つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

朱ゝと 陽はつれなくも 春の川風。

2020年03月28日 08時34分04秒 | 自然
色はそれぞれ異なる波長を持っている。
太陽光線が大気中の微粒子にぶつかると、
波長の短い「青系」から先に、四方八方へ散乱してゆく。
光が人の眼に届くまでの距離が長くなる日没時、
青系色は殆どが散乱してしまい、波長の長い赤系が残る。
夕空が赤っぽく見えるのは、その為だ。

先日、津幡川で、美しい夕日に出逢った。
「川尻水門」が開き、水量が少なく、それなりに流れのある川面は、
夕日を照り返して、黄色みを帯びた朱に染まる。
岸辺で翼を休める鴨やサギも、陰影鮮やか。
見慣れた日常が別世界に見えるのだ。

落日は人の心を動かす。
昼が去り、やがて闇が下りてくる間際の荘厳な輝きは、
まるで、死を迎えようとしている「今日」への手向けの花にも思える。
そして、夜の先に続く、新たな一日が無事に始まるよう願い、
自らの生きざまを重ね合わせた。

そんな気持ちに揺れ動いてしまうのは、やはり、混迷の世と無縁ではない。

陽は沈み、陽は昇る。
川も流れている。
花も咲いた。

例年に比べ、少し早めの春到来。
しかし、慌ただしくも心浮き立つ、いつもの春ではない。

OGPイメージ

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