する主人公「星野鉄郎(ほしの・てつろう)」は、
謎めいた麗人「メーテル」と出会い、共に旅に出る。
惑星間航行列車・超特急999号に乗り込み、
無料で機械の身体を与えてくれるという星を目指して。
旅の途上、少年は逞しく成長してゆき、
美しい女(ひと)との別れのキスを経て、男への階段を登った。

この世界観に魅了され、旅への憧れを掻き立てられた僕は、
やがて列車で津軽海峡を渡り北海道へ。
また、徒歩で能登半島を一周したり、
自転車で日本列島を2/3周したり、
バイクに跨り各地へ出向いたり、
ヨーロッパやインド・パキスタンに出かけたりした。
そして、今も旅が好きだ。
根底には「松本零士」さんのペンが描いた「絵」が浮かぶ。

結びに『劇場版 銀河鉄道999』から、
エンディングナレーションを掲載して手向けとしたい。

【今 万感の思いを込めて汽笛が鳴る
 今 万感の思いを込めて汽車がゆく
 一つの旅が終わり また新しい旅立ちが始まる
 さらば メーテル
 さらば 銀河鉄道999
 さらば 少年の日よ】


さようなら、松本零士先生。
どうか安らかに。
                              

コメント (7)    この記事についてブログを書く
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7 コメント

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Unknown (作業員)
2023-02-24 05:59:55
おはようございます

私も思いっきり松本零士世代です!
999号との旅の途中で出会う個性豊かな人々
宇宙(世の中)には色んな人がいるのだなと
子供ながらに考えさせられました

やっぱ、あのキスですよね(^^)
メーテルーーーー
作業員様へ。 (りくすけ)
2023-02-24 07:14:22
コメントありがとうございます。
また過去記事への訪問、ありがとうございます。

本文中にも書きましたが、
今投稿にあたり何をテーマにするか悩みました。
個人的には「戦場まんがシリーズ」も捨て難く、
そのイラストに取り掛かり始めたりもしましたが、
零士先生の描くメカには到底敵わない。
自分の画力の低さ、故人の画力の高さを思い知りました。

で選んだのが「銀河鉄道999」のラストシーン。
やっぱ、あのキスには逆らえません(笑)
メーテルゥー!

では、また。
Unknown (musunde-hiraite)
2023-02-24 19:26:29
万感の思いで☺️読ませていただきました。

明後日から3週間、アメリカ人の友人が訪ねてきます。
彼女は日本の雪景色を眺めながら列車旅をしたいと言うので、昨日から東北、北海道辺りへの電車を調べていました。

・・・不思議なシンクロの連なりに、旅情も深まりそうな気がします😌
むすんで ひらいて様へ。 (りくすけ)
2023-02-24 22:57:53
コメントありがとうございます。

雪景色を眺めながらの列車旅、
いいですねえ。

もう7~8年前かと思いますが、
JR東日本が東北観光キャンペーンに
銀河鉄道999を採用したことがありました。
露天風呂で湯煙に包まれたメーテルの絵は、
なかなかセクシーだったのを覚えています。

どうか道中お気をつけて。
アメリカのご友人と楽しんでくださいませ。
では、また。
Unknown (musunde-hiraite)
2023-02-25 14:13:38
ありがとうございます。
りくすさんのブログ更新も楽しみにしています☺️

では、また。
Unknown (さくらもち)
2023-03-09 14:02:57
松本零士氏は、私にとっては何と言っても「男おいどん」ですね!
さくらもち様へ。 (りくすけ)
2023-03-09 17:33:59
立て続けにコメントありがとうございます。

「男おいどん」
僕も全巻持っています。
四畳半宇宙を描いた零士ワールドは面白いですね。

他者様への返信コメントに前述したとおり、
個人的な零士漫画ナンバー1は、
「戦場まんがシリーズ」なのですが、
故人追悼の意味を込めて選ぶなら
代表作にして代名詞だろうと考えた次第です。

拙ブログへまた遊びに来てください。
どうかよしなに。
では、また。

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